アメリカでミニパックのケチャップが不足というニュースが!

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4月初旬、ちょっとした注目を集めたニュースがある。「米国でケチャップ不足が深刻化」というものだ。ネットニュースでも盛んに報じられ、ネット民をザワつかせたこのニュース。果たして日本にも影響があるのかだろうか…?トマトケチャップで知られる大手食品メーカー・ハインツ日本の担当者に話を聞いた。

【写真】テイクアウトでは欠かせないミニパックのケチャップ。コロナ禍で需要が増えた

■米国で不足しているのはテイクアウト時に付属する“ミニパック”のケチャップ

「米国で、新型コロナウイルスの影響でケチャップ不足」という、なかなか衝撃的なニュースが報道された。過去のマスクやトイレットペーパーを思い出し、日本でも「買い置きしたほうがいいのでは」「輸入が滞ったりしないかしら?」とSNSなどで発信する人も出てきた。だが、よく読んでみると、不足しているのはケチャップそのものというより、テイクアウト時に付属する“ミニパック”のケチャップだ。

ハインツ日本のマーケティング&カテゴリー本部ブランドマネージャーのサイモン・シエさんに話を聞くと、「米国では、コロナ禍で去年から外出制限、いわゆるロックダウンが実施されている地域が多く、そのためテイクアウト、デリバリーの需要が大きく伸長しています。そのため、テイクアウト用のミニパックケチャップの供給が需要に追い付かない状況が続いていました」という。

テイクアウトなら、自宅にあるボトルのケチャップを使えばいいと思うのだが、「テイクアウトやデリバリーを頼む人が必ずしも自宅で食事をするわけではありません。大学の寮や自分の車の中など、ケチャップを常備していない場所で食べるケースも多くあります。テイクアウトにはミニパックのケチャップが付くことが基本なんです」とサイモンさん。

■日本のケチャップ市場に関しては、今のところ供給不足は見込んでいない

日本でも、コロナ禍でテイクアウトやデリバリーの需要は増えている。同様のことが起こるのだろうか。サイモンさんによれば、「確かに日本でも小分けケチャップの需要は伸長していて、テイクアウトだけでなく、衛生面を考えてイートインでもミニパックケチャップを選ばれる方も出てきました。しかし、日本のケチャップ市場に関しては、今のところ供給不足は見込んでいません」とのこと。

ちなみに、ハインツ日本では業務用ケチャップも販売しているが、緊急事態宣言などにより、全体としては業務用の出荷は多少減っているものの、ミニパックケチャップだけは大きく伸長しているという。巣ごもり需要の影響で家庭用のケチャップの販売量は昨年4月以降、販売量が伸び続けている。

サイモンさんは「今回の米国のケチャップ不足に関して、ハインツの米国本社ではミニパックのケチャップの生産量を25%増やし、年間で120億個分のミニパックのケチャップを生産するため、新たに製造ラインを導入するなどの対策を検討しています。ハインツ日本では、ケチャップの需要変化に応じて、安定な供給が続くよう必要な対策を行っているため、今のところ日本でのケチャップ不足の心配はありません」と話す。

結論としては、日本ではこれまで通りケチャップを購入でき、テイクアウトにもミニパックのケチャップが付いてくる状況は変わらない。海外の状況を日本に当てはめ、過度に心配する必要は今のところなさそうだ。