「ゾス!」の絶叫朝礼、厳しい指導にSNSは大炎上…富田望生、驚きと同時に感じたリスペクト「自らこの環境を」
●自分が入社したら…「こてんぱんにされそう(笑)」
俳優の富田望生が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、22日・29日の2週にわたり放送される「今どきじゃない会社で夢みる僕と私の新入社員物語」。東京・池袋のベンチャー企業「グローバルパートナーズ」に飛び込んだ新入社員たちの1年を追った作品だ。
絶叫朝礼や上司からの厳しい指導など、“昭和的”な社風がSNSで大炎上する一方、そこに憧れて入社してくる若者たちの姿に、富田は「初めて見ました、こういう会社」と驚きながらも、あえて厳しい環境を選ぶ彼らに深くリスペクトを感じたという――。

富田望生 写真:渡邊玲子
○「これってブラック企業?」「自分ならすぐ辞める」の声
「ゾス!」という大きな掛け声とともに全員で絶叫する朝礼から始まり、結果を出せない者には上司が厳しい言葉で指導する、グローバルパートナーズ。その様子をSNSに投稿すれば「これってブラック企業?」「自分ならすぐ辞める」と大炎上。その一方で、その社風に憧れて「自分もこの会社で働きたい」と入社してくる若者も後を絶たない。
社内でひときわ元気なのが新入社員のひまりさん(22)。持ち前の明るさでテレアポ営業を次々とこなし、営業成績はトップクラスだ。会社の期待を背負う存在となっていく。
一方、同期の伊藤さん(22)は入社から3カ月が過ぎても、売り上げゼロ。会社の雰囲気にもなじめず、同期たちが次々と新規契約を決める中、焦りと不安ばかりが募っていく。
ある夜、社員たちが集う、通称“ゾス飲み”が開かれた。盛り上がる仲間たちの中で、一人元気のない伊藤さんに対し、普段の仕事ぶりを改善するチャンスとみた社長から「もっと周囲を盛り上げてみろ」と助言を受けるのだが…。

仕事中に涙するひまりさん (C)フジテレビ
○『教場』で体験した厳しい指導「愛情を持ってくれるからこそ」
全員で社訓を絶叫する朝礼から始まり、結果を出せない社員には上司が厳しい言葉で指導する映像を目の当たりにした富田は「社内のどこかしらで常にいろんな人が声を出していて…。活気があると言えば活気がありますけど、あの中に1日中いるって、本当にすごいことだなと思いました。『ふ〜っ』って、深呼吸できる瞬間すらないというか。初めて見ました、こういう会社…!」と驚きを隠せない様子だ。
「もしこの会社に自分が入社したら…?」と尋ねると、「こてんぱんにされそうです(笑)」と苦笑い。それでも、あえてこの環境に飛び込む若者たちへのリスペクトもある。
「誰かを“鼓舞する”際の言葉選びって、今はすごく慎重になりますよね。そんな中でも彼らはどストレートな言葉を何回も繰り返して伝えているところが本当に、“今どきではない”と言いますか…。でも、“鼓舞される”側の皆さんも、『自分に負けたくない』と思って自らこの環境を選んでいるわけで…。すごいなと思いますよね」
厳しい指導が飛び交う職場環境について、富田はこんな分析を披露した。
「人って、それを『怒られた』と思うのか、『叱られた』と思うのかによって、受け取り方のニュアンスが変わってくると思うんです。『自分のために叱ってくれているんだ』というマインドなら、先輩方や社長さんの言葉を甘んじて受け入れることができる。だからこそ、彼らはあの会社に残っていられるんだと思います。そういう意味では、『受け取り方の違い』というのも、あの会社で生きていく上ではすごく大きなポイントなんじゃないかなって思いながら、映像を見て、ナレーションを読んでいました」

全員が絶叫しながら行う円陣の様子 (C)フジテレビ
フィールドの違いはあれども、自身の現場経験とも重ね合わせながら語る言葉には、説得力がある。
「以前出演させていただいたドラマ『教場』の現場では、いわゆる“ダメ出し”の嵐というか、『もう1回!』のオンパレードだったんです。でも、私はそれが楽しかったですし、監督から『もう1回!』『まだいける!』と言われるごとにもう一段ギアが入るので、(鼓舞されるのが)苦手なタイプでもないんです」と明かす。
「逆に褒められすぎると、どうしていいかわからなくなるので…(苦笑)。私の場合はむしろ厳しくご指導いただいた方が、『愛情を持ってくれてるからこそ、これだけ厳しい言葉をくれるんだろうな』と思えて頑張れるタイプだと思います」
●油断すると考えてしまう仕事のこと「生き急いでるな(笑)」
番組では、18歳の同期が4歳年上の伊藤さんに「仕事とプライベートは分けた方がいい」とアドバイスするシーンが登場する。富田自身はどうだろうか。
「仕事がプライベートに影響することは多々あるのですが、プライベートが仕事に影響することはほぼないですね。それこそ、これまでにも作品の撮影中に家族の死を迎えたり、ワンちゃんの死を迎えたりしたこともあるんです。もちろん、家に帰ると『ク〜ッ』てなりますけど、仕事に向かうときは、どこかそれを自分の中で冷静に咀嚼(そしゃく)できる時間だと捉えて、1回切り替えるっていうことは割とするタイプですね」
一方、仕事からプライベートへの切り替えについては簡単ではないという。
「家でゆっくりしていると途端に仕事のことを考えちゃったりするので。仕事のことを考えられないぐらい、何かしら予定を入れないと生きていけないところもあって…。『どこかに行って誰かと会う』という予定がないと落ち着かず、『いつもせわしなく、生き急いでるな』って感じる時もありますね」と苦笑いした。
○「ヒヤっとする瞬間も」…放送後の反響に覚悟
『ザ・ノンフィクション』では、若年性認知症の父を介護してきた息子と家族の姿を追った「ボクと父ちゃんの記憶」シリーズのナレーションを長年にわたり担当してきた富田。およそ2年ぶりの、新規の『ザ・ノンフィクション』となる今回は、ディレクターやプロデューサーと読み方を話し合いながら収録に臨んだ。
「冒頭でもお話したように、“常にどこかで誰かが何かを話している”放送回なので、ナレーションも負けないように…(笑)、1つ1つの言葉をしっかりつかんで置いていくような読み方を心掛けました。そういった意味でも今回は、“寄り添う”というより、“いま目の前で起きている状況をちゃんと言葉で説明する”ということを意識しながら、ナレーションを読んでいたかもしれないです」
放送後の反響についても、すでに覚悟はできているようだ。「観ていてちょっとヒヤっとする瞬間がありましたし、結構切り込んだナレーション文もあったりしたので…。テレビの前でもみんなで切り込み合いながら、本作の放送を迎えるんだろうなとは思いますね。でもきっと登場する彼らは、そんなことさえ燃料に変えるんでしょうね」

●富田望生2000年生まれ、福島県出身。15年、映画『ソロモンの偽証』のメインキャストをオーディションで射止めて女優デビュー。その後、『モヒカン故郷に帰る』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの映画、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『なつぞら』『教場』『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』『だが、情熱はある』『ブギウギ』『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』などのドラマに出演。今後、舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の海外公演、4月17日には映画『人はなぜラブレターを書くのか』の公開などが控える。

渡邊玲子 映画配給会社、新聞社、WEB編集部勤務を経て、フリーランスの編集・ライターとして活動中。国内外で活躍する俳優・映画監督・クリエイターのインタビュー記事やレビュー、コラムを中心に、WEB、雑誌、劇場パンフレットなどで執筆するほか、書家として、映画タイトルや商品ロゴの筆文字デザインを手掛けている。イベントMC、ラジオ出演なども。 この著者の記事一覧はこちら
俳優の富田望生が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00〜 ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、22日・29日の2週にわたり放送される「今どきじゃない会社で夢みる僕と私の新入社員物語」。東京・池袋のベンチャー企業「グローバルパートナーズ」に飛び込んだ新入社員たちの1年を追った作品だ。

○「これってブラック企業?」「自分ならすぐ辞める」の声
「ゾス!」という大きな掛け声とともに全員で絶叫する朝礼から始まり、結果を出せない者には上司が厳しい言葉で指導する、グローバルパートナーズ。その様子をSNSに投稿すれば「これってブラック企業?」「自分ならすぐ辞める」と大炎上。その一方で、その社風に憧れて「自分もこの会社で働きたい」と入社してくる若者も後を絶たない。
社内でひときわ元気なのが新入社員のひまりさん(22)。持ち前の明るさでテレアポ営業を次々とこなし、営業成績はトップクラスだ。会社の期待を背負う存在となっていく。
一方、同期の伊藤さん(22)は入社から3カ月が過ぎても、売り上げゼロ。会社の雰囲気にもなじめず、同期たちが次々と新規契約を決める中、焦りと不安ばかりが募っていく。
ある夜、社員たちが集う、通称“ゾス飲み”が開かれた。盛り上がる仲間たちの中で、一人元気のない伊藤さんに対し、普段の仕事ぶりを改善するチャンスとみた社長から「もっと周囲を盛り上げてみろ」と助言を受けるのだが…。

○『教場』で体験した厳しい指導「愛情を持ってくれるからこそ」
全員で社訓を絶叫する朝礼から始まり、結果を出せない社員には上司が厳しい言葉で指導する映像を目の当たりにした富田は「社内のどこかしらで常にいろんな人が声を出していて…。活気があると言えば活気がありますけど、あの中に1日中いるって、本当にすごいことだなと思いました。『ふ〜っ』って、深呼吸できる瞬間すらないというか。初めて見ました、こういう会社…!」と驚きを隠せない様子だ。
「もしこの会社に自分が入社したら…?」と尋ねると、「こてんぱんにされそうです(笑)」と苦笑い。それでも、あえてこの環境に飛び込む若者たちへのリスペクトもある。
「誰かを“鼓舞する”際の言葉選びって、今はすごく慎重になりますよね。そんな中でも彼らはどストレートな言葉を何回も繰り返して伝えているところが本当に、“今どきではない”と言いますか…。でも、“鼓舞される”側の皆さんも、『自分に負けたくない』と思って自らこの環境を選んでいるわけで…。すごいなと思いますよね」
厳しい指導が飛び交う職場環境について、富田はこんな分析を披露した。
「人って、それを『怒られた』と思うのか、『叱られた』と思うのかによって、受け取り方のニュアンスが変わってくると思うんです。『自分のために叱ってくれているんだ』というマインドなら、先輩方や社長さんの言葉を甘んじて受け入れることができる。だからこそ、彼らはあの会社に残っていられるんだと思います。そういう意味では、『受け取り方の違い』というのも、あの会社で生きていく上ではすごく大きなポイントなんじゃないかなって思いながら、映像を見て、ナレーションを読んでいました」

フィールドの違いはあれども、自身の現場経験とも重ね合わせながら語る言葉には、説得力がある。
「以前出演させていただいたドラマ『教場』の現場では、いわゆる“ダメ出し”の嵐というか、『もう1回!』のオンパレードだったんです。でも、私はそれが楽しかったですし、監督から『もう1回!』『まだいける!』と言われるごとにもう一段ギアが入るので、(鼓舞されるのが)苦手なタイプでもないんです」と明かす。
「逆に褒められすぎると、どうしていいかわからなくなるので…(苦笑)。私の場合はむしろ厳しくご指導いただいた方が、『愛情を持ってくれてるからこそ、これだけ厳しい言葉をくれるんだろうな』と思えて頑張れるタイプだと思います」
●油断すると考えてしまう仕事のこと「生き急いでるな(笑)」
番組では、18歳の同期が4歳年上の伊藤さんに「仕事とプライベートは分けた方がいい」とアドバイスするシーンが登場する。富田自身はどうだろうか。
「仕事がプライベートに影響することは多々あるのですが、プライベートが仕事に影響することはほぼないですね。それこそ、これまでにも作品の撮影中に家族の死を迎えたり、ワンちゃんの死を迎えたりしたこともあるんです。もちろん、家に帰ると『ク〜ッ』てなりますけど、仕事に向かうときは、どこかそれを自分の中で冷静に咀嚼(そしゃく)できる時間だと捉えて、1回切り替えるっていうことは割とするタイプですね」
一方、仕事からプライベートへの切り替えについては簡単ではないという。
「家でゆっくりしていると途端に仕事のことを考えちゃったりするので。仕事のことを考えられないぐらい、何かしら予定を入れないと生きていけないところもあって…。『どこかに行って誰かと会う』という予定がないと落ち着かず、『いつもせわしなく、生き急いでるな』って感じる時もありますね」と苦笑いした。
○「ヒヤっとする瞬間も」…放送後の反響に覚悟
『ザ・ノンフィクション』では、若年性認知症の父を介護してきた息子と家族の姿を追った「ボクと父ちゃんの記憶」シリーズのナレーションを長年にわたり担当してきた富田。およそ2年ぶりの、新規の『ザ・ノンフィクション』となる今回は、ディレクターやプロデューサーと読み方を話し合いながら収録に臨んだ。
「冒頭でもお話したように、“常にどこかで誰かが何かを話している”放送回なので、ナレーションも負けないように…(笑)、1つ1つの言葉をしっかりつかんで置いていくような読み方を心掛けました。そういった意味でも今回は、“寄り添う”というより、“いま目の前で起きている状況をちゃんと言葉で説明する”ということを意識しながら、ナレーションを読んでいたかもしれないです」
放送後の反響についても、すでに覚悟はできているようだ。「観ていてちょっとヒヤっとする瞬間がありましたし、結構切り込んだナレーション文もあったりしたので…。テレビの前でもみんなで切り込み合いながら、本作の放送を迎えるんだろうなとは思いますね。でもきっと登場する彼らは、そんなことさえ燃料に変えるんでしょうね」

●富田望生2000年生まれ、福島県出身。15年、映画『ソロモンの偽証』のメインキャストをオーディションで射止めて女優デビュー。その後、『モヒカン故郷に帰る』『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』 『SUNNY 強い気持ち・強い愛』などの映画、『3年A組-今から皆さんは、人質です-』『なつぞら』『教場』『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』『だが、情熱はある』『ブギウギ』『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』などのドラマに出演。今後、舞台『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の海外公演、4月17日には映画『人はなぜラブレターを書くのか』の公開などが控える。

