【日本のインフラ問題】橋にも「終活」があるという現実
日本はこのまま崩れ去ってしまうのか? 道路、鉄道、水道、インフラ、橋……なぜ全国各地で次々に事故が起きるのか? お金も人も足りない……打つ手はあるのか?
注目の新刊『日本のインフラ危機』では、私たちの暮らしを揺るがす「大問題の正体」を豊富なデータと事例から解き明かす。
(本記事は、岩城一郎『日本のインフラ危機』の一部を抜粋・編集しています)
橋の「終活」
「良いものを造り、みんなで守る」をスローガンに橋の長寿命化に取り組んでいても、いつか寿命が来て、それまでと同じ使い方ではそれ以上橋を使い続けることができなくなることもあります。そんなとき、「この橋は来年から使えません」と言っても住民は納得しません。
橋の寿命を終えるには、その橋の性能と、あとどのくらい余寿命があるか、さらには迂回路や将来のその地域の人口動態なども見極めた上で、少なくとも数年前、できれば10年前からその橋が将来使えなくなることを根拠とともに住民に説明し、理解を得ることが必要です。
私はこれを“橋の終活”と呼んでいます。
こうした合意形成を図る際、それまで住民がその橋に対して無関心であったか、あるいは橋の歯磨き活動などを通して、その橋に関心、愛着を持っていたかで議論の中身が大きく変わると思っています。その橋の状況を事前に理解していれば、いざ橋の使用を停止することになっても受け入れることが可能となるのです。
一方、昨日まで当たり前のように使われていた橋を突然通行止めにするというのも乱暴です。たとえば、大型車が通っていた橋では、小型車に限定する、歩行者のみとするなど、段階的に機能を縮小する考えもある。さらに、道路としての役割ではなく、橋の上を公園などの公共空間としてリノベーションし、利用するといった用途変更や、歴史的な価値が高ければ遺構として保存するなどの選択肢もあるでしょう。
「残すか、捨てるか」の二択ではなく、多様な選択肢から住民との協議により結論を導き、橋の行く末を考えることが重要です。最終的に橋の解体・撤去となった際にも、その財源をいかに確保するかなども重要な課題であり、今後“橋の終活”に向けたガイドラインづくりを進める必要があると考えています。
さらに、「日本はこのまま崩れ去ってしまうのか…意外と気づかない「インフラ危機」本当の実態」」では、いま大問題として迫っているインフラ老朽化問題をひきつづき見ていく。
