第70回有馬記念を待つ中山競馬場

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年末を飾る競馬界の一大イベント「第70回有馬記念」が2025年12月28日の日曜日に開催されます。会場は千葉県船橋市にある「JRA中山競馬場」。これまで数々の名勝負が中山を舞台に繰り広げられました。日曜夜のテレビドラマ枠「日曜劇場」(TBS系)では有馬記念をテーマにした連続ドラマ「ロイヤルファミリー」が12月14日に終了。競走馬に夢を託した人間たちの壮大なドラマで、最終回もとても面白かったですね。一方で、有馬記念の発走時間前後、中山競馬場のゴール前直線は日陰になるのですが、同シーンでは日が差している明るい映像が多く、競馬ファンからすると少し残念でした。では、今回は年末特別企画。有馬記念の思い出と今年の競馬会を振り返りながら、中山競馬場界隈の必勝グルメと、買っても負けても楽しい「反省会」のお店をご紹介します。

思い出の馬は、有馬記念を2度も制したオルフェーヴル

まずは、有馬記念の思い出からお付き合いください。コロナ過の観客制限で参戦できない時もありましたが、過去20年近く有馬記念を現地で観戦しています。思い出の馬は、と言われれば間違いなく2011(平成23)年の三冠馬(三歳馬限定のG1レース。皐月賞、日本ダービー、菊花賞をすべて勝った馬)「オルフェーヴル」です。2度有馬記念に出走し、2011年は2着馬に3/4馬身差の快勝、2013年の引退レースにいたっては、後続に8馬身をつけ圧勝しました。いやー、本当に強かった。競馬は芝とダート(砂)のレースが中心ですが、芝の世界最高峰レースといわれるフランス凱旋門賞でも2年連続で2着。とはいえ、2012年のレースはもう少し追い出す(勝負を仕掛ける)タイミングが遅ければ絶対勝っていたと、今でも競馬ファンの間では語り草になっています。

有馬記念における馬券の相性は結構いいほうで、オルフェーヴルはもちろん取りましたし、2018年「ブラストワンピース」が勝った年は、打ち上げで高級焼き肉を仲間に振る舞った記憶があります(笑)。どちらも鞍上は池添謙一騎手。ごっつぁんです。

第70回有馬記念を待つ中山競馬場

勝負事に欠かせない?カツ丼は『満留賀』で味わう!

では、競馬の前に訪問して欲しい食事処のご紹介に移ります。まずは勝負事に欠かせない「カツ(勝つ)丼」を食べに『満留賀(まるか)』(千葉県市川市)ののれんをくぐりましょう。JR武蔵野線「船橋法典(ふなばしほうてん)駅」から徒歩10分程度、中山競馬場正門からほど近い路地裏にお店を構えます。競馬開催日は多くのファンの憩いの場として愛されている蕎麦屋さんで、同店で「カツ丼」を食べると馬券が当たるという噂もあるとかないとか(笑)。

満留賀

「カツ丼」の前に準備運動で「さと芋とイカの煮もの」をいただきました。これは断然日本酒が合います。競馬新聞片手にほろ酔い気分で勝ち馬を予想する時間は、何にも代えがたいひとときです。

満留賀(さと芋とイカの煮つけ)

そして締めの「カツ丼」へ。必勝を祈りながら食べる蕎麦屋さんの「カツ丼」。これも至福の時間です。さぁ、気合を入れて競馬場へ。今日も当たる気がしてきました(笑)。

満留賀(カツ丼)

必勝祈願に縁起の良い『大福元』

「勝つ丼」に続いては「福」を呼び込む『大福元(だいふくげん)』(船橋市)にご案内します。船橋法典駅からすぐの場所にあります。

大福元

まずは「ザーサイの四川風和え物」で準備運動です。ザーサイとキュウリとピリ辛味がビールとよく合います。

大福元(ザーサイの四川風和え物)

締めは当店の名物「大人気!伝統の四川風麻婆豆腐」をお勧めします。見て下さい、このツヤの美しさ。味も高級店顔負けのコクと、程よい辛さと旨味が満点です。ぜひご飯(別売り)に乗せてお召し上がりください。

同店はメニューが豊富で、あらゆるジャンルの中華料理が楽しめます。必勝祈願に縁起の良い『大福元』へ、ぜひお運びください。

大福元(大人気!伝統の四川風麻婆豆腐)

ダートの世界最高峰・BCクラシックで日本調教馬が初優勝

続いて、今年の競馬会を振りたいと思います。何と言っても日本時間11月2日早朝(現地時間11月1日)にアメリカからもの凄いニュースが飛び込んできました。10月31日、と11月1日にデルマー競馬場(カリフォルニア州)で米国競馬の祭典「第42回ブリーダーズカップ」が開催され、そのメインレースである「ブリーダーズカップ(BC)クラシック」(ダート2000メートル)で、「フォーエバーヤング」が日本調教馬として初めて優勝したのです。

矢作芳人(やはぎ・よしと)調教師と坂井瑠星(さかい・りゅうせい)騎手との師弟コンビで挑んだ、ダート競馬界世界最高峰レースでの偉業。長い歴史の中で米国以外の調教馬としては史上3頭目の優勝という、日本競馬史上に燦然と輝く金字塔となりました。同レースの歴代優勝馬の中に、2016年にタイトルを手にした「アロゲート」という米国調教馬がいます。この馬は本当に強かった。

特に翌2017年の「ドバイワールドカップ」(ダート2000メートル)ではスタートで出遅れ後方からのレースになるも、第3コーナーから第4コーナーにかけ大外から他馬をごぼう抜き。終わってみれば2馬身差強の圧勝に終わりました。他のレースでも2着馬に4馬身差、5馬身差は当たりまえ。中には13馬身差で勝ったレースもあり、彼が見せた驚愕パフォーマンスに、「ダートの競馬で、米国の馬にはこりゃ勝てんわ」と当時思ったものです。それがBCクラシックで優勝する日が来るとは。生きてて良かった。

西船橋を代表する魚の名店『百花亭』

つい、熱くなってしまいました(笑)。では、競馬の打ち上げにぴったりの居酒屋を西船橋駅周辺でご紹介します。船橋法典駅から南へ一駅のこの界隈は飲食店が豊富で、今回は魚系と肉系のそれぞれ代表店を取り上げます。まず西船橋を代表する魚の名店『百花亭(ひゃっかてい)』(船橋市)です。中山競馬場とは逆サイドの駅南側にありますが、平日も競馬開催土日もいつもご繁盛のお店です。

百花亭

いただいたのは「トロいわし」です。これが、脂が乗ってめちゃくちゃ旨い。女将さんに伝えると身を乗り出して、「でしょ〜、マスターがね、仕入れてきたの、喜ぶわ」と一言。そんな会話を楽しむのも居酒屋の醍醐味ですね。メニューにあれば是非注文されてください。

百花亭(トロいわし)

赤い大きな看板とのれんの『まる福』で絶品のもつ煮込み

続いて肉が美味しい居酒屋、西船橋駅でモツ焼きや煮込みなど肉を食べるなら、『まる福』をお勧めします。競馬場サイドの駅北側、徒歩3分ほどの場所にあり赤い大きな看板とのれんが目印です。

まる福

同店の人気ナンバー1は、大衆酒場ならではの「特製もつ煮込み」です。大きな豆腐が入っており、筆者のような豆腐好きにはたまりません。もつが驚くほど柔らかく、味がシミシミでビールが進みます。

まる福(特製もつ煮込み)

もちろん酒場の定番、「豚もつ串焼き」も大人気。他にも刺身から揚げ物、ご飯ものまで幅広くラインアップされています。競馬の反省会で仲間と交わすビールほど美味しいものはありません。有馬記念を語りながらぜひ盛り上がって下さい。なお、当店は日曜日が定休日になりますが、確認したところ有馬記念の日は営業しているそうです。予約も受け付ける様なので、早めにご検討ください。

古井由吉の名作「中山坂」と、きぬかつぎ

さて、12月6日(土)からスタートした中山競馬場に先日ふらり訪問してきました。立ち寄ったのはJR総武線「下総中山(しもうさなかやま)駅」から徒歩数分、競馬場にもほど近い法華経寺(ほけきょうじ、市川市)です。芥川賞作家でドイツ文学者の古井由吉さんに、「中山坂」という短編小説があります。同寺を経由して毎週のように競馬場に通う老人と、たまたま下総中山駅で下車した若い女性が交錯する物語で、競馬ファンとしては一度行ってみたいと思っていました。小説では法華経寺の境内に老人が出入りする茶屋が登場しますが、それにも似た休憩所『額堂』が五重塔の近くにありました。

額堂と五重塔

お店に入るとまさに「中山坂」を彷彿とさせる落ち着いた雰囲気。甘味類や軽食が食べられるようです。せっかくなので、小説にも出てくる「きぬかつぎ(里芋の小芋を皮付きのまま茹でたり蒸したりしたもの)」を食べました。するっと皮がむけ、塩をつけて食べるとこれがなかなか奥深い味です。老人と女性も食べたのかと思うと、物語に自分が同化し何とも不思議な気分になりました。

額堂(きぬかつぎ)

額堂(きぬかつぎ)

法華経寺は池上本門寺(いけがみほんもんじ、東京都大田区)などと並び、日蓮宗の五大本山の一つと言われる名刹です。有馬記念が当たるように、あわせて「午年(うまどし)」の2026年、人馬(じんば)ともに無事に過ごす一年になりますように、とお祈りし帰路につきました。今年もお付き合いただき有難うございました。皆さまもよい新年をお迎えください。

文・写真/十朱伸吾

おとなの週末Web専属ライター。全国のご当地グルメを求めて40年余。2013年には、“47都道府県食べ歩き”を達成した。訪れた飲食店は1万軒をゆうに超える。旅と食とお酒をこよなく愛するオプチミスト。特にビールには一家言あり。競馬と写真とゴルフも趣味。週1の自転車ツーリングとサウナでダイエットにも成功した。好きな言葉は「発想力は移動時間に比例する」。

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