千葉銀行は、2020年9月に竣工した新本店ビルを活かした働き方改革を推進し、生産性向上を実現している。(写真は、千葉銀行新本店のフリーエリアで他部署との打ち合わせに臨む経営管理部の中村旬治氏<正面左から2人目>と関哲秀氏<左から3人目>、羽田野晶子氏<左端>)

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 千葉銀行は、2020年9月に竣工した新本店ビルを活かした働き方改革を推進し、生産性向上を実現している。そもそも本店ビルの建て替えは、旧ビルが築44年(2017年の計画時点)を経過し、甚大な災害時等に備えるBCP(事業継続計画)の強化のため、ビルの耐震性の強化や災害対策拠点としての機能を充実させることを目指してスタートした。一方で、「次の世代を見据えた働き方改革をバックアップするための施設」としての在り方を意識して、設計段階から様々な工夫を盛り込んだ。コロナ禍のため地域へのお披露目は延期されているが、竣工から1年が経過し、業務の生産性向上の面で大きな進展があったという。新本店ビルについて、同行執行役員経営管理部長の中村旬治氏、同部主任調査役の関哲秀氏、副調査役の羽田野晶子氏に聞いた。

 新本店ビルは旧本店と同じ敷地内に建築され、千葉市役所と隣接している。千葉市とは「災害時における本部棟施設の提供協力に関する協定」を締結しており、災害時には新本店ビルの一部を帰宅困難者の一時的な滞在や防災関係機関の職員の活動などに利用していただく予定だ。また、毛布や水・食料が備蓄されており、約600人の一時受け入れが可能となっている。地震対策としては、地盤改良により万全の液状化対策を実施しているほか、震度7の揺れを震度3程度まで低減する基礎免震構造を採用するなど、防災拠点や拠点病院と同等の耐震グレードSランクを取得している。また、大研修室には18面マルチディスプレイを設置し、全支店の店舗やATMコーナーの状況などがライブ映像で確認できるほか、オンプレミス環境でのWeb会議システムにより各拠点との意思疎通も可能となっている。電力の安定供給という面では、非常用自家発電機のほか、コジェネレーション発電機で電源の多重化を図っており、停電時でも業務を継続できるよう対策をとっている。

 また、コロナ渦によりオープンはしていないが、「地域社会との共生」を実現するため、演奏会や講演会が開催できる「大ホール」や、同行や千葉県の歴史等を紹介する「ちばぎん金融資料室」、そして、企業同士の共創コミュニティづくりの場として設けた「ちばぎんコワーキングスペース」など、地域に開放する予定の施設を備えている。

 環境面では、複層ガラスによる冷暖房の効率化、放射空調、井戸水の使用など、ビル全体でのエネルギー使用量を抑える工夫が施されている。

 一方、このようなハード面と同等以上に工夫をしたのが、ビルの使い方に関するソフト面の充実だった。新本店ビル建替えプロジェクトに当初から参加したという関氏によると、「2016年に働き方改革推進部が設置され、新本店ビルでどのように働くのか、働き方改革をいかに実践していくかについて議論した。翌年の2017年には新本部棟準備室が発足し、従前の議論をもとに新本店ビルの検討が本格化していった」とのこと。働き方推進部のメンバーは7人(うち3名が新本部棟準備室へ)だったが、そのメンバーは経営企画部や人材育成部、システム部・経営管理部などの様々な部署から集められた。各部がそれまで抱えていた課題や問題意識を持ち寄ることで、職員の生産性を高める仕組みをいかに新本店ビルの機能のなかに組み込むかに知恵を絞ったという。

 一例をあげると、各部の業務時間を細かく分析したことで、「一日のうちに、会議と電話に費やしている時間がかなり多いことが分かった」(関氏)という。そこで、日常的なコミュニケーションの円滑化を図るとともに、会議時間の短縮を目指した。新本店ビルへの移転に伴い、職員には従来のデスクトップ型パソコンに代えてノートパソコンが支給され、ビル内では無線LAN、自宅等ではVPNに接続でき、Web会議にも参加可能な環境を整備した。執務フロアはグループ毎のフリーアドレス制とし、フロア内で気軽に打合せが行えるように、各所にモニター付きのスペースを設けた。また、会議室にもモニターを設置して、ペーパーレスで打合せや会議ができるように徹底した。