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フレームとボディが別体の高級SUV

ジェラシック・ワールドの最新作をご覧になり、俳優のクリス・プラット氏がドライブする、1989年式ジープ・グランド・ワゴニアへ目が奪われた方もいらしゃるだろう。豪華なウッドパネルが懐かしい。

【画像】復活 ジープ・ワゴニアとグランド・ワゴニア ラングラーと競合の高級SUVを写真で比較 全123枚

DNAから蘇った劇中の恐竜とは違うものの、ジープ伝統のワゴニアも、この度復活を果たした。親会社のステランティス・グループが目指している、プレミアム路線拡大の一環として。


ジープ・ワゴニア(北米仕様)

ジープらしく、トラディショナルなシャシーフレームとボディが別体の構造を採用し、10インチ(254mm)の最低地上高が確保されている。渡河水深は約600mmまで対応する、本格的なオフローダーだ。

新しいワゴニアには、2種類が存在する。主な市場となる北米では、シボレー・タホやフォード・エクスプローラーといったフルサイズSUVと競い合うのが、今回試乗した通常のジープ・ワゴニア。シリーズIIというトリムグレードだった。

もう一方は、キャデラック・エスカレードやリンカーン・ナビゲーターといった、より高級なフルサイズSUVに位置づけられるジープ・グランド・ワゴニア。新しいレンジローバーなどとも、伍することになる。

エンジンは5.7Lか6.4LのV8 追って直6も

そんなワゴニアだが、当面は英国への上陸が予定されていない。ジープは2022年末をもって、内燃エンジンのみで走るモデルを欧州市場からすべて引き上げる計画を立てているためだ。

今のところ選択できるパワーユニットは、V8ガソリンエンジンのみ。通常のワゴニアには5.7Lのスモールブロックが載り、こちらにはeトルクとジープが呼ぶ電圧48Vのマイルドハイブリッドが組まれる。


ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)

グランド・ワゴニアには6.4Lのビッグブロックが載る。どちらも、ヘミ・ユニットという愛称が与えられている。

トランスミッションは、ZF社とステランティス・グループの共同開発となる、最新の8速オートマティック。0-97km/h加速を7.0秒でこなし、車重3t近いフルサイズSUVであることを考えると、不足ないダッシュ力だといっていい。

上級モデルに位置づけられるワゴニアらしく、パワーデリバリーは滑らか。リラックスして運転したいと思える。

2022年末には、新開発の直列6気筒ツインターボ・ガソリン、ハリケーン・ユニットも選択可能になる予定。こちらはV8エンジンよりエネルギー効率に優れ、よりパワフルだという。

広々とした空間でプレミアムなインテリア

大きなボディは、クラシカルだった以前のワゴニアと比べるとエッジが丸い。サイドシルエットは明確な2ボックスで、3列シートを余裕で収めている。

2スポークのステアリングホイールなど、インテリアのディティールには先代からの影響がうかがえる。かといってレトロ感はなく、全体的にデザインはモダン。上級なグランド・ワゴニアの場合は、ウォルナット・パネルで装飾される。


ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)

通常のワゴニアでも素材の質感は高く、組み立て品質も良好。プレミアムなモデルの位置づけに対応できている。ステランティス・グループの最新作としても、不足は感じられない。

当然のように、ダッシュボードの中央には大きなタッチモニターが鎮座する。Uコネクト5と呼ばれるインフォテインメント・システムを実装し、従来のシステムより動作は5倍も速いそうだ。

オプションとして、助手席の正面にもエンターテイメント用のモニターを追加できる。アマゾン・ファイアTVの視聴も可能だとのこと。

座り心地の良いシートは、3列ともソフトなナッパレザー仕立て。ジープによれば、2列目と3列目の膝下空間は、このクラスで最大のゆとりがあると主張する。確かに、筆者の10代後半の息子も3列目へ快適に座れていた。少々、乗り降りは大変そうだったが。

3列目を起こした状態での荷室容量は776Lと大きく、これも主なライバルを凌駕する。リアアクスルの位置が高いため、荷室のフロアも高いけれど。

前例ないほど洗練されたドライブフィール

全長が5453mmもあり、22インチという巨大なアルミホイールを履くワゴニアだが、想像より運転はしやすい。シャシーとボディが別体ながら、ジープとしては前例がないほど洗練されている。フレームの幅は、フルサイズ・ピックアップのラムより広いという。

ちなみに、新しいワゴニアにはロングボディのLも用意された。こちらの全長は5758mmと、さらに300mm以上も長くなる。


ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)

サスペンションは前後とも独立懸架式。コーナーでもボディロールは抑制され、路面の剥がれた穴などを高速で通過しない限り、その事実をドライバーには感じさせない。大径ホイールながら、衝撃が伝わってきても不愉快なほどではなかった。

ブレーキングも好印象。高速域から力強く減速し、ブレーキペダルの感触もしっかりしていた。試乗車はペダルのヒンジ部分から摩擦音が出ていたが、生産が進むと改善されるだろう。

燃費は、5.7L V8エンジンのワゴニアでは、都市部で6.4km/L。高速道路などを交えた複合条件でも7.3km/Lと、褒めにくい。

北米でもバッテリーEVへの流れは進んでいるが、まだ燃料を大量に燃やすSUVへの需要は小さくない。とはいえ、近年はガソリン価格が高騰しており、右足を控えめに操作しようと考える人も多いはず。

ジープ・ラングラーにはプラグイン・ハイブリッドが追加され、人気を博している。ワゴニアへも可能な限り早期に導入しようと、計画が進められている。

ジープ・ワゴニア・シリーズII(北米仕様)のスペック

英国価格:5万2000ポンド(約858万円/予想)
全長:5453mm
全幅:2123mm
全高:1920mm
最高速度:188km/h
0-100km/h加速:7.0秒(予想)
燃費:7.3km/L
CO2排出量:323g/km
車両重量:2808kg
パワートレイン:V型8気筒5654cc+ISG
使用燃料:ガソリン
最高出力:397ps/5600rpm
最大トルク:55.7kg-m/3950rpm
ギアボックス:8速オートマティック