報道陣の取材に応じたエンゼルス・大谷翔平【写真:小谷真弥】

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日米韓メディア約50人が集結、去就問題の質問集中「完全にシーズンに集中している」

 今オフにフリーエージェント(FA)となるエンゼルス・大谷翔平投手は16日(日本時間17日)、米アリゾナ州テンピで報道陣の取材に応じ、契約延長問題について言及した。FAとなれば、史上初の5億ドル選手の誕生が期待されているが、その話題を封印。シーズンに集中する考えを示した。

 27分間に及ぶ会見には日米メディアだけでなく、韓国メディアも参加。自身の去就だけでなく、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)や今年から急増したインスタグラムの投稿についても語った。

――アート・モレノオーナーが球団売却を中止した。その後、会話はありましたか。
「昨日ちょうど挨拶をしたので。そんな深い話というか、あいさつ程度で終わりましたけど。特に今まで通りの環境で、その環境の中でまず優勝を目指して頑張りたいなと思っています」

――球団と契約延長の話はあったか。
「ネズ(バレロ代理人)にどういう話が来ているか分からないですし、今はシーズンにフォーカスしているので。契約の話というのは、全然、僕の方では何も聞いていない。聞いていないというか、あまり気にしていない状態で、完全にシーズンに集中している」

――契約延長に対してオープンな気持ちか。
「最終年というのは理解していますし、オープンな気持ちというのはどうなるか今後は分からないので。もちろん今の段階では、エンゼルスに所属していますし、このチームで優勝したいなという気持ちが一番かなと思います」

――エンゼルスの補強については。
「素晴らしい補強というか、例年にもまして素晴らしい選手が集まっていると思いますし。今日初めてあいさつした選手もいますし、いい選手たちと一緒にプレーできるというのは、自分にとっても特別なことかなと思います」

――来年以降の契約予想で4億ドル、5億ドルと報道が出ている。
「僕はその道のプロではないので。どの相場が合っているのかは正直分からないです。本当にさっきから言ってますけど、まずは今シーズンしっかりとしたいいシーズンにできるというのが一番の条件。僕にとってもチームにとっても、一番大事なことじゃないかなと思うので。まずはそこに集中したいなと思っています」

――FAになる気持ちはあるか。
「FAになるというか、契約がどっちみち切れるので。そういう、今の段階で契約延長もしていないですし、契約が終わったら、そうなるんじゃないかなと思います」

エンゼルスは勝てるチームか「ペリーに聞いてもらったら一番分かる」

――昨季終了後に同じことをしても成績が伸びないと話をしていた。どういった取り組みをするか。
「まずは投球間隔が短くなるので。まずはそこに対応していくのが1つだと思いますし、技術的にも去年できなかったこと、やろうとしても難しかったことだったりとか。そういうのを1つでも多くできるようなシーズンにできれば、数字は自ずと伸びてくるかなと思います」

――現時点でエンゼルスは勝てるチームになるか。
「それは僕は分からないですし。ペリー(ミナシアンGM)に聞いてもらったら一番分かるんじゃないかなと思うんですけど。もちろんいい選手をとるだけじゃなくて、若手の選手だったりとか、自分たちが所属しているマイナーリーガーの。もちろんファームのシステムというのも大事だと思うので、そこら辺は。僕は一選手でしかないので。マイナーでも正直どういう環境でやっているか理解していないですし、僕の専門外のところではあるかなと思います」

――WBC出場を控え、シーズンの準備の仕方は変わったか。
「例年とは変わっていないですね。スケジュール的にもそんなに大きく早めてはないですし、今まで通りの感じで十分なんじゃないかなと思うので。それがベストじゃないかと思っていますし、今のところ体調もすごく良く来ているので。このまま続けて調整したいなと思います」

――WBCは日本では大々的に報じられている。WBC優勝はワールドシリーズ制覇と比べてどれくらい重要か。
「ワールドシリーズとはまた別のところというか、僕はオリンピックに出たこともないですけど、そこも別なんじゃないかと思うので。全く別物かなと思っています」

――トラウトと対戦は想像するか。
「投げる、投げないとか、いろいろタイミング的なところはあると思う。米国はもちろん素晴らしい選手が揃っていますし、その他の国も素晴らしい選手が揃っているので。もちろん楽しみにしています」

――今季は登板間隔が短くなって登板数が多くなる。
「どうなんですかね、去年も中5日はちょこちょこやりましたけど、成績的には良かった方なので。ただ、それが長期な起用法で続いた時にどうなるかはやってみないと正直分からないかなと思うので。今の体調的には問題ないかなと思います」

――開幕投手になったとしたら、それはどういう意味をもつか。
「それは特別なことなので。もちろん精一杯頑張りたいなと思っています。まだ何も言われていないので、まずはしっかり調整して、投げられるというところを見てもらう必要があるかなと思います」

WBC日韓戦への思いも「すごい楽しみにしています」

――チームの成功と残留は結びついているか。
「残留する、しないに関してはあまり今のところ全然考えていないので。自分自身も分かっていないというか、FAになることも初めての経験だと思うので、今の段階では全然、何も考えていないかなと思います」

――エンゼルス球団は勝利に飢えていると思いますか。
「見せていると信じてはいますし。みんながそうやって思っていると僕自身は思っているので。もちろん他人の本心は分からないですけど。少なくとも僕自身はそう信じているかなと思います」

――韓国代表のチームの印象と特に注目している選手は。
「前回戦った時とメンバーがどうなっているかちょっと分からないので。前回も素晴らしいチームでしたし、前回やったときは僕自身たまたま、そこそこ調子が良かったので抑えることができましたけど、次回どうなるか正直分からないですし。それだけの力を持っているチームだと思うので、楽しみにしています」

――日韓戦について特別な気持ちは。
「今までの試合、前後もそうですけど、いろいろ見てはきたので。ただ、自分自身にとって何か大きい変化があると言われればそんなこともないですし。韓国の選手、大好きですし。メジャーリーグの人もいますけど、いつも話をさせてもらって、みんな良い選手ばかりなので、個人そこら辺も、すごい楽しみにしています」

――今季に向けて取り組みたいこと。
「まずはルール変更がいくつかあるのでそこにしっかり対応していくのが一番大事だと思うので。一番そこが対応しなければいけないことかなと思います」

――フィジカル的な手応え。
「今のところは申し分ない感じかなと思うので。去年よりさらにいいですし。今までの中も一番、今のところいいかなと思います」

――WBCに向けてペースを上げてもっていくことはしたくないということか。
「というよりは、それが一番ベストかなと。WBCで9回完投しなければいけないということでもないので。球数制限もある中で、ある程度想定されるイニングがあるので。そこをベストに抑えにいくなかで、どの調整が一番いいのかなというところで、今のままでいいんじゃないかなというのがみんなの意見かなと思います」

――昨日のブルペンはどういった感触。
「アリゾナは毎年そうですけど乾燥がすごいので、特に屋外でプレーするときはあまり手に付かないということがあるんですけど、例年より多少マシだったかなと思います。それは慣れの部分であるとか大きかったと思うので今のところは問題ないかなと思います」

今季の目標は「キャリアハイは今年も変わらない」

――変化球の感触は。
「ラン系のボール(ツーシーム)は良かったかなと思いますね。逆にグラブサイド(スライダー)のボールはいまいち曲がり的には、まだ良くなかったかなと思います」

――3月9日の初戦までにやっておきたいことは。
「実戦ですか。ライブBPどれくらい投げるか分からないので。試合では何試合か投げると思いますけど、それまでのライブBPの球数はその都度その都度話し合って。ある程度スケジュールはあると思うので、それに沿っていければと思います」

――日本はWBC、ものすごく盛り上がっている。WBCの熱はどのように上がってきているか。
「僕は今まで出られていないので。もちろんずっと野球を始めて、小学生の頃から見ている大会ですし、いつか出てみたいなと思っていた大会なので、前回はなかなかタイミングも合わず出れなかったと考えると、すごく特別な気持ちではある。すごい、個人的には楽しみですし、優勝目指して頑張りたいなと思います」

――米国の選手たちはすごい選手が集まってびっくりしていたというのがあったが、WBCは価値があると言っていた。WBCの価値をどう捉えているか。
「アメリカもそうですし、ドミニカもそうですし、いろんな国もそうですけど、トップの選手たちが集まってきているので、その中で日本の選手も素晴らしい選手が集まっていますし、国と国が試合をする中で、どういうレベルなのか、お互いに知ることができると思いますし、それを自分たちも試すことができるし。ただ、結果が出てくるので、素晴らしい大会になることを僕自身も願っていますし、そうなるように全力を尽くしたいなと思います」

――日本の野球とアメリカの野球、それぞれの良さは。
「一番の違いはレベルですよね。そこは変えようがないことなので。そこはしょうがないというか、僕自身もレベルが高いところでやりたいと思ってきましたし、実際にやってみて、それはそうだなと、来てよかったと思ったので。それは一番の違いはレベルの差かなと思いますし、その中のレベルの差は徐々に徐々にですが、詰まってきているとは思うので、日本の野球も素晴らしいところがたくさんありますし、総合的にみた時にもっともっと上に行ける可能性ももちろん持っていると思うので、まだまだこれから伸びていく要素はあると思います」

――チーム力というところですかね、日本の良さは。
「どうですかね。チームスポーツでもあるんですけど、個人の要素も強いので、チームの要素だけがすぐに追いつくレベルにあるとは思わないですけど、個人のレベルも伸びてきていると思うので、それは僕自身も含めてまだまだ上に行けると思っています」

――ネビン監督が大谷選手がMVPを逃して悔しがっていたと言っていた。今季の投手、打者それぞれの目標は。
「キャリアハイというのは、去年よりも今年というのは、去年も思っていたし、それは今年も変わらないので。取れる賞に関しては正直、周りとの兼ね合いがあるので、必ずしもキャリアハイにしたからといって取れるとは限らないが、限りなく取れる可能性は高まると思いますし、まずは今までやってきたベースの数字をしっかりと超えていきたいなというのが一番かなと思います」

侍ジャパンの宮崎キャンプ不参加は「練習試合に出られないというのが一番」

――3月上旬に帰国する。侍ジャパンは宮崎合宿が始まった。ここに至るまでの経緯は。
「練習試合に出られないというのが一番かなと思います。出れる、出れないによって、こっちで試合をした方がいいとか、いろんな人と話して決めた感じかなと思います」

――ダルビッシュ投手は宮崎で始動している。誰かと連絡を取ったりしているか。
「宮崎に行ったというのは、知っていますね。ただ、あんまり連絡は取ってはいないので。ちょっと前は取ったり。誠也はアリゾナにいたりするので、連絡は取りますけど、直接は会っていないので、まだそんな感じかなと思います」

――投球は足の上げ方やテークバックにマイナーチェンジがある。
「一貫して、負荷を少なく、かつ効率よく投げたいというのが、これはずっとそうですけど、なかなかすぐにできることではないので、毎年毎年、いろんなことを試しながら、よりその方向に近づいて行けるようにということですかね」

――自身のインスタグラムでの発信が増えている。心境の変化があったのか。
「時間があったからという感じですかね。逆に言えば、この期間しか時間はないので。日本にいても、僕も普通のジムで、皆さんいるようなところでやっているので、あまり携帯とか使いたくないですし、今は自分たちのクラブハウスだったり、トレーニングルームがあったりとか、そういうところはあるので。練習の方法とか1個でも多く知れれば。僕自身もそういうので知って勉強することもありますし、大事かなと思います」

――今年からバットを変えた。具体的にどんな形状で、打った感触はどうか。
「打感は硬めかなと思いますね。形状は多少変わってはいるので。あまり口では説明しづらいですけど、微妙な違いはあるかなと。自分に振りやすいように変化させた感じかなと思います」

――飛距離が伸びるのか。以前のように飛距離は考えずに振りやすさを追求したのか。
「振りやすさが飛距離にもなるし、アベレージにも関わってくる。一番は心地よくスイングできるかというのが一番大事かなと思います」(小谷真弥 / Masaya Kotani)