東京都の小池百合子知事、大阪府の吉村洋文知事が相次いで呼びかけた、接客を伴う“夜のお店”の利用自粛。しかし、名指しで利用自粛を言い渡された業界への補償について、自治体としての具体的策には触れなかったことから、“夜のお店”の経営や働く人たちの苦境が予想される。

 一方、30日の小池都知事の会見に同席した厚生労働省クラスター対策班の西浦博・北海道大学教授は「曝露が疑われる場所に関して、遊技場と言われるようなパチンコ店や雀荘というものは今の時点では報告がない。性風俗店に関しても同様で、今の時点では東京都内では報告がない」と発表した。

 31日のAbemaTV『AbemaPrime』に出演した、東京・新宿にあるデリヘル「輝き」のカグヤさんは「元々、イソジンや消毒液入りのボディソープを使っていただくなどしている。また、“輝き”の特徴として、家までの送り迎えがあるので電車に乗って出勤ということはない。最近では自宅待機か、待機所では窓を開けっぱなしにしたり、扇風機を回したりして換気をしている。そして事務所に入る時はスタッフさん、キャストさん全員がアルコール消毒をしているし、お喋りもあまりしないようにしている。出勤の度にマスクを支給されるようになっているので、お客様の元に行く時にはマスクをつけたまま。3月からは“キスなしコース“も始まった。だから普通のデリヘルよりも感染する確率は低いと思うし、私は若いので重症化しないだろうという気持ちもあるが、やはり怖い」と話す。

 それでも3月に入り、客足は遠のいているようだ。しかしカグヤさんは「それでも働かないとお給料がもらえない」と話す。

 「貯金がない人もいるし、働かざるを得ない状況にあると思う。ただ、やはり濃厚接触があるので、仕方がないという面もあるとは思う。“ふざけるな。遊びに行きたいのに”という気持ちも分かるが、対岸の火事ではない。世界全体がその火事で燃えているんだから、2週間だけは我慢して頂きたいと思う。私もお客様や、そのご家族にうつしてしまうのが怖い」。

 勝田吉彰・関西福祉大学教授は「中国・武漢で亡くなった女性を調べたレポートで、ノーマルなセックスで感染する可能性は少ないという結果を示唆するものがあったが、研究が進み、性風俗の中でも、どういう部分のどういう行動によって感染するのかがはっきり分かってくると、“こういうジャンルの、こういう行為を止めてください”という、ピンポイントな注意喚起ができるのではないか。ただ、残念ながら政府の専門家チームや役人、政治家の中に、こうした世界に詳しい人は少ない。例えば風俗ライターのような方をオブザーバーとして招致をしてはどうかと思っている」と指摘する。

 性風俗店で働く女性の無料相談を行っている一般社団法人「ホワイトハンズ」の坂爪真吾代表は「もともと2月、3月は風俗の閑散期だが、そこに今回のことが重なってしまったので、資金繰りが思うようにいかない、生活費や支払いを滞納してしまっている、といった相談がメール、LINE、Twitterでいっぱい来ている。これから閉業してしまうところも増えていくと思う」と話す。

 「風俗業界が社会のセーフティネットになっていた面もあると思う。東京で稼げないから地方に行ったが、地方でも稼げないとなると、打つ手がなくなってしまう。また、働いているということ自体、なかなか言えないというのが前提としてあるので、相談につながらないというケースも非常に多いのではないか」。
 

 感染した場合、時刻や場所、行動歴、状況、同行者などについて発症前2週間を目安に行動調査されるというが、坂爪氏の指摘どおり、客も「相手・店に迷惑がかかるから言いたくない」、店も「客に迷惑がかかるから言いたくない」ということも多く、追跡は難しいという実情もある。

 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は「例えば夫の収入だけでは生計が成り立たないということで、妻が隠れて働いているケースの場合、バレてしまうのではないかと心配するだろう。そういう、色々な事情の人がいらっしゃる状況を、どうやってカバーしていくのか。補償についても、何をどうやって補償するのかさえ、皆目わからない状況だと思う。ただ、口頭での聞き取り調査に対しては言えなくても、例えば厚労省がLINEと提携してスタートした調査や、SNS上の動きを追跡するといったことを通して調べていくということもできるかもしれない。監視社会と緊急事態の対応とのバランスも含めて、社会の判断になると思う」と話していた。 なお、パチンコ店について、キング観光のジェームス柳橋氏は、パチンコ店が“3密”でないというのは来ない人のイメージで、感染リスクはゼロではないが、社会が動いている現状では特に危険な場所ではないとしている。同氏によると、「密閉≠1時間に6〜10回、全空気が入れ替わる換気設備」「密集≠客は休日でも6割入れば優良店」「密集≠隣席者とは話さないし、分煙ボードの活用で隣席者と隔たり」といった状況だという。

 これに対し、前出の勝田教授は「私は産業医の仕事もしているが、保健管理が行き届いている“ホワイト企業”があるかと思えば、そうでない会社もある。パチンコ業界もピンからキリまであると思うので、一概には言えないのではないか」と懸念を示していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)