TikTok(ティックトック)は近年まれに見る成功を収め、いまや世界中で何百万人という若者がこのアプリを使っている。それはなぜだろうか?

TikTokはこれまで17億ダウンロードを達成している。その理由として挙げられるのが、TikTokのなかに広がる、現実離れした、無尽蔵にも思えるエンターテイメントの世界だ。専門家らは、TikTokはZ世代がターゲットだと分析している。それは初期の設計思想からも明らかで、TikTokは短い動画コンテンツが主で、使いやすく、ほかのSNSよりもバズりやすい特性を持っているのだ。また、Z世代に見られる起業家精神やクリエイター精神にも、完全にマッチするといえる。

「誰にでもチャンスがある」



ショッピングに関するライブ配信アプリを提供するNTWRKで、商品担当ディレクターを務めるドレイク・レーフェルト氏は、次のように分析する。「Z世代は動画プラットフォームの栄枯盛衰とともに育った世代だ。そんななか彼らが手間をかけずに自分たちを表現できて、大きな反応を得られるプラットフォームが大きな成功を収めてきた」。また、TikTokの編集ツールは使いやすいため、「TikTokのクリエイター率はほかのプラットフォームより高くなっている」という。

若者向けマーケティングコンサルティング起業のガールZ(GirlZ)のCEO、マディソン・ブレグマン氏は「いまや世界中の子供が起業家やインフルエンサーになることを夢見ており、TikTokはそんな時代のプラットフォームなのだ」と語る。「YouTubeよりTikTokのほうがフォロワーを増やすのは簡単だ」。

Z世代に関するリアルタイム分析プラットフォームを提供するゼブラIQ(Zebra IQ)のCEO、ティファニー・ツォン氏もまた、TikTokはインフルエンサーにとってバズらせやすいプラットフォームだと指摘する。同氏は例として、昨年春にTikTokを使いはじめたばかりのダンサー、チャーリー・ダメリオ氏を挙げる。ダメリオ氏は1年足らずで2400万人のフォロワーを集め、スーパーボウルのゴールデンタイムに放送されたサブラ(Sabra)のCMにも登場した。

ツォン氏によれば、TikTokのバズりやすさはアプリ設計にも理由があるという。「競争が公平で、誰でも話題になるチャンスがある。デフォルトで、フォローしていないアカウントを勧めるフィードもある」と、同氏は指摘する。

「TikTokは変なことをすると喜ばれ、さらにバズるという空間になっている。ほかのプラットフォームでは完璧を目指さなければならないし、それでもなお埋もれやすい」。

「自信を持てるようになるツール」



マーケティングエージェンシーのゴール・ストラテジーズ(Goel Strategies)の創業者イーシャン・ゴール氏は、TikTokのアルゴリズムが「コンテンツがさまざまな流行の波に耐えてバズり続ける」ように設計されていると語る。TikTokのコンテンツは比較的小規模なオーディエンス群に向けて届けられる。そこでシェアや再度の視聴、コメント、いいねなどで大きな数字を獲得したコンテンツは、より大規模なオーディエンスグループの目に増えるようになっている。これもバズりやすくするための仕組みだ。

TikTokで話題になり、インフルエンサーになることを目指すZ世代。Z世代のマーケティングコンサルタントのコナー・ブラックリー氏は、そんな彼らの動機について、不安感の裏返しではなく、楽しさを追求し、それを他者と共有したいからだと語る。「Z世代は、SNSについて、各ユーザーが一番良いと思えるものを投稿しているいわば『ハイライト場面集』のようなものだと理解している。彼らにとって不安感を解消するというより、もっと自信を持てるようになるためのツールなのだ」。

モバイル設計ツールキットを提供し、最近スクエアスペース(Squarespace)に買収されたアンフォールド(Unfold)の共同創業者アンディ・マクーン氏は、TikTokはインスタグラムの『ハイライト場面集』とは性質が異なると語る。同氏はTikTokのコンテンツについて「よりリアルで、生で、コメディーよりだ」と指摘する。「自己卑下のようなコンテンツすらあるし、ユーモアがあり、親近感を抱かせる動画が人気だ」。

マクーン氏は次のようにも述べている。「親近感が湧くような、本物の、生のコンテンツがある。だからユーザーは1日の終りにTikTokをスクロールして笑うのだ。『わかるわかる』と。これは非常に大きな魅力だ。個人的にTikTokのユーザーをたくさん知っているわけではないが、TikTokの魅力がそこにあるのは間違いない」。

Deanna Ting(原文 / 訳:SI Japan)