「もう、日本に敵はなし」日本競馬史上最強マイラー・タイキシャトル【もうひとつの最強馬伝説】

第48回 安田記念 を制した岡部幸雄騎手騎乗のタイキシャトル(c)SANKEI
国内に敵なし!いざ海外へ!
3歳秋以降は芝の短距離~マイル戦を使われ、マイルCS連覇、スプリンターズS、安田記念、フランスのジャック・ル・マロワ賞といった国内外のGIを含む重賞7連勝を達成した、「日本競馬史上最強マイラー」の呼び声高いタイキシャトル。
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その現役時代について、管理していた藤沢和雄元調教師に聞いたお話を、選りすぐりの名馬36頭の素顔と強さの根源に迫った『もうひとつの最強馬伝説~関係者だけが知る名馬の素顔』(マイクロマガジン社)から一部抜粋してお届けする。
アメリカ生まれのタイキシャトルは、1990年代の後半に1600メートル以下の短距離路線で輝かしい実績を残し、その名を歴史に刻んだ。
安田記念制覇、マイルCS連覇、さらに欧州GⅠのジャック・ル・マロワ賞を制するなど、日仏でGⅠを5勝。1998年度のJRA賞では短距離を主戦場にした馬としては初めて(外国産馬としても初めて)の年度代表馬に輝き、今でも〝史上最強マイラー〟との声が上がる。
「なかなかいないよ、タイキシャトルのような馬は...」
そう語るのは現役時代に管理していた藤沢和雄だ。通算13戦11勝2着1回3着1回。1年8カ月の競走生活で取りこぼしは2回しかなく、いかに能力が高かったかを物語る。
デビューしたのは3歳(当時の表記は4歳)の4月。脚元や蹄のアクシデントなどもあり、入厩の時期が当初の予定から遅れた。入厩後はゲート試験を立て続けに不合格となり、さらにデビューが遅れた経緯もある。
「ものすごく周囲に気を遣うところがありましたね。よく耳を使ったり、慎重に周りを見ていました。ゲート試験のときも扉が開くのを慎重に見ていたんだと思います」
そんな中で迎えたデビュー戦。ソエ(若馬に特有の管骨骨膜炎)が出るなど脚元も固まっていなかったため、藤沢は東京のダート1600メートルを選択した。
このレースを4馬身差で楽勝し、続く2戦目の条件戦(京都のダート1200メートル)も連勝。3戦目の菖蒲Sで初めて芝(1600メートル)のレースに出走させ、無傷の3連勝を飾った。
4戦目の菩提樹S(クビ差2着)では伏兵のテンザンストームに逃げ切りを許したが、次のユニコーンS(ダート1600メートル)で重賞初制覇。
秋には始動戦のスワンSを勝ち、マイルCS→スプリンターズSとGⅠを連勝。堂々の4連勝を決め、1997年度の最優秀短距離馬に選出された。
翌1998年。この年がタイキシャトルのハイライトになる。春に京王杯SC→安田記念を連勝。「もう、日本に敵はなし」と実況され、海外遠征の構想が現実味を帯びた。
「(海外では)その前にタイキブリザードのアメリカ遠征(BCクラシック=1996年13着、1997年6着)で散々な結果になっていた。ヨーロッパの馬たちも強いし、よく雨が降る時期だし、それが嫌だと思っていたんです。でも、あの安田記念は極悪の不良馬場になった。向こう(フランス)の馬場よりも重たかったんじゃないかと思う。そんな状況で本当に強烈な勝ち方だったし、これなら行くしかないと...。結局、この年のフランスは猛暑続きで晴れたんですけどね」
陣営がターゲットにしたのは8月のジャック・ル・マロワ賞(芝1600メートル)だ。
その1週前には同じく日本調教馬のシーキングザパールが現地のGI(モーリス・ド・ゲスト賞)を勝ち、国内外からタイキシャトルの勝利を期待する声が一段と大きくなっていた。
「当時、(シーキングザパールの)森秀行調教師から『うちの馬が勝ったんだし、タイキシャトルなら楽勝ですよ』なんてことを言われて...。余計なプレッシャーをかけられたことを覚えています(笑)」
■タイキシャトル プロフィール
生年月日:1994年3月23日生まれ
性別:牡馬
毛色:栗毛
父:デヴィルズバッグ
母:ウェルシュマフィン(母父:カーリアン)
調教師:藤沢和雄
馬主:大樹ファーム
生産牧場:Taiki Farm(米国)
戦績:13戦11勝
主な勝ち鞍:マイルCS(2 回)、スプリンターズS、安田記念、ジャック・ル・マロワ賞

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