高校時代の斎藤純被告

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 さいたま市大宮区内のマンションの一室から、棚に置かれた頭蓋骨などが見つかったとして、同部屋に住む斎藤純被告(逮捕当時31歳)が逮捕された事件。承諾殺人罪、窃盗罪にて起訴され、さいたま地裁で行われた3月中旬の第1回公判で、斎藤被告は被害者の承諾の上、殺害したことを認めた。そして、この承諾殺人による被害者は当時21歳だった女性・Aさん、同じく22歳だった女性・Bさんの2名であることが明らかになった。

【写真を見る】逮捕当時、頬が痩せこけた斎藤純被告。頭蓋骨が飾られていた自宅マンション

 4月27日に行われた第2回公判では、斎藤被告本人に対する被告人質問が行われた。Bさんの殺人の2年後にAさんを殺人した斎藤被告。なぜ家族と一緒に住む自宅に、Aさんの頭蓋骨を飾っていたのか--傍聴を行った裁判ライターの普通氏がレポートする。【全3回の第3回。第1回から読む。※本記事には一部ショッキングな内容が含まれます】

「とても静かな気持ちになりました」

 弁護人からの質問では、斎藤被告視点で事件の全体像が明らかにされた。検察官からの説明は、その悪質性や遺族感情なども込めたものになる。

 弁護人からの質問で「Aさんの殺人・解体後、殺人願望はなくなった」と明かしていた斎藤被告。だが、検察官としては再犯を警戒する。

 それを強く懸念するにも理由がある。斎藤被告にはAさんの事件以降、6件の窃盗事件があった。いずれも駅構内などで背後などからリュックの外ポケットのスマートフォンを盗む行為だ。捜査機関には、学生時代から殺人の練習として背後に忍び物を盗っていたと供述しており、その6件の犯行もその一環と疑いの目を向けられる。

 しかし斎藤被告はそれを否定する。また、学生時代の窃盗も殺人衝動とは無関係と主張。捜査機関には混乱した記憶の中で供述しただけで、実際はただの盗癖であると弁明した。窃盗については「(二度としないという)保証はできないので治療をしたい」とその意向を示した。

 殺人については、現状はその衝動はないという。なぜなくなったかの問いに対し、1分以上長考した。それまで、質問によっては即座に黙秘を主張していたので、黙秘ではなく考えている様子だった。

 満足感かと問われたら「おそらく」と回答。Aを殺害したあとの気持ちを問われると「とても静かな気持ちになりました」などと答えた。

なぜ部屋に頭蓋骨を置いていたのか

 斎藤被告は、ところどころ冷静な面を見せていた。

 AさんとのDMでのやりとりは途中から、話したい内容をメモ書きにして、それを写真化してお互いに送りあった。これは「自殺」などのワードが、SNSのアカウント停止に繋がることを防ぐ目的であった。

 Aさん、Bさんとのやりとりは、PC上のフォルダに名前をつけて保存していた。これは犯行が発覚した際に、承諾があったことを示すためのものであった。  

 しかし、Aさんの犯行現場に両親と住む実家を選び、そのまま骨に部屋に展示するなどの行為は、大胆という言葉だけでは表せないものだ。自宅で犯行に及ぶリスクについて問われると、「(両親にバレる恐れも)多少考えた」と答えながら「できないこともないか」と答え、自宅での決行に抵抗感もなかったという。

 親が夜に仕事から帰ってくると、解体の手を止めて、翌日に再開した。あらかじめ消臭剤は用意していたというが、においが漏れ出ることはなかったのだろうか。そして最終的に解体に何日かかったかわからないという。

 犯行日の夜も家で普通に親と顔を合わせた。自身の部屋にはカギはついていない。あまりないが親が部屋に入ってくることもあったという。それでも承諾殺人の犯行は、窃盗の嫌疑で訪れた警察による家宅捜査まで発覚しなかった。

検察官「なぜ部屋に骨を置いておこうと」
斎藤被告「置く気はなかったんですが、綺麗と思って咄嗟の判断ですね」

検察官「棚に置いておこうとするものと、隠していたものの違いは?」
斎藤被告「頭蓋骨なんかは見えても(いいなと)……でも流通しない部位はマズいかなと思って」

検察官「親が部屋に入ることもあったようだが、気にしなかったんですか」
斎藤被告「気にしてましたが、置物にしか見えないだろうと」

 この裁判で、両親の証人尋問などは予定されておらず、取調べの調書は残されているが、具体的な内容は明らかにされなかった。両親は犯行に気づかなかったのか、謎が残った。

「正直、深く後悔していない」

 法廷には、傍聴席からは遮蔽される形で、Aさんの遺族が傍聴していた。斎藤被告の席からはその様子が見えている。

 事件時は、残される家族にまで考えが及ばなかったという斎藤被告。今の心境を問われると「何を言っても侮辱にしかならないと思うので」などとその明言を避けた。

 しかし、Aさん、Bさんへの思いはまた別にあった。

検察官「仮に承諾があったとしても、命を奪ったことをどう思っていますか」
斎藤被告「Aさん、Bさんとも相互利益として相談して、『ありがとう』と言ってもらえたので丸く収まったと思っていた。ただ、2人ともご家族を気にかけていて、そのあたりの配慮とか、もう少し話せたらなとは思います」

検察官「犯行に後悔はしていますか」
斎藤被告「後悔ねぇ……(10秒以上無言)正直、承諾殺人について深く後悔していないと思う」

 その理由について、改めて合意の上であったためと強調する。

 別の質問では、悪いことをしている認識はあったと答える斎藤被告。しかしそれは、あくまで法に触れているから悪いという認識でしかなかった。

 逮捕後から現在まで続く身柄拘束は1年にも及ぶが、自身の内面と向き合えていないのではないかという指摘に、斎藤被告は特に否定することもなかった。

遺族は斎藤被告の話をどんな思いで聞いたのか

 次回の公判は6月に予定されている。

 被告人質問にて証拠調べを終えたので、検察官の求刑、弁護人の弁論を行い、Aさんの遺族による意見陳述が行われるという。

 初公判で読み上げられた、Aさん遺族への取調べの調書では「私の娘は、お前のおもちゃになるために生まれてきたのではない」と強い怒りの感情を表していた。この日の被告人の話を聞いて、どのような意見を発するのか。

(了。第1回から読む)

◆取材・文/普通(裁判ライター)