ミランの新戦力がセリエAのデビュー戦で決定的なドッピエッタを記録したのは、50年以上ぶりのことだ。2−0で勝利した1957-58シーズンのサンプドリア戦でのジャンカルロ・ダノーヴァ以来である。それ以降も、デヤン・サビチェビッチなどがいたが、それは大量得点が決まった試合のことだった。だが、バロテッリにはまた別の個人記録もある。

彼が「PKマシーン」であることは、3日のウディネーゼ戦でも示されている。判定にウディネーゼが激怒し、マリオがPKを蹴るまでにかなりの時間があったが、待っている間もバロテッリは冷静だった。インテル、マンチェスター・シティ、そしてミランで、彼は一度もPKを失敗していないのだ。EURO2012準々決勝のイングランド戦も含め、11本のPKを蹴り、11回とも成功している。

最初は、ジョゼ・モウリーニョ監督率いるインテルでのリーグ戦だった。2008-09シーズンのローマ戦だ。マリオは2点ビハインドから1点を返すと、再び2点差とされてから、クルヴァ・スッドの前でPKを決めて2−3とした。試合は3−3のドローで終わっている。

それからバロテッリがPKを蹴ったのは、プレミアリーグへ移籍してからだった。トリプレテ(3冠)を達成した2009-10シーズンは、FWディエゴ・ミリートとFWサミュエル・エトーがいたからだ。2010年夏にマンCへ移籍したバロテッリは、それからの2シーズン半でPKを8本決めている。

うまくいかなかった今季も、チャンピオンズリーグのドルトムント戦で、0−1から同点弾となるPKを決めた。ドルトムントGKロマン・ヴァイデンフェラーの挑発に対して、バロテッリは「しゃべってろ。どっちにしても決めてやる」と応えている。

とにかく冷静で、簡単に蹴るのだ。優秀なPKキッカーの特長とも異なる。イングランド代表であるマンCのGKジョー・ハートは、こう話している。

「これまで対戦した中で、マリオは最も優れた選手の一人だ。特にPKに関しては、本当に止めるのが難しい。彼にはとんでもない才能があるんだ。右足で好きなところにボールを入れることができる」