KADOKAWA公式HPより

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香港を拠点とするアクティビストファンド(物言う株主)のオアシス・マネジメントがKADOKAWAにかみついた。夏野剛CEOの解任を求めたのだ。6月24日に開催が予定されている株主総会で夏野氏は再任か解任かを問われることになる。

KADOKAWAは2026年3月期の純利益が前期比で8割減少。期初予想は5割の増益であり、大幅な修正を迫られることになった。減益になっている要因の一つが、主力の出版事業の不調だ。2026年3月期は営業利益が5割減少している。

業績を支えるライトノベルで、ヒット作を生み出すことに苦慮しているのだ。KADOKAWAはなろう・異世界系など得意とするジャンルに偏重し、勝ちパターンに依存していたことが収益性悪化の要因だと分析している。これまでは出版点数を重視してきたが、今後は質にこだわる体制に改めるという。

オアシスは3月30日にKADOKAWAの株式を買い増し、13.76%を保有するに至っている。ソニーグループなどの大株主を抜いて筆頭株主に躍り出た、影響力の強い存在だ。オアシスは5月21日に「より強いKADOKAWA」という資料を公開した。KADOKAWAの業績が悪化している事実を明らかにした上で、その要因を分析。KADOKAWAの株主に対して夏野氏の解任議案に賛成するよう求めている。

夏野CEOが本業に専念せず

オアシスが問題視しているものの一つが、夏野CEOが経営に集中していないことだ。夏野氏はグリーホールディングスやU-NEXT HOLDINGS、日本オラクルなどの社外取締役を務めており、近畿大学の特別招聘(しょうへい)教授、情報学研究所長など、教育機関でも重要な役割を担っている。一般社団法人日本雑誌協会といった業界団体の理事も務める多忙さだ。

そして、「ABEMA Prime」のコメンテーターとして頻繁に番組に出演。2026年1月から4月までで合計10回も出演していた。オアシスは夏野氏が「KADOKAWAの経営に十分専念しているのかについて大きな疑問が生じる」とコメントしている。

確かに夏野氏は「ABEMA Prime」への出演を重ねていたが、経営に集中できないほどだったかどうかは微妙なところだ。KADOKAWAは2024年に大規模なシステム障害に襲われ、「ニコニコ動画」がサービスを停止する事態に陥った。出版の受注システムも機能停止となり、出版事業にも影響が出ている。しかし、2025年3月期は8%近い増収であり、営業利益は1割減に抑え込んだ。

オアシスは、KADOKAWAが過去に買収したアニメスタジオ・動画工房の減損処理をしており、このM&Aは失敗だったと非難している。しかし、この制作会社はヒットアニメ「【推しの子】」を手がけている会社だ。「【推しの子】」は、2025年3月期のKADOKAWAのタイトル別売上ランキングにおいて、ぶっちぎりの1位を獲得している。

この作品の原作は集英社が手がけている。ライバル社のIPにKADOKAWAが一枚かむことができたのも、動画工房を買収したからこそのものだ。KADOKAWAがIPの創出と影響力の拡大に力を入れたのは、夏野氏がCEOに就任してからのことだった。その戦略が奏功していると見ることもできる。

業績不振で早期退職募集も

KADOKAWAは2026年3月期の業績不振を受け、45歳以上の従業員に対する早期退職者の募集を行った。多くのベテラン編集者が含まれることになると考えられるが、書籍販売のカギを握る編集者を減らすことが本当に会社の再成長につながるのかは不明確な点が多い。それだけに、組織のスリム化を断行した経営トップの責任が伴う。再建に向けて歩み始めた今の段階で、夏野氏がCEOから離れることが得策であるのか。その判断は難しい。

一方、夏野氏がメディアに過度な露出をして悪目立ちしたのも事実だ。オアシスは過去のX(旧Twitter)での発言も掘り起こしており、従業員や顧客の反感を買うような内容が多いと批判している。夏野氏の脇の甘さが露呈した結果だ。

夏野氏はメディアやSNSでの発言を抑え、真摯(しんし)に会社の経営や株主に向き合うときが訪れたようにも見える。

文/不破聡 内外タイムス