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「真っ暗な瀬戸内海」を約4時間半漂流

今年7月の未明、岡山県倉敷市の高梁川に架かる橋から、27歳の男性が転落する事故がありました。

【画像をみる】深夜0時過ぎ どんなところから男性は海に転落した?

男性は瀬戸内海まで流され、約4時間半にわたり漂流したのち、奇跡的に船に発見され救助されました。

男性の命を救った船の乗務員11人に、水島海上保安部からきょう(26日)感謝状が贈られました。

飲酒しながら散歩中の男性 スマホを落とし拾おうとして海に転落

水島海上保安部によりますと、7月28日午前0時すぎ、倉敷市の「倉敷みなと大橋」【画像①】の中央付近で、27歳の会社員の男性が、飲酒をしながら散歩していたところ、橋の中央付近でスマートフォンを落とし、とっさに拾おうとしたところ誤って海に転落したということです。

男性は、転落後浮いていたということで、約4時間後の午前4時過ぎに、船(プッシャーバージ船)の乗組員が、海上で「助けて」と声を上げる男性を発見、乗員11人が協力して、男性を救助しました。

男性は命に別状はなく、病院に救急搬送されました。

男性が浮いていた海域は、深いところで水深5~6メートルあるということで、水島海上保安部の聞き取りに対して、男性は

「転落したあと、泳ごうとしたが無理だったので浮くことにした」
「しばらく浮いていたら船が見つけてくれた」

と話していたということです。

午前5時 手を挙げ助けを求める人が...すでに漂流4時間半

男性を救助したのは、汽船「大福丸」の瀬戸直船長【画像②】ら乗組員11人です。

汽船大福丸は、徳島県の海運会社が所有する船で、普段は倉敷市の水島港を中心に、全国の製鉄工場でプッシャーバージ船(貨物を積載した「はしけ」を運搬)として活動しています。

男性を発見した7月28日午前5時ごろ、大福丸は愛知県の製鉄工場に向かうため、乗組員たちは出航準備をしていた時でした【画像③】。

船長の瀬戸さんは着替えをしていたところ、船員から「人が浮いていて助けを求めている」と連絡が入りました。

海面にライトを照らすと、瀬戸さんは、
「白色のビニール袋が浮いているように見えた」
「すると、船の方向に向かって手を挙げていて、助けを求めている人だと気が付いた」
と話します。

その時、船員11人が「とっさの判断」で動いた!

男性を発見した瀬戸さんは、すぐに海上保安署のほか救急や警察などに通報しました。

同時に他の船員は、船内から毛布を引っ張り出したり、お風呂を沸かしたりするなど、それぞれが判断し男性の救命活動にあたったということです。

救助時「男性の唇は白色、顔は青ざめていて体は震えていた」

乗組員たちが浮輪を投げ入れるなど協力し、漂流していた男性を救助しました。

男性の救助にあった、二等航海士の福田大助さん・機関長の平田友文さん・一等機関士の谷口馨也さん【画像③】は、「男性の唇は白色で、顔は青ざめ、体は震えていてかなり衰弱していた」と当時の状況を振り返ります。

福田さんら3人は救助した男性に名前を確認したのち、男性からは
「今、何時ですか?」
と聞かれ時間を伝えると、男性は
「会社に行かないといけない」
と答えたということです。

乗務員たちは救急隊が駆け付けるまで、衰弱した男性の体を、毛布やお湯で温めるとともに、声をかけ励まし続けました。

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船長の瀬戸さん「乗組員を誇りに思う」

大福丸の瀬戸船長は「緊急時に備えて連絡系統などの訓練を行っていて、今回はその経験が生かせた」と振り返ります。

しかしそれ以上に得られたものは、男性を救助するために、それぞれが
「毛布を持ってきたり」
「お湯を沸かしたり」
など、自分のすべき行動を取り、男性の救助活動にあたったことだと言います。

感謝状を受け取った瀬戸船長は、「乗組員を誇りに思う」と仲間たちをねぎらいました【画像⑤】。

【後編に続く】様々な「奇跡が重なり」助かった命  いったい何があった?