見た目も走りも激変! 日産「新型リーフ」登場! 斬新クロスオーバーへと進化した“3代目”は乗り心地がサイコー! 702km走れる「最新モデル」の実力は?
斬新クロスオーバーへと進化した「新型リーフ」
2010年に世界初の量産BEV(電気自動車)として登場した日産「リーフ」が3代目に進化しました。
今回正式発表に先駆けて、神奈川県の追浜にある日産の試乗施設「GRANDRIVE」で見て・触って・乗ってきたので報告したいと思います。

【画像】超カッコいい! これがクロスオーバーな「新型リーフ」です!(30枚以上)
エクステリアは初代/2代目のハッチバックスタイルからファストバックスタイルのクロスオーバーに刷新。凝縮感あるスタイルに賛否があるようですが、良くも悪くも“無味無臭”だった先代と比べると存在感は増していると思いました。
筆者(山本シンヤ)も画像で初めて見た時は、「『アリア』のファストバック? やっちゃったか?」と思いましたが、実車を見て別物で安心しました。
ちなみに大径タイヤ(G:19インチ、X:18インチ)からボディサイズは大きく見えますが、実際のサイズは全長4360mm×全幅1810mm×全高1550mm(プロパイロット2.0付はアンテナの関係で1565mm)と従来モデルとほぼ同等どころか、全長は何と120mm短縮されています(その大半がフロントオーバーハング)。
最小回転半径も大径タイヤながらも旧型に対して−0.1mの5.3mと取り回し性もアップ。この辺りはアリア譲りのCMF-EVプラットフォーム採用による各部の最適パッケージが効いているそうです。

インテリアはシンプル&クリーンなデザインの薄型インパネ&フラットフロア(エアコン補器類をモータールームに移動)、Aピラー周りの改善、調光パノラミックルーフ(優れた遮熱性能で熱くなりにくい)の採用などにより開放感のあるキャビンが魅力です。
欲を言えば、センター付近のプラスチック感が無くなるともう少し質感が上がりそうですが、従来モデルと比べると雲泥の差。フロントシートに座ると従来モデルより低めな印象で、見た目ほどクロスオーバー感はありません。
リアシートはファストバックスタイルで犠牲になっていると思いきや、ヘッドトリムの工夫などにより従来モデル同等。フラットフロアと開放感ある空間設計も相まって、むしろ“広々”と感じるくらいです。
パワートレインは「第3世代」と呼ばれる3-in-1EVパワートレインを採用。モーター/インバーター/減速機を一体化することで容量を10%削減させながらも160kW/355Nm(トルクは+4%向上)を発揮。容量78kWhのバッテリー、統合熱マネージメントシステムの採用、細部までこだわりぬいたCD値0.26の空力性能なども相まって、最大航続距離は702kmを実現していると言います。
実際に走らせると、モーター駆動の応答性の高さや力強さはもちろんですが、アクセル操作に対して抵抗感がなくスーッと滑らかな加速に驚きました。その時、パワートレインから聞こえてくる音はほぼゼロ(パワートレインより風切り音やロードノイズのほうが気になります)。
「BEVだから当たり前」と突っ込む人もいるでしょうが、例えるならば従来とは普通のエンジンとフルバランスされたエンジン違いのような精度の差があると感じました。
この辺りは高剛性ハウジングやモーターのローター斜め配置構造など採用による音振性能の向上に加えて、15年にわたり蓄積してきた緻密な制振制御の相乗効果が効いているのでしょう。ただ、あまりにスムーズかつ無音なので“速さ感”は少ないかもしれません。
フットワーク系は全面刷新。初代・2代目は内燃機関用をベースにBEVに最適化させていましたが、新型はアリアから採用のBEV専用プラットフォーム「CMF-EV」を採用しています。
車体はねじり剛性86%アップ、リア・マルチリンクサス(従来はトーションビーム)やラックアシスト式EPS(従来はコラムアシスト式)の採用など、日産が持つ最新の“武器”をフル活用しました。
ちなみに基本の部分はグローバルスペックですが、走りの味付けは日本の道路環境(速度域や路面)に合わせて専用スペックとなっています。タイヤはGが235/45R19、Xが215/55R18を履きます(銘柄はダンロップ・eスポーツMAXX)。
見た目・走りともに極めて実直!
フットワークはズバリ「気を衒わず直球勝負」です。もう少し具体的に言うと、決して機敏ではないけど正確で滑らかなステア系、操作に対して忠実に動くクルマの動き、ロールは比較的大きめだけど粘りのあるサスペンション、クルマの重さを感じさせないボディコントロールなどが融合したハンドリングなど、重いクルマを強引に曲げようとする感覚の強いアリアとは別物で、新型リーフはとにかく“普通”で自然に曲がります。
決してスポーティな仕立てではありませんが、とにかく軽快でスッキリしているのに骨太という、日産の新スタンダードと呼んでいい走りで、その実直な感じは初代「プリメーラ」を思い出したくらい。

おそらく、走りの構成要素はアリアと似ていますが、全体的に緊張していた筋肉がほぐれた印象で、CMF-EVプラットフォームをはじめとする各部のパフォーマンスを使いこなせてきたようです。
個人的には「これならe-4ORCE要らずだな」と思う一方で、「NISMOやオーテックスポーツスペックをつくるならば、e-4ORCEにしないとダメだろうな」とも。
乗り心地は現在日産で発売される車両の中で最良と言っていいレベル。入力のカドの丸やアタリのやさしさはもちろん、路面のザラ・ビリを伝えない(振動が少ない)、バネ上の落ち着き(フラット感よりも目線のブレにくさ)、減衰よりもストロークで抑える吸収性(無理やり抑え込まない)など、とにかく可動部がフリクション無くスムーズに仕事をしている印象です。
メカニカルダンパーでここまでできるなら電子制御ダンパーはいらないと思いつつも、NISMOやオーテックスポーツスペックはこの上を目指すなら必要になってくるかもしれません。

結論として、新型リーフは、見た目・走りともに極めて“実直”なクルマに仕上がっていると思います。
現在日産は再建の道を進めています。健全な経営に戻すためにはスリム化や効率化などは絶対命題ですが、筆者は「クルマ屋はプロダクトが全て」だと考えます。
そういう意味では、増築ではなく刷新を選んだ新型リーフは、新生日産を象徴するモデルと言っていいと思います。
価格(消費税込)はXが518万8700円、上級Gが599万9400円と、従来モデルの「e+」(62kWh仕様)と比べると価格アップはわずかとなっています。
なお、遅れてバッテリー容量が少ない仕様(50kWh仕様)も登場予定で、そちらはもう少しリーズナブルなプライス(補助金を入れて400万円を下回る価格を目指す)になるようです。
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今回大きく変わったリーフですが、初代が登場した15年前と違うのは、下に入門編である軽自動車の「サクラ」、上にプレミアムのアリアとファミリーがいることです。
日産BEVシリーズのメインストリームにふさわしい仕上がりである事は筆者が保証しますので、是非とも近くのディーラーでそれを実感・体感してみてください。
間違いなく、これまでの日産とはちょっと違いますから。

