JAXAが中止・延期していた「H3」ロケット8号機の打ち上げ予定日を再設定 「みちびき」5号機を搭載
JAXA=宇宙航空研究開発機構は2025年12月19日、内閣府の準天頂衛星システム(QZSS)「みちびき」の測位衛星「みちびき」5号機(QZS-5)を搭載する「H3」ロケット8号機の再設定された打ち上げ予定日を発表しました。
再設定後のH3ロケット8号機の打ち上げ予定日および時間帯は日本時間2025年12月22日(月)10時30分〜11時30分、打ち上げ予備期間は2025年12月23日〜2026年1月31日です。
当初、H3ロケット8号機は2025年12月7日に打ち上げられる予定でしたが、ロケット2段目の搭載機器のひとつであるIMU(慣性センサユニット、慣性計測装置)に確認が必要な事象が認められたため、JAXAは打ち上げを12月17日に一度延期。
17日は打ち上げ直前までカウントダウンが進んだものの、冷却水注水設備で発射約17秒前に異常が検知されたことで緊急停止が発令され、この日の打ち上げは中止されていました。

冷却水注水設備は、ロケットエンジンから噴射される燃焼ガスが通過するロケット直下の煙道部や、燃焼ガスを受け止めて方向を変える耐火コンクリート製のフレームデフレクターを保護するために燃焼ガスに注水して冷却する装置で、タンクに貯蔵された水を窒素ガスの圧力で噴射しています。17日の時点では、配管のバルブよりも下流側に設けられているセンサーで検出した水の圧力が、規定の圧力に達していなかったとみられていました。
JAXAによると、原因がフレームデフレクターの冷却系統にあることを特定し、確認試験を行ったところ適正な流量で注水できることが確認できたことから、打ち上げ予定日を再設定したということです。17日に検知された圧力不足の原因が何だったのかなど、詳しい情報については今回の発表では言及されていません。
みちびき5号機とは?

「みちびき」は、アメリカの「GPS」との互換性を確保した日本の衛星測位システムです。
これまでは4機体制で運用されてきましたが、内閣府は測位精度のさらなる向上と、他国の衛星測位システムに依存せず「みちびき」だけで持続的な測位を実現するべく、2026年度からは7機体制、将来的には11機体制で運用することを目指しています。
7機体制構築に向けて2025年2月に打ち上げられた「みちびき」6号機は静止軌道に投入され、2025年7月にサービスを開始しました。今回打ち上げ予定日が再設定された「みちびき」5号機は、準天頂軌道に投入されます。

「みちびき」5号機には6号機に続いて、JAXAが開発を進めている高精度測位システム(ASNAV)の実証用アンテナが搭載されています。
JAXAによると、将来「みちびき」の衛星すべてに高精度測位システムが搭載されれば、スマートフォンのような一般的な受信機の測位精度は現在の5〜10mから1m程度にまで向上することが期待されるといいますから、身近な暮らしにも直接関わる重要な取り組みと言えます。
文・編集/sorae編集部
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