世界を動かす大富豪3人の「3つの共通点」
(1)ゴルフ
▼「ホールインワン」の経験をもつのが大前提
ゴルフはよく経営にたとえられる。自分の実力を理解し、細心の注意を払い、大胆に攻める。「名経営者=名ゴルファー」の法則が、この3人にも当てはまる。
アメリカでは多くのゴルファーが、全米ゴルフ協会(USGA)のメンバーとして「公式ハンデ」(GHIN)を公開している。トランプのハンデは「3.0」(2016年6月1日現在)。過去1年間のスコアは、最高が「−2」、最悪は「+14」。八百長の指摘もあるが、相当の腕前はあるだろう。
米Golfweek電子版によれば、トランプは実業家として世界中で18のゴルフコースの経営にも携わっている。この中には全英オープンの開催コースとして知られる名門「ターンベリー」も含まれている。しかし2015年、主催団体は同コースでの開催見送りを発表。欧米メディアは「たび重なる人種差別発言が理由」と報じた。
柳井正は「趣味はゴルフ」と公言している。ゴルフ仲間で弁護士の名取勝也はこう語っている。
「『ゴルフをプレーしている時だけ、仕事のことを忘れられる』と、柳井さんはよく言っていました。仕事一途で、朝から晩までビジネスのことを考えている。週末、没頭できるゴルフを楽しむことで頭を空っぽにし、気分転換していた」(「日経ビジネスアソシエ」2014年6月号)
孫正義は、そんな柳井のゴルフ仲間の一人。自宅の地下にはシミュレーションマシンがある。しかも孫が自ら発明した特許技術で、世界中の有名コースを精密に分析し、雨や風も吹くという。
「これで毎日就寝前にワンラウンドし、その結果、名門ゴルフコースであるオーガスタを72のスコアで回れるまでゴルフの腕が上達したという」(三木雄信『孫正義名語録』)
3人はいずれもホールインワン達成者でもある。強運にも恵まれているのだ。
(2)早起き
▼「仕事を愛しているため出社が待ちきれない」
柳井の早起きは有名だ。
「平日は朝6時半に出社しています。16時には仕事を切り上げ帰宅し、読書をしたり、テレビを見たりして自分の時間を過ごしています」(「週刊現代」12年12月15日号)
社員にも16時までに退社する働き方を勧め、柳井自身、夜の会食にはほとんど出ない。週末は主にゴルフだ。
同じ早起きでも、トランプは「仕事の虫」だ。自伝によると、起床は6時頃で、出社は9時。退社は18時だが、24時まで自宅から仕事の電話をかけ続ける。
「私は1日に3〜4時間しか眠れない。あまりにも仕事を愛しているため、私は朝起きて仕事に行くのが待ちきれない」(『でっかく考えて、でっかく儲けろ』)
孫も同じく、仕事が好きでたまらず、休みがいらないタイプだ。
「日本がゴールデンウィークの連休なので、海外で思いっきり朝から夜中まで思う存分仕事しています」(Twitterより)
孫が議案を思いつくと、いつ何時でも幹部はネット上での会議に招集されるのだという。
(3)仕事術
▼目標は高く大きく問題解決は1つずつ
大きな目標をかかげ、それに対して1つずつ問題を解決する。トランプ、柳井、孫の仕事術は、結局この点に尽きる。
柳井は、経営者の条件に「理想を追求する力」を挙げる。自分自身にも、周囲にも、「目標を高く持って仕事をしているか」を常に問いかける。
孫の座右の銘は「志高く」。Twitterにはこんな投稿がある。
「ほら吹きと嘘つきは、似て非なるものである。常人では信じられない程の夢や志を語り、万が一達成出来ない時それは、ほら吹き。しかし、そこには夢や志がある。明るい願望がある。現実を見れない阿呆かもしれないが、前進の可能性がある」
もっと乱暴な表現が好みであれば、トランプは次のように書いている。
「壮大な世界から俯瞰したとき、あなたにとっての大問題はちっぽけなことなのである」(前掲書)
成功のためには、まず「でっかい夢」を持つべきなのだろう。
(伊藤 達也 写真=時事通信フォト)