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イギリス発祥の家庭訪問型ボランティア「ホームスタート」が、各地で広がりを見せています。支援の形は、効率や便利さを追求する家事代行ではありません。親の不安に耳を傾ける「傾聴」と、共に手を動かす「協働」を通じて寄り添うこと。言葉や文化の壁に直面する外国籍の母親や、行政支援が届きにくい現場で奮闘する支援者たちの姿を取材しました。

【写真を見る】異国での育児、救ってくれたのは“先輩ママ” 家庭訪問支援「ホームスタート」支援の輪広がるも地域で格差

言葉や文化の壁を越えて

インドネシア人のワヒュさん。別府市で日本人の夫と1歳の娘の親子3人で暮らしています。異国での子育ての不安や孤独を助けてくれたのは、ビジターの芝田登美子さんでした。

5人の子どもを育てた「先輩ママ」との言葉や文化の壁を越えた温かい交流が、孤独からの救いとなりました。

ワヒューさん:
「心配で何もできなかったし、家事も子育ても心配だった」

芝田さん:
「日本に来るだけでも大変なのに、それに出産して初めての子どもを育てるのは本当に負担が大きかったと思う」

すぐそばで寄り添う「安心感」

2013年1月から「ホームスタート」を実施している大分県別府市の「にじのひろば」。これまでのべ258家庭を支援し、訪問回数は1800回を超えます。

代表の村田さんはビジターをサポートし、利用家庭のニーズに沿った支援をマネジメントするオーガナイザーの役割を担っています。

にじのひろば 村田代表:
「ホームスタートで定期的に1週間に1度、2時間過ごしてくれる人がいるという安心感。自分の心の声を聞いてくれる人がいる。それですごくお母さんは救われている」

大分市で活動始まる

2008年に全国で試行が始まった「ホームスタート」。大分県内では現在12の市と町で14団体が実施しています。ニーズが見込まれる大分市では、長年実施団体がありませんでしたが、去年8月以降、2つの団体が誕生しました。

このうちNPO法人「ワクワクピース」に所属する野中郁代さん。子育て中の親の役に立てればと活動を始めました。この日は初めて家庭を訪ね、夕食づくりや子どもの宿題の丸付けを手伝いました。

野中さん:
「ママは一生懸命毎日頑張っているんだなとすごく感じます。ちょっとは、ほっとする時間も持ってほしいですね」

利用する母親:
「一番バタバタしている時間なんで助かっています。もっとたくさんの人が支援に頼って心の余裕ができればいいなと思います。」

ボランティア確保、活動費…課題も

利用料は無料ですが、運営には課題もあります。大分市では、現時点で他の自治体のような行政支援がありません。

ワクワクピース 漆間文代代表:
「困っているママたちは、いま支援をしてもらいたいんです。いろんな方々からの寄付金や支援をいただきながら、ビジターさんへの交通費を支払うことができればいいなと思っています」

豊後大野市で日本初のホームスタートの試行に取り組んだ土谷修さんは、改めて活動の重要性を訴えます。

ホームスタート九州エリア協議会 土谷修会長:
「ホームスタートの活動を知ってもらって、これが必要だということをみんなが思ってほしい。よりよい子育ての環境が生まれるし、本当に1人の子どもも残さないような応援の仕方をしてほしいと思います」

支援の輪が広がりつつある「ホームスタート」。地域社会全体でこの活動を支え、育んでいく仕組みづくりが求められています。