「この二人、結婚します」と紹介され… 4歳差カップルが令和に“お見合い婚”を成就させたワケ
人生いろいろ、家族もいろいろ、幸福の形もいろいろ。近年、「結婚がゴールではない」という声も大きくなりつつあるとはいえ、ゴールインした二人には幸せになってほしいと思うのが人情というものだろう。
そして、そのゴールに到達するまでには、十人十色のドラマがあるのは言うまでもない。目下、幸せに包まれているカップルにエールを送りつつ、出会いから現在までを根掘り葉掘り聞いてみる「令和の結婚事情レポート」。
今回登場していただくのは、昨年6月27日に入籍、11月16日に華燭(かしょく)の典を挙げた、東京・浅草橋の老舗佃煮店「鮒佐(ふなさ)」の六代目、大野真徳(まさのり)さん(31)と後藤美乃里さん(27)だ。

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第一印象は「かわいらしいな」
2024年8月3日が出会いの日。お見合いだった。神奈川県秦野市の「出雲大社相模分祠」。彼女にとっては地元で昔から世話になっている神社だ。真徳さんの母の知人から「(真徳さんに)いい人を」と相談された宮司が引き合わせた。
相手への第一印象は「かわいらしいな」と真徳さん。「強そうな人」とは美乃里さん。互いにそう感じたのもつかの間、同席した美乃里さんの祖父と真徳さんがゴルフトークで盛り上がり、見合い中は二人でほとんど話せずじまい。一段落して市内の創作フレンチ店に二人で出かけた。バックパッカーとして世界60カ国以上を旅してきた真徳さんの話に、海外旅行は豪州しか経験のなかった彼女は面白さや新鮮さを覚えた。
9月初旬の浅草デートを挟み、同月17日に宮司の誘いで両国国技館に大相撲観戦へ。その前に初めて美乃里さんは「鮒佐」を訪れた。彼の父母とはこれが初対面だったが、少し早めに店に着いてしまい、真徳さんが店の用事を終えて戻るまでの間、父君から「六代目を継げと言ったことはないんだが、継ぎたいと思ってやってくれているようでありがたい」と聞かされ、安堵するものがあった。
「老舗に嫁ぐとしたら」
知らず知らず感じていたプレッシャーが、その言葉で氷解したような心持ちとなったからだ。
伊勢ヶ濱部屋で“事件”が……
とはいえ、まだこの時点では交際開始前。ところが国技館で“事件”は起こる。
相模分祠は毎年の節分に伊勢ヶ濱部屋の力士を招くほど部屋と懇意で、親方にあいさつに行くと……。
「この二人、結婚します」
宮司にいきなりそう紹介された。親方も「これはおめでとうございます」。
打ち出し後、部屋へ行くとおかみさんやその友人らからも「結婚するんですって? おめでとう!」。
帰りに二人で錦糸町のカフェを訪れ、彼女がおもむろに口を開いた。「(二人の関係を)どうしていきましょうか」。この真っ直ぐな問いかけに「信頼できる人だ」と感じた彼は「結婚を前提にお付き合いしましょう」と申し込んだ。
プロポーズは空の上で?
求婚するより前に結婚式場が決まるも、彼はケジメとしてプロポーズしたいと告げる。と、彼女からのリクエストは「キレイな場所でお願いしたい」。
そこで彼は空での決行を計画。25年4月24日、ヘリコプターで遊覧飛行することになり、彼女は「これは……」と直感、着けていた指輪を外して乗り込んだ。
千葉・船橋を飛び立ち、彼は東京タワーの見える位置での求婚を考えたが、ヘッドセット越しの会話は途切れがち。あっという間に通過した東京タワー。「次に通過する時だ!」と彼は意気込むも、再び通ることはなく、船橋に戻ってしまった。
帰りの車で「実はさっき……」と白状した彼に「だよね」と彼女。その場で改めてトランクから12本のバラを取り出して求婚。美乃里さんは「(途切れ途切れのヘッドセットより)生の声で言ってくれてよかった」と笑顔で受け入れた。
年初から約1カ月間、欧州に新婚旅行へ出かける予定だったが、急きょ延期に。彼女のお腹に新たな命が宿ったためだ。「(真徳さんが)私とは全然違う世界を見てきたように、子どもにもいろんな挑戦をさせてあげたい」と美乃里さん。彼は元来人見知りで人と話すことすら苦手だったが、バックパッカーの経験で払拭した。「子どもにはさまざまな経験をしてほしいし、させてあげられる環境を整えたい」(真徳さん)。準備は万端だ。
「週刊新潮」2026年2月19日号 掲載
