「外国人が増えた」「ママ離れが進む」…子ザルのパンチくん“大フィーバーから1ヵ月”で見られた変化

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空前のフィーバーは、1ヵ月が経過しても冷めることはなかった。

2月5日、市川市動植物園は公式Xに〈パンチの成長を温かく見守ってください!〉というテキストとともに、オランウータンのぬいぐるみ(通称:オランママ)を抱いた子ザルの写真を投稿した。ツイートは瞬く間に拡散され、2月中旬からは、パンチくん見たさに来場者が殺到。テレビでも連日取り上げられるなど、“パンチくんフィーバー”が日本列島を席巻した。

あれから1ヵ月――。最盛期に比べたら報道も減ってきたが、パンチくん人気はいったいどうなっているのか。FRIDAYデジタルのカメラマンは現地に足を運んだ。

まるでアイドル会場のような熱気

訪れた日は平日だったにもかかわらず、午前中から多くの来園者がサル山を取り囲んでいた。ざっと見渡しても100人以上はいるだろう。子供連れの家族も多く、カメラマンの近くにいた小学生くらいの男の子は、母親と、

「パンチくん、今日はまだ出てこないねぇ」

「早く見たいな〜〜。ママが呼んでよ!」

など、ほほえましいやり取りをしていた。女性ファンの追っかけグループもいて、「さっきはサル山にいたけど、また飼育部屋に戻ったままですよ」など、友人へリアルタイムに情報を共有していた。「いまは奥で寝ているんですかねぇ?」「どれがパンチですか?」など、サル山を囲む来園者同士が誰ともなくそんな会話をしていて、なんとものどかな光景だ。

寒空の中で、1時間近く待たされたという時だった。

 「あーー! パンチだ! 出てきたよ!!」

歓声の先には、飼育小屋の出入口から姿を現した小さな子ザル。右手にオランママを掴んで離さない姿は、まさにあのパンチくんだ。

大勢の来場者が、その一挙手一投足を追う。黄色い歓声が飛び交い、サル山はまるでアイドルのライブ会場のような熱気に包まれていく。そんな歓声は意に介さず、パンチくんはオランママを置いてサル山をちょこちょこ駆け回ったあと、何匹かのサルに寄り添ったり、毛繕いをしたりしていた。群れとも少しずつ馴染み出しているようだ。

外国人観光客が急増していた

周囲のサルと積極的にコミュニケーションを取ろうとするパンチくんだが、やはり大きなサルの中に苦手な者がいるのか、接近する気配を察して遠ざかったりする場面も。敵意を持つような仕草をするサルもいるのだが、それをかばうようにパンチくんを抱き寄せるサルもいた。実の母親とは違うのだろうが、まるで家族のような動きを見て、

「パンチくんよかったねぇ」

とホロリとする来場者も。まるで「全米が泣いた」といった状態だ。

チェーンをつかんでよじ登ろうとしたとき、横にいたサルがまるで「おい、俺が先だぞ」というかのように横取り。手が滑ったパンチくんが背中から落っこちてしまう場面もあった。“これが動画に上がっていたイジメっ子か……”と思いきや、その後はパンチくんと一緒に行動している。どうやら最近できた仲間だろうか。「おいパンチ、チェーンはこうやってつかまって登るんだよ♬」とお手本を示したのかもしれない。

パンチくんが現れた昼前から、来場者は増加の一途をたどった。興味深かったのは、外国からの来場者が多かったことだ。午後には、観衆の3割ぐらいが外国人となり、「キュート!ベイビーパンチ」などの歓声が飛び交っていた。ほかにもフランス語やベトナム語、タガログ語などが聞こえ、世界に広がるパンチ人気を実感することができた。

15時になろうかというころには、サルたちが飼育部屋のドア前に集まりだした。エサの時間だ。中から飼育員2人が現れると、さらに大きな歓声が上がった。パンチくんだけが、エサを配り歩いている飼育員さんに飛び付くと、脚や腕に抱きついたまま離れようとしないのだ。

エサの時間が終わると、パンチくんは別の仲良しサルとともに、オランママを連れてサル山の中腹へ登っていく――と、次の瞬間、今度は観衆の間から悲鳴が上がった。オランママが断崖から転落してしまったのだ。「オーマイゴッド!」「アイヤーー!!」など、外国語の悲鳴も聞かれた。

しかしパンチくんは、オランママを心配する様子はまったくなし。仲良しになったサルに寄り添うなど、仲間とともに1時間以上過ごした。この日、閉園時刻までオランママの元に戻ることはなかった。

「東南アジア圏でのパンチ人気もすごいようです。イベントで訪日していたフィリピンの国民的人気コメディアンが急遽パンチのもとを訪れる姿が現地のニュース番組でも紹介されました。そんなパンチも、昨年7月に生まれてからすでに半年以上が経ちました。ニホンザルは半年で親離れが始まるので、パンチも徐々にオランママ離れが進んでいくでしょう。ただ、それはパンチが大人になるということ。これからもその成長を見守っていただけるとありがたいです」(動植物園関係者)

市川市動植物園の公式SNSでも連日、子ザルの友達ができたり、群れの中で馴染むようになったなどと経過が報告されている。変わらない人気のウラで、パンチくんは着実に大人への階段を上っているようだ。

PHOTO・取材・文:結束武郎