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今、熊本市や菊陽町などで時給が上昇傾向で、人員の確保に一部で影響が出ています。何が起きているんでしょうか。

【写真を見る】「時給1300円でも人手不足」TSMC進出で賃上げ加速 菊陽町からラーメン店『天外天』も撤退 熊本のバイト事情

客は多いが「スタッフが不足」

菊陽町にあるラーメン店「天外天」。とんこつと鶏ガラでとるスープとにんにくパウダーが魅力で、この1杯を求めて多くの人が店を訪れます。

そんな人気店が11月初旬で菊陽町から撤退することになりました。

理由は人手不足です。

天外天 口田蘒太 本店店長「オープン当初は30人近くいたんですけど、レギュラーで5~6人に減っているので、人がいないのが現状ですね」

2022年に熊本市の繁華街から移転しましたが、開店当初からのスタッフは大学の卒業などで辞めていきました。

人気店のため客は多く、営業を続けるには6人程度の配置が必要で、現状シフトを組むのが難しいということです。

そして、募集をかけても…。

時給を上げても集まりにくい

ラーメン天外天 小田圭太郎社長「最大で1300円までの時給は出せるようにしていたんですけど、それでもなかなか。(人が)集まりにくいですね」

天外天を経営する小田さんはTSMCの工場ができて以降、周辺の時給が上昇傾向で、それに合わせてさらに時給を上げると経営が成り立たないと感じています。

小田社長「(時給が)1000円超えてくるとなかなか売価に転嫁できないところもあるので、難しいですよね」

最低賃金は「10年で275円上昇」

時給をめぐっては10月5日から952円の最低賃金が適用されました。10年前2014年は677円でしたがここ10年で275円も上がりました。

さらに熊本市中心部を見てみると、急上昇している最低賃金を100円以上、上回るところも少なくありません。

これに対して、学生の反応は…。

大学2年生(飲食業でバイト)「最近(時給が)1000円になった。最低賃金が上がるからだと思う」

大学1年生(塾でバイト)「(最低賃金が)もう少し高くても嬉しいなと。バイトは(時給)1000円以上という条件でまず選んじゃう」

大学2年生(パソコン関係でバイト)「(時給)1400円くらいです。大学生の中でも高いかもしれないです。絶対(時給)1000円は欲しい。マストで」

大学2年生(飲食業でバイト)「1000円以上なのは絶対で、あとは(職場の)雰囲気を見ます」

学生にとっては時給1000円以上が当たり前のようです。

最低賃金と、学生たちが求めるラインに差がある理由について専門家は企業の「防衛的賃上げ」があると指摘します。

給料を上げることがスタートラインに

九州経済調査協会 河村奏瑛 研究員「企業が必ずしも自社の業績が良くなくても、周りが給料を上げている、うちも上げなければいけないというところで、(給料を)上げるというところがスタートラインになって、各企業人手を集めているのが現状ではないか」

九州地域の経済動向を予測している九州経済調査協会の河村さんは「地域の労働者の数は限られ、賃上げだけでは人が集まらない」と言います。

そこで今、注目されているのが必要な人員を少なくするための投資です。

九州経済調査協会 河村奏瑛 研究員「少ない人員で事業を回していく、省人化・DXの投資がますます求められる時代になってきている」

こうして環境が大きく変わる中で、天外天の小田さんは今年5月、熊本市中心部の元々、本店があった場所で別のラーメン店を始めました。

7席だけの小さな店です。

ラーメン天外天 小田圭太郎社長「この距離でお客さんにラーメンを提供するのが自分には性に合っているなと。だから、天外天も将来的には大きな箱ではなくて、今いる従業員にもこのくらいの店舗を作ってあげて、各々でお客さんの笑顔を見ながら作れるような状況を作ってあげたい」