この記事をまとめると

■昔と比較するといまクルマはかなり高価だ

■しかしクルマの技術が進化しているうえに、物価なども変化している

■それらを考慮すると、現行のほうが買い得に感じられるクルマ

クルマの技術は大きく進化している

 最近はクルマの価格が高くなったといわれる。たとえば2005年に発売された3代目ステップワゴンの買い得グレード、Gは207万9000円だったが、現行ステップワゴンで一番安いエアーは305万3500円だ。100万円近く値上げされ、現行型の価格は2005年当時の1.5倍に達する。この15〜20年ほどの間に、クルマの価格は、同じ車種の同じグレードに比べて1.2〜1.5倍へ値上げされた。

 それなのに平均給与所得は伸び悩むから、値上げされた同じ車種に乗り替えるのは難しい。小さなクルマを買うようになり、新車販売台数の40%近くが軽自動車になった。

 ただしクルマのメカニズムや装備も大きく変わった。2005年に発売されたステップワゴンGのエンジンは、2リッターのノーマルタイプだったが、現行型は1.5リッターターボだ。しかも現行型は、3代目が装着していなかった横滑り防止装置、衝突被害軽減ブレーキ、運転支援機能、サイド&カーテンエアバッグ、LEDヘッドライト、アイドリングストップ、スライドドアの電動開閉機能、アルミホイールなどを標準装着している。また2005年の消費税率は5%だったが、今は10%だ。

 このような環境性能/動力性能/走行安定性/安全装備/快適装備の充実と消費税率のアップを考えると、70万円くらいの値上げなら納得できる。それなのにステップワゴンは100万円近く値上げされたから、割高になったことは確かだ。

物価や所得も変化している

 クルマの価格を現在と過去で比べる時に注意すべきは、物価と所得の推移を補正することだ。1995年以降の物価と所得は、今とほぼ同じだから、機能や装備と価格を単純に比べられる。しかしそれ以前の時代と比較する時は、補正を行って、昔の価格を今の価値に換算せねばならない。

 たとえば安さで有名なクルマとして、1979年に47万円で発売された初代アルトがある。この年の大卒初任給は約11万円で、今は約22万円だから、2倍に高まった。

 つまり初代アルトの47万円を今の価格に換算すると、2倍の94万円になる。今のクルマの価格を見ると、100万円以下の車種は軽自動車でもきわめて少ないが、物価や所得の推移を考えれば当然だろう。47万円で登場して歴史に残る激安のアルトでも、今の価値に換算すれば、94万円に達するからだ。そうなると今の時代に100万円以下のクルマが少ないのも納得できる。

 そして1979年に47万円で登場したアルトは、軽商用バンとして開発することで、当時の車両価格に含まれた物品税を非課税にしている。物品税が課税されたら、47万円の低価格は実現できなかった。さらに初代アルトは装備も徹底的に省き、ラジオや時計だけでなく、左側の鍵穴まで装着していなかった。

 一方、現行アルトAの価格は94万3800円だから、物価や所得を補正すれば、1979年当時の47万円とほぼ同額になる。その現行アルトAには、横滑り防止装置、4輪ABS、運転席/助手席/サイド/カーテンエアバッグ、エアコン、パワーステアリングなど、各種の装備が豊富に装着されている。鍵穴まで省いた初代アルトに比べると、実質的な買い得度は大幅に強まった。いい換えれば現行アルトは、47万円のアルトと比べても、大幅に値下げされているのだ。