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アルファード人気のすごさを裏付ける「保値率」

text:Kumiko Kato(加藤久美子)

中国におけるアルファードは、そもそも新車価格からして高い。

メーカーが公式に発表している参考価格は77.2〜85.6万元だが、これを日本円にすると、1235万〜1369.6万円。

トヨタ・アルファードの中国モデル。 撮影:加藤博人

この価格には関税(15%)他も含まれているので、日本の車両本体価格352〜761万円に比較すると2〜3倍という価格になる。

しかしこの価格もあくまで参考価格なので、ディーラーが最終的に販売する小売価格とは異なる。

中国ではその地域における車両の人気度に応じてディーラーがこれよりも高い値段で販売したり、値引きししたりすることができる。

アルファードのような超人気車種は、新車時に公式価格で販売されることはまずないと言っていいだろう。

さらに驚くのは「保値率」の異常な高さである。保値率という中国語は、漢字の意味通り「価値を保っている率」を意味している。

日本語では「残存価格」と同様の意味になる。

新車価格に比較して、どれくらいの価値が残っているのか? を意味するため、保値率が高いほど、その車の市場価値、人気度、中古車としての価格が高いことになる。

中国最大級の自動車メディア「汽車之家」には、車種ごとの紹介データの中に10年分の「保値率」が記載されている。

新車から10年落ちの状態になるまで、1年ごとの残存価値が車種ごとに掲載されており、アルファードの場合、これが信じられないくらい高いのだ。

5年落ちでやっと新車公式価格?

以下が中国における、トヨタ・アルファードの保値率である。※部分の価格は実際に売りに出されている中古車の価格

アルファード メーカー公式

新車価格:77.2〜85.6万元
第1年:104.82% 85.60〜138.00万元※
第2年:98.82% 108.00〜121.00万元
第3年:93.18% 91.11〜128.80万元
第4年:87.33% 85.80〜99.80万元
第5年:78.21% 77.50〜87.00万元

トヨタ・アルファード/ヴェルファイアの中国モデル。 撮影:加藤博人

1年経過しても保値率は平均104.82%で、もっとも高額な1年落ちの中古アルファードは138万元。日本円にして2208万円!

5年経過してもまだ78.2%の保値率で、ここにきてやっと中古車販売価格の幅は77.50〜87.00万元となり、メーカー公式の新車価格とほぼ同等に落ち着く。

アルファードは日本でも値落ちが少ない人気車種だが、さすがに中国のように5年落ちの中古車価格≒新車価格まではいかない。

アルファードの保値率や中古車価格がMPVカテゴリーに入る他のクルマと比べるとどれくらいスゴイのか?

次の項では、競合車と言そうなモデルのデータを記しておこう。

メルセデスVクラスでも差は約400万円

アルファードの保値率や中古車価格が、MPVカテゴリーに入る他のクルマと比べると、どれくらいスゴイのだろうか?

競合車と言そうなモデルたちの、新車から5年後の「保値率」データは以下の通りである。

メルセデス・ベンツVクラス

メルセデス・ベンツVクラス

新車価格:47.18〜60.48万元
第5年:51.46% 39.80〜48.50万元

ホンダ・オデッセイ

新車価格:22.98〜37.68万元
第5年:59.41% 15.58〜23.58万元

ビユイックGL8

新車価格:23.29〜44.99万元
第5年:45.32% 10.50〜31.80万元

ホンダ・エリシオン

新車価格:24.98〜32.88万元 
第5年:59.94% 24.80〜25.30万元

メーカー公式の新車価格と比較してもアルファードがいかに高額であるかわかるだろう。

もっとも近いメルセデス・ベンツVクラスでも、その差は約25万元(約400万円)もある。

そして各モデルの5年落ちの保値率は同じ日本ブランドのエリシオンやオデッセイと比べてアルファードは約20%も上回っている。

アルファードはなぜこんなに人気が高いのだろうか?

アルヴェル、完全なる日本車だから人気?

中国では日欧米の大手自動車メーカーが中国メーカーと合弁会社を作って自動車生産を行っている。

トヨタ自動車も、主な車種は一汽トヨタ(第一汽車との合弁)、広汽トヨタ(広州汽車との合弁)の各工場で数多くの現地生産を行っており、2019年の販売台数は162万台(レクサス等輸入車含む)を突破し、初めて日本市場での販売台数(161万台)を上回った。

中国製造のクルマはどんなメーカーのクルマでも、必ず後部に「一汽豊田」「広汽本田」「東風日産」などのバッジがつくが、アルファードはつかない。 撮影:加藤博人

中国におけるアルファード/ヴェルファイアは日本のように明確なキャラクターの違いはない。また、日本のようにファミリー層が主体のクルマではなく、ほぼ100%がVIP送迎用のビジネスユースとしての用途で企業が購入する。

「アルファード」という車名自体が1つのブランド化しており、きらびやかで豪華な外観と、快適で上質な室内が高い支持を得ている。

大切なお客さんに満足してもらうための最高のおもてなし移動空間と考えられているのだ。

加えて日本で作られて中国に輸入される「完全なる日本製の日本車」であることも評価ポイントだ。

中国製造のクルマはどんなメーカーのクルマでも、必ず後部に「一汽豊田」「広汽本田」「東風日産」などのバッジがつく。

バッジを見れば海外ブランドの車両も中国生産であることがわかるが、アルファード/ヴェルファイアにはこれらのバッジがない。

つまり「完全なる日本製の日本車」として、一層アルファード/ヴェルファイアの評価が高まることになる。

香港ではタクシーを上回る台数もアルヴェル

中国本土でもすごいが、それを上回るのが香港での人気だ。

日本と同じ左側通行&右ハンドルの香港ゆえ、昔から日本車がたくさん走っている。

香港を走るトヨタ・アルファード。香港と中国本土両方で走れるナンバープレートを取得。 撮影:加藤博人

近年、香港を訪れたことのある人なら、街中でやたらとアルファード/ヴェルファイアを見かけたという経験を持つ人もいるのではないだろうか。

なんせ台数が凄い。2018年末時点で香港には18000台以上のアルファード/ヴェルファイアが存在しているが、この数字はかの有名な香港タクシーの台数(ライセンス数)とほぼ同じなのだ。

ちなみに香港タクシーといえば、日本と同様、長年、クラウン・コンフォートが使われていたが、昨今は日本でおなじみのジャパンタクシーに置き換わりつつある。香港での車名は「コンフォート」のままである。

そしてこの香港タクシーは、タクシー営業をするために発行されるライセンス数が制御されておりその数約1万8000。これ以上増えることはないとされている。

香港では街中でも良く見かけるが特に多いのは中国本土との国境近辺だ。

このあたりは治安があまり良くないこともあり、VIPの移動には電車やバスなどの公共交通機関ではなく、クルマが使われる。

送迎用アルファードの多くは香港と中国本土両方で走れるナンバープレートを取得しており、右ハンドルでも問題なく走れる。

さて、この記事を書いている今日は2月24日。中国でレクサス初のミニバン、レクサスLM 300hが遂に発売となる日である。

新型肺炎の関係で販売スケジュールが延期されるのかどうかは不明だが、2345万円という超高価格のLMがアルファードを凌駕する人気を獲得するのか?

とても興味深い。