“優れたマネージャー”とは「人格者」ではなく、 「役割」を演じ切る覚悟のある人
リモートワークでマネジメントの難易度は上がりました。「見えないメンバー」の行動を細かく管理したり、コントロールすることができないからです。大事なのは、「自走」できるメンバーを育て、彼らが全力で走れるようにサポートすること。そもそも、管理職は「自分の力」ではなく、「メンバーの力」で結果を出すのが仕事。それはまるで「合気道」のようなものです。管理職自身は「力」を抜いて、メンバーに上手に「技」をかけて、彼らがうちに秘めている「力」を最大限に引き出す。そんな仕事ができる人だけが、リモート時代にも生き残る「課長2.0」へと進化できるのです。本連載では、ソフトバンクの元敏腕マネージャーとして知られる前田鎌利さんの最新刊『課長2.0』を抜粋しながら、これからの時代に管理職に求められる「思考法」「スタンス」「ノウハウ」をお伝えしていきます。
「メンバーを信頼する」と決断するのが、
管理職の第一歩である
メンバーとの「信頼関係」──。
これが、管理職が仕事をするうえでの「インフラ」となります。特に、リモート・マネジメントでは、この「インフラ」がなければ管理職としてまともに機能することは不可能だと考えておいたほうがいいでしょう。
全員が職場に集まって仕事をする状況であれば、管理職はメンバーの「仕事ぶり」を目視することができますが、リモート環境下では、それができないからです。メンバーが積極的なホウレンソウをしてくれなければ、管理職は「現場の状況」を把握することができなくなるのです。
そして、メンバーは「信頼」できない管理職に対しては、ホウレンソウを躊躇しがちです。特に、「自分がやってしまった失敗」や「トラブルになりそうな案件」については隠そうとさえするでしょう。それでは、とてもではありませんが、適切なマネジメントを行うことはできません。だから、メンバーからの信頼を勝ち得ていない管理職にとって、リモート・マネジメントの難易度は異常に高くなるのです。
では、どうすればメンバーからの信頼を勝ち得ることができるのでしょうか?
このテーマは非常に奥深いものがありますが、ここでは、すべての前提となるポイントについて説明したいと思います。これを欠いては、何をやったところでメンバーからの信頼は得られないという最重要ポイントです。
それは、「まず、管理職がメンバーを信頼する」ということです。
なぜなら、メンバーは管理職をよく観察していますから、管理職の自分たちに対する「不信感」に敏感に反応するからです。そして、そのような管理職にネガティブな印象をもたれないように、彼らも警戒するようになるでしょう。そこには、疑心暗鬼が渦巻く関係性しか生まれないのです。
もちろん、管理職が信頼をしていたとしても、その信頼を裏切るようなことをしてしまうメンバーがいるのが現実かもしれません。しかし、だからといって、管理職がメンバーの裏切りを警戒しすぎると、「信頼関係」を醸成することは不可能。その結果、マネジメントの「インフラ」を構築することができず、いつまでたっても管理職としてまともに機能することができなくなってしまうのです。
であれば、まず、管理職がメンバーを信頼するほかありません。
メンバーが信頼を裏切るようなことをする可能性も織り込んだうえで、「信頼する」と決断するのです。
「決断する」というと、気遅れする人もいるかもしれませんが、たいしたことではありません。そもそも、メンバーは全員、会社の採用試験で「信頼できる人物である」と判断されたからこそ入社してきた人たちです。会社の判断を信じて、メンバーを信頼すればいいだけの話なのです。
