神村学園のFW福田師王【写真:FOOTBALL ZONE】

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J1&海外クラブが熱視線の神村学園FW福田、活躍に期待も初戦で姿消す

 高校ナンバーワンストライカーの夏は初戦で幕を閉じた。

 神村学園(鹿児島)のFW福田師王は今、J1のビッグクラブがこぞって獲得レースを繰り広げ、今春にはバイエルン・ミュンヘンを含め、ドイツとオランダの複数のクラブに練習参加をするなど、その注目度は非常に高い。

 神村学園の初戦は強豪・履正社(大阪1)。2回戦屈指の好カードとなったが、試合が始まると明らかに神村学園のコンディションが良くなかった。福田も立ち上がりこそ驚異的な跳躍力と空中での強度を披露し、前線で起点を作ったり、DFに囲まれても突破やパスですり抜けたりと、才能の片鱗を見せた。しかし、試合が進むにつれて、運動量は落ちていき、プレーの強度も落ちた。

 福田だけではない。セレッソ大阪加入が内定のMF大迫塁も、1年生で10番を背負うMF名和田我空も思うようにプレーできず、精度が落ちていった。後半、試合はほぼワンサイドゲームとなり、2ゴールを決められて万事休す。高校最後の夏は不本意な形で終わってしまった。

「正直、大会前にトレーニングらしいトレーニングが出来なかったことは事実です」と試合後、有村圭一郎監督がこぼしたように、精度を欠いた理由は大会直前にチームを襲った新型コロナウィルスの影響だった。濃厚接触者の隔離などで全体的なトレーニングを積むことができず、ほぼぶっつけ本番の状態だったのだ。

「こういう影響はほかのチームにもありますし、ただ、自分たちがこの大会にうまく持っていくことができなかったからだと思います。終始ふわふわした形でゲームが終わってしまった印象です」と有村監督。ただ、神村学園の選手たちはこのことを言い訳にしなかった。福田もその1人だった。

「自分のせいで負けた。本当に悔しいです。もっと動けたと思うし、決めなきゃいけないシーンもあった。チャンスも作り出せていないし、本当に僕だけのせいです」

 言葉少なだったが、言葉の節々にエースとしての責任感が滲み出ていた。注目されている存在であり、チームを勝たせないといけない存在であるにも関わらず、前後半で放ったシュートは1本ずつ。終盤のビッグチャンスもモノにできずに完封負けは、コンディション云々以上に福田にとっては悔いしかない結果と内容だった。

 ただ、この1試合だけで福田の評価が落ちるわけではない。コンディションが悪い中でベストパフォーマンスを出すことは不可能。その中でも、ボールが入れば数人で囲まないと対応できないなど、着実に「違い」を見せていた。重要なのはコンディションが悪い中で何ができるか。その観点で言えば冒頭で触れた通り、才能の片鱗は見せた。

「自分だけのせいだからこそ、僕が変わらないといけない。こんな悔しい思いをしないように練習から頑張っていきたい。全てのレベルを上げていきたい」

 才能あるストライカーだからこそ、悔しい経験を積み重ねて大きく成長をする。たった1試合だったが、福田の中では成長のきっかけとなる大きな1試合となったはずだ。(FOOTBALL ZONE編集部)