大谷翔平(C)共同通信社

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「ユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアム? 一部のドジャースファンにとっては、(自分の)名前を間違えられたようなもの」(Uniqlo Field at Dodger Stadium? To some Dodgers fans, that's a case of mistaken identity)

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 こんな皮肉めいた見出しの記事を書いたのは、米紙ニューヨーク・タイムズ傘下のスポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」(サム・ブラム記者)。

 日本の衣料メーカー「ユニクロ」が今年3月、ドジャースとパートナーシップ契約を結び、球場内のあちこちに広告が掲出されていることに関し、ファンから「不快だ」「歴史がたくさん失われてしまう」などと、否定的な声が上がっていることを紹介した。

 ユニクロの柳井正会長は、ドジャースタジアムでの会見で「ユニクロフィールド・アット・ドジャースタジアムと呼んでください。ぜひ、これを暗記してください」と言った。MLB公式サイトはこの名称を表記しているが、地元のファンやメディアの一部は、この名称を好意的に受け止めていないようだ。日本の主要メディアも「ドジャースタジアム」としている。

 今回のユニクロとドジャースの契約は、ロサンゼルス・タイムズによれば、5年1億2500万ドル(約200億円)以上。球場のフィールド部分のみの命名権でありながら、他球団の球場全体の命名権よりも年間平均額は非常に高いという。メジャーリーグに詳しいスポーツライターの友成那智氏は「パートナーシップ契約とはいえ、普通ではありえない内容です」と、こう続ける。

「他球場の命名権の契約期間は15年、20年、30年と長期間。5年という短期契約の例はあるにはあるが、ド軍のような名門球団ではまずない。ニューヨークが本拠地のメッツはシティバンクと20年契約を結んでいるし、同じ日本企業のダイキンはヒューストンが本拠地のアストロズと15年総額1億4000万ドル規模の契約を締結、『ダイキン・パーク』となった。ダイキンに対してはあまり否定的な声は聞こえてきません。ヤンキースやレッドソックスなどは命名権契約を結んでいない。というか、命名権には手をつけていない。球場名は、その土地の文化の一部とみなされているからです」

「ファンが不快に感じても不思議ではない」

 ドジャースタジアムも開場から64年が経過。それなりの文化がある。

「5年という契約期間は、大谷翔平の人気を当て込んだものであるのは間違いないでしょう。とはいえ、ド軍は昨年の選手総年俸が30球団トップの約659億円。支出は多いが収入も桁違いに多い。入場料収入、放映権収入を含めた収益は30球団で断ゼンのトップ。フォーブスによれば、25年の収益は推定約1343億円。2位ヤンキースの約1122億円を大きく上回る。ベラボーに儲かっているにもかかわらず、中途半端な形の命名権を5年200億円という巨額で売った商魂たくましいド軍に、あざとさを感じる向きが少なくないのでしょう」(友成氏)

 そんなド軍の商法は、大谷ら日本人選手にマイナス影響が及ばないとも限らないという。前出の友成氏が続ける。

ドジャースは昔から日本人選手がプレーするなど多国籍のチーム。その点はファンもメディアも免疫はある。しかし、球場のあちこちにユニクロの広告があれば、不快に感じても不思議ではない。昔のハーシュハイザー、バレンズエラの時代からのオールドファンは特にそうかもしれない。ド軍は多くの日本人選手を獲得し、多くの日本の企業とスポンサー契約を結んでいる。経営的に成功を収めるものの、今回のユニクロとの契約に対しては、名門球団としてのプライドを問う声が出ているのが現状です。ド軍が今後も常勝チームを維持し、大谷や山本も活躍し続ければいいですが、そうでなくなれば、日本人選手に不満を抱いたり、批判の矛先が向く可能性はあります」

 実際、佐々木朗希はオープン戦が不調だったにもかかわらず開幕ローテ入りし、批判の声にさらされた。

「佐々木をマイナー降格させないのは、オーナーの意向ともいわれています。それが日本市場開拓の一環だとすれば、ファンやメディアは納得しないでしょう」(友成氏)

 ド軍はすでに、郄橋宏斗(中日)や佐藤輝明(阪神)ら、日本の逸材に目をつけているといわれている。日本企業とのスポンサー契約も減ることはないだろう。日本マネーで儲けるのも結構だが、過度な金満主義がいらぬ火種になりかねない、というわけだ。

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 ドジャースと言えば、昨季WS連覇の裏で、佐々木朗希の“幼稚さ”を象徴するような「報奨金事件」が発覚した。いったいどういうことか。水面下では何が起きていたのか。●関連記事 【もっと読む】“幼稚さ”露呈した佐々木朗希「報奨金事件」 では、それらについて詳しく報じている。