米イスラエルとイランの交戦の経緯

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 米国のトランプ大統領は21日、期限切れ間近だったイランとの停戦の延長を発表し、戦闘終結に向けた再協議は先延ばしとなった。

 双方とも早期の合意と事態収束を望んでいるものの、相手が先に折れるのを期待して圧力をかけ続ける構図は変わらない。一触即発の状況は続いている。(ワシントン 池田慶太、国際部 吉形祐司) 

トランプ氏、海上封鎖でイランに「1日5億ドルの損失」

 発表直前の21日午後、米ホワイトハウスではトランプ氏や閣僚らが集まりイラン対応を協議した。

 米紙ウォール・ストリート・ジャーナルによると、側近らはトランプ氏に、イランの強硬派は、大統領の要求に応じる意思がないと伝えた。トランプ氏は停戦を延長せず爆撃に踏み切るべきか尋ねる一方、全面的な戦闘再開や事態の長期化には否定的な姿勢を見せたという。

 「折衷案」として、2段階の対応方針が決まったという。イランが具体的な提案を示すまで海上封鎖などの圧力を維持し、その後、協議を進めるか、再攻撃に踏み切るか、大統領が判断するというものだった。

 トランプ政権は海上封鎖により、交渉で譲歩を引き出せるとみている。ベッセント米財務長官はSNSで、海上封鎖で輸出されるはずの原油が行き場を失い、イランの主要な石油貯蔵施設が「数日のうち」に満杯となり、油井は近く閉鎖されるとの見通しを示した。

 トランプ氏もSNSで、海上封鎖でイランは「1日5億ドル」の損失を被っていると主張。合意に達しない限り、封鎖を解除しない姿勢を強調した。

 トランプ政権の停戦延長は、内部分裂して意思決定が遅いイラン側の反応を見極める意味合いもあるようだ。米当局者は米主要ニュースサイト・アクシオスに「3〜5日」の猶予をイランに与えているだけで「無期限ではない」との見解を示した。

ジレンマ抱えるイランは協議再開に含み

 イランは戦闘再開の可能性を前面に押し出し、駆け引きを続けるとみられる。 今月11〜12日の対米協議でイラン代表団を率いたモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長の戦略顧問メフディ・モハンマディ氏は21日、SNSに「トランプ氏の停戦延長は意味がない。奇襲攻撃のための時間稼ぎだ」と投稿した。イラン包囲網は「戦争と同じだ」と対決姿勢を明確にした。

 米軍の海上封鎖は、制裁で疲弊したイラン経済をさらに悪化させることになるが、革命防衛隊に近いタスニム通信は22日、「イランが停戦を要求したことはない。トランプ氏の負けだ」と報じた。

 イランには、世界経済の混乱を盾にする対抗策しか残っていない。イラン関係の船舶を対象とする米軍の海上封鎖に対しては、ホルムズ海峡の封鎖継続に徹し、国際社会の懸念を高める戦略を今後も取り続けるとみられる。

 もっとも、イランには、米国との協議を打ち切れば、ウラン濃縮の権利確保や経済制裁解除を達成できない事情がある。同時に、米国に妥協すれば、体制の威信が揺らぎかねないというジレンマも抱えている。

 アクシオスは、イランの最高指導者が22日にも米国への対応を決め、指示を出すと報じた。外務省報道官は22日、国益と安全保障を確保するため「外交」を利用する方針を示し、協議再開に含みを残した。