今季PK戦で驚異の阻止率8/17…町田GK谷晃生を強くしたU-17W杯のPK敗戦「あの悔しさはずっと覚えている」仲間の英国リベンジも刺激に
[4.5 J1百年構想リーグ第9節 FC東京 0-0(PK2-4) 町田 味スタ]
わずかに届かなかったU-17W杯、壮絶な重圧と向き合った東京五輪--。育成年代から数々のPK戦にまつわる修羅場をくぐり抜けてきた男が、J1百年構想リーグのPK戦で明らかな異彩を放っている。
FC町田ゼルビアのGK谷晃生は5日、0-0で90分間を終えた第9節・FC東京戦のPK戦で2本を阻止し、勝ち点2を手繰り寄せる立役者となった。PK戦の秘訣は「たまたま当たっている感じ」「(自身は)全然ない」と謙遜するが、その強さは本物だ。今大会では第2節・水戸戦(△2-2、PK4-2)で2本、第3節・東京V戦(▲2-2、PK3-4)で1本、第5節延期分・川崎F戦(△1-1、PK1-3)で3本を阻止。75%程度が成功すると言われるPKだが、PK戦での阻止率は驚異の「8/17」(47%)を誇っている。
育成年代から日本屈指のGKとして育ってきた谷にとって、PK戦には今も忘れられない強烈な原体験がある。
2017年のU-17W杯決勝トーナメント1回戦、結果的に世界一に輝くイングランドに対し、MF久保建英やMF中村敬斗を擁して善戦を繰り広げた日本だったが、0-0で迎えたPK戦の末に敗戦。試合中は無失点で抑え込んだ谷だったが、FWカラム・ハドソン・オドイやFWフィル・フォーデンといったのちのトップ選手のPKを止めることができず、無念のベスト16敗退に終わっていた。
「あの時の悔しさはもちろんずっと覚えている」
その悔しさを乗り越えた谷は2021年夏、東京五輪準々決勝で自国開催の壮絶な重圧の中でニュージーランドのPKを止め、メダルマッチの準決勝に導くという大仕事も成し遂げているが、イングランド戦の悔しい記憶はいまもなお残る。PK戦への印象についても、当時の経験から「なのであまりPKは得意ではないんです」と語る。
イングランドと言えば、奇しくも現在の日本代表が3月31日、聖地ウェンブリー・スタジアムで当時のメンバーであるフォーデンやDFマーク・グエヒを擁するイングランド代表を1-0破ったばかり。当時のチームメートだった中村が先発し、DF菅原由勢も途中出場の守備固めで“リベンジ”を果たした一戦からは、現在A代表から遠ざかっている谷も大きな刺激を受けていたという。
「イングランド相手にああいうゲームをできるというところ、しっかりゼロで勝ち切るところはすごいなと思った。同世代の選手にはいつも刺激をもらってばかりなので、そういうところも力に変えられたらなと思っています」(谷)
そんな絶好のタイミングで披露した2本のPKストップ。U-17W杯の悔しさから強くなった守護神は「キーパーは経験とよく言われるけど、そういうところを少しずつ積み重ねていって、こういうPK戦も少しずつ積み上げていくことでこの先にいいことがあるかもしれないし、こういうのも一つひとつ大事にしながらやっていけたらなと思います」としみじみと、積み重ねの跡を口にした。
取材の最後、そんな谷に「“いいこと”は2か月後にあったらいいなと思っていますが」を話を向けるも「それは高望みしすぎですね」と笑い飛ばされた。しかしながら、北中米W杯に臨む日本代表にとって、過去未勝利のPK戦が「世界一」への大きなハードルとなるのは確か。もしPK要員の抜擢が行われるようであれば、日本の誰よりもPK戦の修羅場を乗り越えてきた25歳がその座にふさわしいパフォーマンスを見せているのは間違いない。
(取材・文 竹内達也)
わずかに届かなかったU-17W杯、壮絶な重圧と向き合った東京五輪--。育成年代から数々のPK戦にまつわる修羅場をくぐり抜けてきた男が、J1百年構想リーグのPK戦で明らかな異彩を放っている。
FC町田ゼルビアのGK谷晃生は5日、0-0で90分間を終えた第9節・FC東京戦のPK戦で2本を阻止し、勝ち点2を手繰り寄せる立役者となった。PK戦の秘訣は「たまたま当たっている感じ」「(自身は)全然ない」と謙遜するが、その強さは本物だ。今大会では第2節・水戸戦(△2-2、PK4-2)で2本、第3節・東京V戦(▲2-2、PK3-4)で1本、第5節延期分・川崎F戦(△1-1、PK1-3)で3本を阻止。75%程度が成功すると言われるPKだが、PK戦での阻止率は驚異の「8/17」(47%)を誇っている。
2017年のU-17W杯決勝トーナメント1回戦、結果的に世界一に輝くイングランドに対し、MF久保建英やMF中村敬斗を擁して善戦を繰り広げた日本だったが、0-0で迎えたPK戦の末に敗戦。試合中は無失点で抑え込んだ谷だったが、FWカラム・ハドソン・オドイやFWフィル・フォーデンといったのちのトップ選手のPKを止めることができず、無念のベスト16敗退に終わっていた。
無念の敗戦となったU-17W杯
「あの時の悔しさはもちろんずっと覚えている」
その悔しさを乗り越えた谷は2021年夏、東京五輪準々決勝で自国開催の壮絶な重圧の中でニュージーランドのPKを止め、メダルマッチの準決勝に導くという大仕事も成し遂げているが、イングランド戦の悔しい記憶はいまもなお残る。PK戦への印象についても、当時の経験から「なのであまりPKは得意ではないんです」と語る。
東京五輪準々決勝ではチームを救った
イングランドと言えば、奇しくも現在の日本代表が3月31日、聖地ウェンブリー・スタジアムで当時のメンバーであるフォーデンやDFマーク・グエヒを擁するイングランド代表を1-0破ったばかり。当時のチームメートだった中村が先発し、DF菅原由勢も途中出場の守備固めで“リベンジ”を果たした一戦からは、現在A代表から遠ざかっている谷も大きな刺激を受けていたという。
「イングランド相手にああいうゲームをできるというところ、しっかりゼロで勝ち切るところはすごいなと思った。同世代の選手にはいつも刺激をもらってばかりなので、そういうところも力に変えられたらなと思っています」(谷)
そんな絶好のタイミングで披露した2本のPKストップ。U-17W杯の悔しさから強くなった守護神は「キーパーは経験とよく言われるけど、そういうところを少しずつ積み重ねていって、こういうPK戦も少しずつ積み上げていくことでこの先にいいことがあるかもしれないし、こういうのも一つひとつ大事にしながらやっていけたらなと思います」としみじみと、積み重ねの跡を口にした。
取材の最後、そんな谷に「“いいこと”は2か月後にあったらいいなと思っていますが」を話を向けるも「それは高望みしすぎですね」と笑い飛ばされた。しかしながら、北中米W杯に臨む日本代表にとって、過去未勝利のPK戦が「世界一」への大きなハードルとなるのは確か。もしPK要員の抜擢が行われるようであれば、日本の誰よりもPK戦の修羅場を乗り越えてきた25歳がその座にふさわしいパフォーマンスを見せているのは間違いない。
(取材・文 竹内達也)
