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かつてグラチャンに参戦したマシンたちが再び疾走

去る8月9日に富士スピードウェイを会場として、『MIMI5 GC RETURNS 2025』(以下GCリターンズ)と銘打ったレースが開催された。

【画像】あのグラチャンが富士に帰ってきた!MIMI5 GC RETURNS 2025開催 全75枚

古くからのレース好きは、『GC』というアルファベットの並びを見て、真っ先に『富士グランチャンピオンシリーズ』のことを思い浮かべたと思う。そう、まさにあの熱き『グラチャン(グランチャン)』が帰ってきたのだ。


イエローのローラT87/50を駆る小嶋禎一さんが予選で1位を獲得。そのまま決勝も制した。    沼田亨

ポイントは、かつてグラチャンに参戦していた懐かしいマシンたちが再び走ったこと。往時にステアリングを握っていたレジェンドドライバーのみならず、整備を担当していたベテランメカニックたちも集結。

タイムスケジュールの中にレジェンドドライバーによるデモランも用意されていたので、時空を超え、ピット内に独特の緊張感が甦った。

ご存知の方も多いように、役目を終えたグラチャン参戦マシンは、富士スピードウェイの周辺にあるファクトリーの一角で雨ざらしにされたケースが多々あった。そのため、残念ながら消失してしまった車両も少なくないが、熱心なカーマニアが動態保存してきたグラチャン参戦マシンも残っており、それらが今回のGCリターンズに集まったわけである。

そのように書くと、GCリターンズは懐古的なイベントなのかと思うかもしれないが、オーナーが定期的に走らせてきた快速マシンも参戦し、本気モードでのレースが展開された。

迫力あるエンジン音と風を切って走っているときのカッコよさは特筆ものだった。

クラス分けは『ジェネレーション1〜3』

1971年4月25日の富士300kmスピードレースで開幕したグラチャンは、1989年に終焉を迎えるまでの間に、度々レギュレーションを変更。

そのためGCリターンズでは参加車両を3世代でクラス分けし、ジェネレーション1〜3までの混走レースとした。


RE-13Bを積んだウルフMCSは、当時のドライバーである関谷正徳さんが乗ってGen-2で優勝。    沼田亨

1971年〜1978年までの2座席2リッターが『Gen-1』、1978年〜1986年までの1座席2リッターが『Gen-2』、1987年〜1989年までの1座席3リッターが『Gen-3』となる。

Gen-1時代は、シェブロン、ローラ、マーチ、GRDなどの海外マシンに加え、シグマ、ベルコ、いすゞ、エヴァカーズなどの国内コンストラクターが開発したマシンが参戦。BMW、フォード、マツダ・ロータリー、三菱、トヨタのエンジンを積んだ個性的なマシンがグリッドに並んだ。

Gen-2時代は、当初、自由度が高い車両規則を活かし、2座席スポーツカーに空力がいいシングルシーター特製ボディを架装。その後、さらなる性能向上を求め、F2のシャシーに特製ボディを架装し、完全なシングルシーターへと進化。シャシーはマーチ、エンジンはBMWとヤマハ、ボディはMCSが主流だった。

Gen-3時代は、空力ボディをハイダウンフォース化し、F3000の高性能シャシーに架装。3リッターのパワフルなエンジン(フォード、無限、マツダロータリー)はGCカーをハイパフォーマンスマシンへと変貌させた。

2026年はシリーズチャンピオンをかけて全3戦を開催

14台がエントリーし、12台が出走した今回のGCリターンズは、1987年式のローラT87/50を駆った小嶋禎一さんがポールトゥウィンを飾り、Gen-3でも1位を獲得。

1987年式のローラT87/50 MCSの星野茂さんが予選時のタイヤトラブルで最後尾スタートになりながらも総合2位で走り終え、Gen-3の2位となった。


Gen-1を制したのは1971年式のシェブロンB19で、このイエローのマシンが総合4位で完走。    沼田亨

総合3位となったのは、1980年式のウルフMCSを往時に走らせていた関谷正徳さん本人で、45年ぶりに乗ってGen-2を制した。

Gen-1でトップとなったのは1971年式のシェブロンB19で、このマシンが総合4位となった。

グラチャンといえばレーシングカーデザイナーの由良拓也さんが創業したムーンクラフトが有名だが、車名に付いているMCSとはムーン・クラフト・スペシャル(オリジナル・シングルシーター・シャシーとボディのセット)のこと。

GCリターンズの現場には由良さんも駆けつけ、記念すべき初の自社企画製品となったMCSシリーズを終始笑顔で見守っていた。

自動車メーカーが日本のレース界を牽引していた時代が終わり、主導権がプライベートレーシングチームに移るきっかけとなったグラチャンは、レース史を振り返る際に忘れることができないエポックメーキングなシリーズだ。

来季は全3戦で開催され、シリーズチャンピオンをかけた新たな戦いがスタートする。是非とも生で観てほしい。