3大会連続7度目の出場となるチュニジア。グループステージは日本と同組で、2戦目で対戦する。(C)Getty Images

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「アトラスのライオン」の愛称で知られる北アフリカの雄チュニジアは、2026年北中米W杯で、3大会連続7度目の出場となる。

 これまで決勝トーナメント進出こそないものの、健闘する試合が増えており、惜しいところまで来ているのも確かだ。前回のカタール大会はグループステージ最終節でフランスを1−0で撃破。組織力と個の輝きを示す試合だった。

 強みは徹底した現実主義にある。基本布陣は4−3−3、あるいは4−2−3−1。守備時は中盤と最終ラインの距離をコンパクトに保ち、中央を閉じながら相手を外へ誘導する。

 前線から激しく奪いに行くよりも、陣形を崩さずに相手の攻撃を遅らせ、危険なエリアへの侵入を防ぐことを優先する設計だ。そのため強豪相手でも大崩れしにくく、試合をロースコアに持ち込む能力に優れている。

 アフリカ予選はやや組分けに恵まれた感もあったが、10戦無敗、しかも無失点で突破した。しかし、大きな期待を背負い、隣国のモロッコに乗り込んだAFCON(アフリカ・ネーションズカップ)で自慢の守備が崩壊し、まさかの早期敗退を喫する。

 この結果を受けて、それまでチームを率いていたサミ・トラベルシ監督が電撃解任。その後は元フランス代表MFのサブリ・ラムシ監督に引き継がれた。

 指揮官は2014年ブラジルW杯では、コートジボワール代表監督として世界の舞台を経験。日本戦で後半途中にディディエ・ドログバを投入し、一気に流れを変えて2−1の逆転勝利に導いた。

 相手を分析し、流れを引き寄せる采配は、今大会のチュニジアにも反映されるはず。もちろん当時のドログバのようなタレントはいないが、現チームの戦力を活用していくことになりそうだ。
 
 3月のカナダ遠征で、ラムシ監督は大量30人を招集。そのうち攻撃の軸として期待されるハンニバル・メジブリ(バーンリー)と右サイドバックのヤン・ヴァレリ(ヤングボーイズ)は怪我で離脱となったが、ハイチ戦(1−0の勝利)とカナダ戦(スコアレスドロー)を通じて多くの選手をテストし、戦力の把握に努めた。

 システムも4−3−3と4−2−3−1を使ったが、どちらの試合もスタメンで、キャプテンマークを巻いたセントラルMFのエリス・スキリ(フランクフルト)が“チームの心臓”になることは間違いない。

 両翼は良い意味でラムシ監督を悩ませそうなポジションだ。ハイチ戦でゴールを奪ったセバスティアン・トゥネクティ(セルティック)が、開幕スタメン争いをリードしていると見られる。

 さらにパリ・サンジェルマンのセカンドチームで躍動する21歳のハリル・アヤリ、大型ウイングのエリアス・サード(ハノーファー)、運動量豊富なサイファラー・ルタイエフ(グロイター・フュルト)がしのぎを削る。

 センターフォワードは絶対的な軸がいない分、裏抜けに優れるルーイ・ベン・ファルハト(カールスルーエ)や屈強なターゲットマンのハゼム・マストゥリ(ディナモ・マハチカラ)、アフリカ予選で活躍したフィラス・シャウアト(クラブ・アフリカン)など、タイプの異なるFWを使い分けていくことになるか。
 
 4−2−3−1の場合は、2列目のアクセント役としてメジブリやアニス・ベン・スリマン(ノリッジ)の存在が重要になってくる。4−3−3ならスキリをアンカーに、ドリブル能力の高いイスマエル・ガルビ(アウクスブルク)やボール奪取力に優れるラニ・ケディラ(ウニオン・ベルリン)が攻守の強度を高める。

 最終ラインはモンタサル・タルビ(ロリアン)が、ふくらはぎの負傷でしばらく欠場していたが、すでにリーグ・アンでの試合に復帰しており、ラムシ監督としても一安心だろう。

 彼の相棒は190センチのアラー・グラム(シャフタール)か、機動力のあるオマル・レキク(マリボル)あたりが争うと見られる。

 右サイドバックのムタズ・ネファティ(ノルシェーピン)は21歳と若く、本大会で評価を高めたい一人だ。
 
 GKは、2023年の日本戦にも出ていたアイメン・ダーメン(CSスファクシアン)が正守護神だったが、新体制で誰が開幕戦のゴールを守るかは不透明だ。

 日本、オランダ、スウェーデンと対戦するF組は、大会全体の中でもかなり厳しいグループと見られる。3試合ともに、粘り強い守備がチュニジアのベースになることは間違いないが、勝利の鍵を握るのは、やはり決定力だろう。

 おそらく3試合ともチャンスはそれほど多くないなかで、いかに効率良く得点を奪い、相手の焦りを誘う展開に持っていけるか。ラムシ監督のプランと選手のパフォーマンスが噛み合えば、厳しいF組を勝ち抜いて、世界を驚かせることも可能だ。

文●河治良幸

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