夫を「だーりん」と呼ぶ不倫相手が法廷で繰り返した「不合理」な主張 提訴後もホテルで不貞行為の代償は
自分の夫を「だーりん」と呼ぶ女性は、手を繋ぎ、腕を組んで夫と出歩き、マンションの一室で夜を共にしていた――。
妻は「夫と不貞行為をした」として女性を提訴したが、女性は法廷で不貞行為を完全否定。しかし、その裁判が進む最中にも、夫と女性は沖縄のホテルで“同宿”していた。
裁判所が「不合理」と言い切った被告女性の言い訳と、「悪質と言わざるを得ない」と断じた不倫の代償は――判決を元に描く。
「だーりん」「あさちゃん」
高橋美咲さん(仮名)は、2015年に夫の高橋健一さん(仮名)と結婚し、6年後、男の子が産まれた。
健一さんはある専門学校の講師を務めていたが、2022年4月に、その仕事を通じて田中麻子さん(仮名)と出会った。同じ年の9月、健一さんは妻・美咲さんに「離婚も視野に入れて話し合いしたい」とのメッセージをSNSで送っている。
健一さんは2023年、麻子さんに対して、「妻とは別れたい」「僕としてはきれいに離婚して、子どもを2人で育てていく流れになればいいです」などとメッセージを送っていた。
そして遅くとも2024年1月頃には、お互いを「だーりん」「あさちゃん」と呼ぶようになったという。
2024年4月には、健一さんは住んでいた家を出て美咲さんと別居。
その後双方の親も同席して離婚に関する話し合いをし、美咲さんは、家庭裁判所に夫婦関係の修復や円満な関係回復を目指す話し合いの場である、円満調停の申し立てをした。
だが健一さんは逆に、家庭裁判所に離婚調停の申立を行っていた。
夫の“不倫相手”を提訴
別居した健一さんは、独立して治療院を開業するため部屋を借りていた。
そして話し合いが行われた4月中に、健一さんと麻子さんは2人でその部屋に2晩滞在していた。2人は外出時には手を繋いでいた。
5月にも1晩、2人はこの部屋で夜を過ごしていたが、夜には部屋は完全に消灯された状態だった。
美咲さんは、麻子さんが夫の健一さんと不貞行為をしていたとして、2025年1月に、麻子さんを提訴した。
そして提訴後の2025年3月にも、麻子さんと健一さんは沖縄のホテルで同宿して不貞行為を行ったとも主張した。
美咲さんは、夫が不倫により家庭を顧みなくなり、子どもを1人で育てざるを得なくなった事、十分な婚姻費用の支払いを受けられないまま離婚調停を突きつけられた事への精神的な損害などを理由に、慰謝料500万円と弁護士費用50万円、さらに探偵に支払った調査費用約237万円の支払いを被告・麻子さん求めた。
「だーりん」はキャバクラで学んだ
一方麻子さんは、4月の“お泊まり”については、治療院の開業に向けてカーテンの裾上げなどを行っていただけで、不貞行為には及んでいないと主張。
外出時に手を繋いでいた事については、自分の心臓が弱いために健一さんが手を引いてくれたためだと説明した。
さらに「だーりん」と呼んでいた事については、キャバクラに勤務していたときに、お店の従業員から、誰でも親しげに受け取って貰える呼称として「だーりん」を教わり、それを思い出して使っていたと抗弁した。
5月の“お泊まり”では、別室で寝ていたと主張。
提訴された後に行った沖縄のホテルについては、「治療院の宣伝映像撮影のために行った。ツインの部屋しかなく、ツインを二部屋借りると予算オーバーするため」と説明した。
一貫して、不貞行為は無かったと主張した。
被告の主張を信用できない
裁判所はまず「だーりん」「あさちゃん」という呼び方について「親密度を増している」と判断。複数回手を繋いで歩いている事などから、4月の2回の“お泊まり”については「不貞行為があったことが相応に推認される」と判断した。
なお、「心臓が弱いから手を引いてくれた」という麻子さんの反論については、「手を繋ぐに留まらず、腕組みをして歩いている事、建物から出てくる段階で既に手を繋いでいることに照らして、被告の主張を信用することはできない」とバッサリ切り捨てた。
上記の判断から、5月の“お泊まり”も沖縄でのホテル滞在も、同様に「不貞行為があったと見るのが自然かつ合理的」などと判断。
麻子さんによる「ツインの部屋しかなかった」との反論については、すでにこの訴訟を起こされて、不貞行為は無いとの反論もしていて、妻の美咲さんが2人の不貞行為を問題視している事を十分に認識していたと認定した。その上で、さらなる不貞行為に及んだとの疑念を抱かせないように、もう1部屋を予約するか別のホテルを探すのが自然だとして、麻子さんの主張を「信用できない」と判断した。
提訴後の沖縄ホテル「態様は悪質」
美咲さんと健一さんとの婚姻関係については、健一さんには離婚の意思があったが、美咲さんには離婚の意思がなかったと認定。婚姻関係は破綻していなかったと判断した。
その上で、訴訟において麻子さんが一貫して不貞行為を否認し、「だーりん」との呼び名や、手を繋いだこと、部屋での同宿などについて「不合理な弁解を続けている」と認定。提訴後に沖縄のホテルで不貞行為に及んだ事を指摘し、「その態様は悪質と言わざるを得ない」と断じた。
慰謝料については、不貞行為の前の段階で健一さんが離婚の意思を固めていた事から、離婚協議自体は不貞行為による損害とは言えないなどとして、60万円とした。
その他弁護士費用6万円、探偵による調査費用は20万円を認定し、裁判所は総額86万円美咲さんに支払うよう言い渡した。
