女子アナ=清廉潔白、キラキラしたエリート。そんな固定観念を豪快に笑い飛ばすのが元テレビ西日本(TNC)の佐藤有里香アナウンサー(30)だ。2023年にスタートしたYouTubeチャンネル「佐藤アナの大酒記(だいしゅき)」は世間の女子アナのイメージを壊すように、酒を浴びるように飲み、競馬、競艇とギャンブルに熱中する姿はさながらアナウンサー界の島崎和歌子。7万人以上の登録者を集めた。

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 高校時代の偏差値30の劣等生だった彼女がアナウンサーを目指した理由から、挫折を救った競走馬ノンコノユメの激走。そしてテレビ局の面接でのまさかの行動まで、従来の女子アナのイメージを覆す泥臭いキャリアに迫った。(全2回の1回目/2回目に続く)


佐藤有里香アナウンサー ©志水隆/文藝春秋

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高校時代は赤点ばかりで大学受験も志望校落ち

――YouTube「佐藤アナの大酒記」を拝見していました。酒に競馬、競艇と従来の女性アナウンサーのイメージを覆す姿が衝撃でした。佐藤さんは野球もお好きなんですよね。

佐藤有里香さん(以下、佐藤) 生まれも育ちも仙台なので、東北楽天イーグルスのファンです。明治大学時代はファイターズ鎌ケ谷スタジアム、横須賀スタジアム、ジャイアンツ球場まで楽天を追いかけて、関東にある1軍、2軍の球場は全部制覇しました。

――大学は明治大学へ編入試験で入られたそうですが、高校時代は偏差値が低かったとか。

佐藤 高校時代は偏差値30でした(笑)。第1志望の高校に入るのがゴールで、高校時代はびっくりするくらい勉強しなかったんです。理系コースを選んでいたんですが、化学8点、数学12点を取ったりしていて。赤点を取りすぎて、何度も呼び出されていました。

 大学については、母は地元の宮城の大学に行ってほしいとずっと言っていたんです。ただ、私は地元から出たくて。でも、それこそ進路がずっと決まらずに、1回浪人をしました。

――そのときには明治大学に行きたいという思いはあったんですか。

佐藤 MARCHのどこかがいいなと思っていました。当初は青山学院、立教もいいなと思っていたんですけど、最終的にスポーツが強く、東京六大学野球もある明治を第1志望にしていました。

 ただ、本番で思うような結果が出ずそこでも失敗して……。「もうここでもいいや」と投げやりな気持ちである大学に入ったんですけど、入学してからやっぱり諦めきれなくて。

 人生は一度きりだし挑戦したいと思い、親に「ごめんなさい。編入試験を受けたい」と相談して、大学に通いながら編入予備校に行く生活をしていました。

周りは“ミスコン出身者ばかり”の厳しいアナウンサー試験に挑戦

――その甲斐もあり、20歳で明治大学の2年生に編入します。そこからなぜアナウンサーを目指すことになったんですか。

佐藤 ある時、中学校の先生から「声が大きいしハキハキしてるから、佐藤さんはアナウンサーに向いてるんじゃない?」と言われたことを思い出したんです。

 ただアナウンサーになる人ってミスコン優勝者であったり、読モであったりとキラキラした方が多い中で「私なんかが目指していいのかな」と気後れする部分もありました。

 それでも、挑戦してみないとわからないじゃないですか? 念願だった明治大学に編入で入れたことで挑戦が大事だと身にしみて感じていたので、やれるだけの努力は自分なりにして、アナウンススクールに通い始めました。

――アナウンススクールに行くと、周りはミスコン出身者ばかりなんですか?

佐藤 多かったです。インターンシップや採用試験は特にすごかったです。みんなネットで名前を検索したら出てくる子ばかりなんですよ。既にテレビに出ている子もいました。

 逆に私は名前を検索してもネットに出てこないので「何をやってる子なの?」とすごく聞かれて。「普通に大学生をやっています」と返していました。

 周りの子はもうネームバリューがある子ばかりだったので、ずっと悩んでもいたんですけれど「でも自分は自分だ」と思うようにしていました。

――アナウンサー試験は厳しいことで有名です。キー局から始まり、そこで落ちると準キー局、地方局と試験が続いていきます。

佐藤 大変でした。いろんな子がいるんです。どうしてもアナウンサーになりたくて、全国のテレビ局をひたすら受ける子もいれば、もう東京だけでいいやと諦める子もいます。

 全国各地の試験を受ける子の中には、宿泊費や交通費などがトータルで100万円以上かかった子もいますし、全泊ネットカフェで済ます子もいます。

 私はキリがないので、自分の中で「基幹局」と決めていました。東京、大阪、名古屋、福岡、北海道、広島、宮城。自分が宮城出身なので、なるべく宮城より大きい局がいいなと思っていました。

 それでインターンシップから東京、大阪の局に参加させてもらって、試験も東京、大阪のテレビ局から受けていました。インターンシップから数えると、大阪だけで30万円はかかっていたと思います。

 ただ大阪の局の試験でいいところまでいきながら、落とされてしまって。あんなに人事の方は仲良くしてくれたのに、一瞬で落とされることを経験して、人間不信みたいになっていました。

ノンコノユメの激走を見て「夢って諦めちゃいけないんだ」と勇気をもらった

――就職試験に落とされると、自分の人間性を否定されたように感じてしまうのでつらいですよね。何が支えになったんですか?

佐藤 競馬です。「もう人間は信じられない」「馬だ!」となって(笑)。たまたまアナウンサー試験がいち段落したときにあったのが2018年のGI「フェブラリーステークス」です。アナウンサーの夢を追いかけていたので、夢が名前につくノンコノユメの馬券を買いました。

 レースは東京競馬場に1人で行って馬券を握りしめながら見ていたんですが、最終の直線で大外からビュンと強烈な末脚が炸裂して、最後はクビ差でノンコノユメが1着になったんです。その姿を見て「あっ、夢って諦めちゃいけないんだ」と就職試験に臨む勇気をもらいました。

 そのレースが競馬にどっぷりハマるきっかけにもなって、中央競馬だけでなく大井競馬場や川崎競馬場と地方競馬にも行くようになりました。

――ノンコノユメは佐藤さんにとって恩人ならぬ恩馬なんですね。

佐藤 そうなんです! 内定をいただいたTNC(テレビ西日本)の試験では、ノンコノユメの写真を待ち受けにしていました。面接でもノンコノユメの話をしましたし、毎回、馬券を持って面接に挑んでいました。

――どういうことですか?

佐藤 1次試験は面接時間を選択できたので、あえて競馬の発走時刻とぶつけました。その日は桜花賞だったんですが、面接で「私は今日の桜花賞、アーモンドアイ、ラッキーライラック、リリーノーブル。この3頭で馬券を買います」と自己PRしたんです。

 そうすると面接官も「なんだこの子」ってなりますよね。それで面接官の1人がスマホでレース結果を検索したら「その3頭が1着、2着、3着で決まってる!」となったんです。

 それでありがたいことに面白いと思ってもらったのか、通過させていただいて。その後も最終面接まで毎回その日に行われるレースの馬券を持って、予想を披露していました。

――TNCはFNN系列で競馬中継をしていることもあって好感を持たれたのかもしれませんが、それだけ競馬推しで受かった女性アナウンサーは佐藤さんくらいかもしれないですね(笑)。

佐藤 ノンコノユメのおかげですね。切り替えて、もう悔いのないように自分らしく行こうと臨んだらレースから2か月後にはTNCに受かっていました。

 自分らしさでいえば、アナウンサー試験あるあるなんですが、エントリーシートで「あなたの人柄や個性がわかる写真」を送ってほしいと言われるんです。

 TNCのときは「あなたらしいスナップと全身写真が欲しい」とあったので、お酒を飲んでる写真と、楽天のユニフォームを着て、島内(宏明)選手のタオルを掲げた写真を2枚送りました。

テレビ西日本に入局後はスポーツ、野球、競馬を担当

――お酒に、野球、そして面接で競馬と佐藤さんらしさ前面で合格したんですね。TNCに限らず福岡のテレビ局は福岡ソフトバンクホークス一色ですが、そこで楽天のユニフォームというのも面白いですね。

佐藤 面接官の方からも「TNCに入ったらホークスを応援する?」とめちゃくちゃ聞かれました。なので「もちろん応援します。ただイーグルス対ホークスの試合があるときは演じるかもしれないです」というお話をずっとさせてもらってた記憶があります(笑)。

――TNCでは報道番組のスポーツコーナーや野球中継、さらに競馬中継「KEIBA BEAT」を担当していました。

佐藤 ありがたいことに希望通りにスポーツをやりたい、野球をやりたい、競馬をやりたいという思いを叶えさせてもらいました。

――佐藤さんは楽天ファンですが、福岡の番組ではソフトバンクを取材することが中心です。そこは複雑ですよね。

佐藤 みんなには私がイーグルスファンとはばれてました(笑)。仕事はホークスですが、プライベートで1人でイーグルス側のチケットを買って応援してました。

 ただホークスは選手やコーチ、監督の皆さんにも大変お世話になりましたし、優勝した時は嬉しかったです。

――野球選手には競馬好きも多いですし、その点は役に立ちましたか。

佐藤 選手のみなさん競馬であったり、ボートレースが好きな方が多いのでいろいろとお話しさせてもらいました。

 スター選手の柳田悠岐さんは馬主でもあるので、むしろ馬の話しかしてないです(笑)。「いい産駒どれ?」「私はスワーヴリチャード産駒が好きです」「ああ、スワーヴね」みたいな感じで。

撮影=志水隆/文藝春秋

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(徳重 龍徳)