延長後半の109分、激闘にピリオドを打ったのはやはりケイヒル(右奥)だった。この日2点目を豪快ヘッドでねじ込んだ。さすがは千両役者だ。(C)Getty Images

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 オーストラリアがかろうじてシリアを下し、大陸間プレーオフに駒を進めた。
 
 ロシア・ワールドカップ・アジア予選の第5代表決定プレーオフは、10月10日にシドニーで第2レグが行なわれた。サッカルーズ(オーストラリア代表の愛称)は1-1のドローに終わった第1レグからスタメンを大幅に入れ替え、FWティム・ケイヒルやMFトム・ロギッチ、ジェームズ・トロイージらが先発に名を連ねた。
 
 キックオフ直後から圧倒的なボール支配でシリアを追い詰めるホームチーム。だが開始6分、思わぬ落とし穴にはまる。熟練工のDFマーク・ミリガンが自陣でパスをカットされ、そのままFWオマール・アッソマにゴールを決められてしまったのだ。痛恨のアウェーゴール献上。いきなり特大のビハインドを背負った。しかも11分にMFブラッド・スミスが負傷退場となり、アンジェ・ポステコグルー監督はMFアーロン・ムーイを投入。早々に交代のカードを一枚切ることとなった。
 
 それでもスタジアムの大声援を受けるオーストラリアは攻勢を仕掛ける。すると13分、あっさり同点に追いつく。ロギッチとMFマシュー・レッキーの鮮やかな連携から右サイドを打破し、中央のケイヒルへピンポイントクロス。これを稀代の英雄が豪快にヘッドでねじ込み、ホームサポーターに歓喜を運んだのだ。
 
 その後はワンサイドゲームの様相を呈しつつも、シリアもGKイブラヒム・アルマの好守など懸命の粘りで対抗し、ゴールを割らせない。試合は2戦合計2-2で膠着したまま延長戦に突入。シリアは94分にMFマハムード・アルマワスが2枚目の警告を受けて退場となるも、サッカルーズにいっさいの隙を与えず耐え凌ぎ……。そして迎えた109分、ドラマが待っていた。
 
 主人公は、またしてもタリズマン(お守り)。ケイヒルが代表通算50得点目のメモリアル弾を頭で再びねじ込み、シドニー・ANZスタジアムに漂い始めていた不穏な空気を一掃したのだ。試合はこのままタイムアップ。オーストラリアが2戦合計3-2でシリアを撃破した。
 
 サッカルーズが11月の大陸間プレーオフで対峙するチームは、日本時間の10月11日午前11時ごろに確定する予定。北中米・カリブ海予選の4位の座は、アメリカ、パナマ、ホンジュラスの3チームが候補だ。