Image: Raymond Wong / Gizmodo US

ASUSのゲーミングブランドROGから新たなQD-OLEDゲーミングモニターが発表されました。最新の「ROG Swift OLED(PG32UCDM3)」は、同シリーズの第3世代となるモニター。

今回新たに「BlackShield」というフィルムが採用され、ディスプレイの耐久性と黒レベルを向上させるとのこと。

米Gizmodo編集部がこのROG Swift OLEDモニターに触れてレビューをしています。BlackShieldを含め、新たなゲーミングモニターがどんなものか見てみるとしましょう。

本当に、さらに“黒い”OLEDは実現できるのか?

一般的なOLEDパネルは、理論上すでにほぼ無限のコントラストを実現できる技術をそなえています。それがまさにOLEDというディスプレイの特性なわけです。

だからこそ、ASUSが1,300ドル(約20万5000円)もする新たなゲーミングモニター「ROG Swift OLED(PG32UCDM3)」に「BlackShield」と呼ばれるディスプレイフィルムを採用し、「明るい環境でも黒レベルを認識できる範囲で最大40%向上させる」と主張しているのを聞いたときに、正直半信半疑でした。

“より深い黒”を求めてこのモニターにたどり着いたとしたら、おそらくもっと安価なQD-OLEDモニターを探したほうがいいでしょう。BlackShieldフィルムは照明ガンガンのスタジオのような環境下ではない限り、そこまで大きな恩恵を感じることはないはずです。それでも、このSwift OLEDが非常に優れた画質を実現しているのはたしかです。内蔵スピーカーがないことを除けば、ゲーミングモニターとして欠けている部分はほとんどないと言ってもいいでしょう。

もうひとつ、欠点というべきか特徴というべきか、この32インチのゲーミングモニターはディスプレイそのものと付属の三脚スタンドの相乗効果でとにかくデカい。デスクスペースを占領するために作られたディスプレイとも言えるほどです。

安定感のある巨大なモニター

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さて、まずモニターを使うために箱から出して組み立てます。最近のモニターではスタンドを組み立てて取り付ければ済むものが多いですが、ROG Swift OLEDではいくつか手順が必要になります。

というのも、三脚スタンドの底にLEDライトが組み込まれているからです。そのため、追加のフィルターを取り付けてこれを固定してから、大きなモニターを設置する、といった感じになります。フィルターを通してLEDライトがデスク上にROGのロゴを映し出します。

この三脚スタンドはモニターを設置してみると見た感じより非常に安定します。スタンドを含めモニターは9kgほどになるので、不意に手が当たったりしてもグラついたりしません。その代わり、持ち上げるときはしっかり足腰を使いましょう。

角度や高さの調整はイマイチかも

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モニターの角度については、左右それぞれ15度ずつ、上に20度と下に5度の調整が可能です。可動域としてはもう少し範囲があれば良いかな、というのが本音ですね。

スタンドは、よりコンパクトな三脚やフラットなベースのほかのモニターを比べても、やはりスペースをかなり占有します。これがよりミニマルなスタンドだったりすれば、サウンドバーなどを置く余裕があるのですがね。ちなみに、スタンドの3面にも控えめなライトが搭載されていて、底部のライトと調和するようになっています。

これらから考えるに、ASUSはほかのあらゆる要素よりも「いわゆるゲーマー向け」といった感じのスタイルを優先したように思います。可動域もそうですが、スタンドのデザインとして最も気になるのは、高さが制限されることです。公式では上下に110mm動かせるとのことですが、実際は80mmくらいという感じで、この制限は残念に感じましたね。

ケーブル周りはいい感じ

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大きくて重くて、動きも少ない、と若干気になる点をあげました。が、背面を覗いてみると、ケーブル管理については非常に優秀だといえます。スタンド下部の両端に空洞が設けられているため、ケーブルの整理がしやすいのが良い点です。

ポートはモニターの左側にHDMI 2.1ポートが2つ、DisplayPort 2.1aポートが1つ、そして90W対応のUSB-Cポートが1つあります。あ、イヤホンジャックもありますね。

右側には、USB-Aポートが3つあります。これは、いくつかの周辺機器の充電には便利だとは思います。マウスやワイヤレスイヤホンのレシーバーなどはPCやコンソール本体への接続が必要です。

映像品質はたしかにトップクラス

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デザイン面は賛否が分かれそうに思えますが、ディスプレイの品質自体は、これまで見てきたQD-OLED(量子ドット有機ELディスプレイ)のなかでもトップクラスといえます。

最大4K(3840×2160)の解像度とOLED特有の0.03msという応答速度。液晶ベースのディスプレイよりも圧倒的に低遅延であることを意味します。総合的に見て、特にゲーミング用途に最適な品質でしょう

リフレッシュレートは240Hzで、VRR(可変リフレッシュレート)に対応。NvidiaのG-SYNCとAMDのFree Syncの両方をサポートしています。さらに、反射防止加工が施されているのにもかかわらず、光沢感が損なわれていないため、ゲームや映像視聴時の色の鮮やかさも見事に維持されているのです。

ASUSによると、このSwift OLEDはHDR適用時にピーク輝度が最大1,000ニトに達するとのこと。実際、米Gizmodoオフィスで窓から直射日光が差し込む環境でも十分な明るさでした。反射も非常に少なく、昼夜問わずゲームが楽しめます。

反射防止加工に加え、新たな「BlackShield」のフィルムがあります。これはもともと高品質なQD-OLEDの上に追加されたレイヤーといった感じで、これにより耐久・対傷性も向上します。とはいえ先述の通り、通常の使用環境では“体感的な”黒レベルはほかのQD-OLEDモニターと比べて大きな違いは感じませんでした。

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グレアを抑える工夫のおかげで、このモニターはさまざまな環境下で高い視認性を発揮します。光の反射によるグローは完全には消えませんが、それでも安価なディスプレイよりははるかに優れているといえます。

ROG Swift OLEDは、HDR10とDolby Visionの両方に対応しています。高性能なゲーミングPCと組み合わせれば、ゲームが非常に美しく表示されるでしょう。コントラスト性能を確認するため、いくつかのゲームを試してみました。『Cyberpunk 2077』、『Warhammer 40,000: Space Marine 2』、そして最近の『バイオハザード レクイエム』といった重厚なライティング表現に依存するゲームで見事なパフォーマンスを見せてくれました。それぞれ4K解像度で非常に美しく映し出されます。

3Dモデルをイラスト風に見せるセルシェーディングを採用した『Cairn』や同じく絵画的な3Dのスタイライズド表現の強い『Hades II』といった作品も試してみましたが、これらも非常にシャープに表示されました。

スピーカーがないのは残念

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モニターの主な操作はディスプレイ下部の真ん中にあるROGロゴの裏に搭載されたジョイスティックで行ないます。2週間ほど使い続けましたが、電源ボタンがそのジョイスティックのすぐ隣にあることに気づくまで時間がかかりました。ちょうどいい具合に前からも後ろからも見にくい、絶妙な位置に隠れています。

モニターの操作に関しても多少不便さを感じます。これについてはほかの多くのモニターを同様ともいえますが。ジョイスティックを押し込むことでメインメニューが表示されるのですが、HDRやVRRの設定に行き着くまで少々面倒です。

ジョイスティックを下に倒すと入力切替、左で音量調節、右でFPSカウンター、クロスヘアの表示、タイマーなどゲーミング系の機能にアクセスできます。

本体の操作が面倒な場合は、ASUS DisplayWidget Centerというアプリで機能操作が可能です。PCに余計なソフトウェアを増やしたくない!という場合を除いて、このアプリをおすすめしますね。

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

電源ボタンや操作感よりも、私が気になったのはSwift OLEDには音量調節機能はあるのに、スピーカーが非搭載という点です。

実際、ほとんどのユーザーはイヤホンやヘッドセット、あるいはサウンドバーやサラウンドスピーカーを使うでしょう。それでも、約20万円の高級ゲーミングモニターに最低限のスピーカーすら搭載していないというのは残念に思ってしまいますね。

おもしろいと思ったのは、モニターにASUS独自設計のヒートシンクを搭載しており、排熱が効率よくできるという点です。独自の冷却設計などはほかのゲーミングモニターにもありますが、Swift OLEDはレビューの間非常に静かでした。また、「ピクセルクリーニング」機能により稼働中に定期的にディスプレイの再調整を行ないます。その間も特にうるさくなったりしませんでした。

ゲーマーのためのゲーミングモニター

Image: Raymond Wong / Gizmodo US

これまで個人的に使用してきたQD-OLEDモニター、たとえば27インチの「Alienware AW2725Q」などは、ROG Swift OLEDと非常に近い映像品質を持っています。これらのモニターはセール時であれば10万円前後で購入が可能です。正直なところ、BlackShieldフィルムだけのために、Swift OLEDにその2倍の価格を支払う理由にはならないだろうと思います。

Swift OLEDはより重く、デスク上のスペースも大きく占有します。しかし、その分プレミアム感も強い。派手なLEDによるアクセントと三脚スタンドによって、まさに“ゲーマーのためのゲーミングモニター”といった見た目をしています。

なのでもし、価格のことは気にしないというのであれば、Swift OLEDはゲーミングモニターとして間違いなくトップクラスの選択肢だといえるでしょう。

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