ナンバーなぜ盗まれた? 国産車の「部品ねらい」続出 トヨタ車は要注意! 海外流出もある最新事情とは
ホイールやマフラーだけが盗まれるケースも
最近では、高級車がセキュリティーを強化しているのにも関わらず、通称「リレーアタック」などにより盗難被害に遭う様子が報道されています。
一方、クルマやバイクの部品が盗まれるという事案も発生しており、SNSでも「家出たらホイールが盗まれてた」「オーディオやナビも盗まれてる!」といった声があがっています。なぜパーツのみ盗まれるといったことが起きてしまうのでしょうか。
警察庁の発表によると、2020年の車両盗難件数は全国で5210件。2011年は2万5238件、2015年は1万3821件と減少傾向ではあるものの、1日平均14.27台もの盗難被害が発生しています。
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また、一般社団法人 日本損害保険協会では、自動車本体盗難事故や車上ねらい事故の調査を実施しています。
その調査では、トヨタの「ランドクルーザー」「プリウス」「クラウン」「アルファード」やレクサスの「LX」や「LS」が被害に遭いやすいと公表。
一方で、警察庁が2021年に発表した「自動車盗難等の発生状況について」では、車両の部品が盗難被害に遭う「部品ねらい」の認知件数は、2020年には1万3453件となっています。
約20年前の2002年には12万8539件だったことから、減少傾向にあるものの、それでもなお年間1万件以上の被害が報告されています。
中古部品を取り扱う専門店の担当者は、以下のように分析します。
「アルミホイールは、金属のリサイクル業者に持ち込んでも1本数百円で、金属材料としての価値よりもホイールとしての価値が高いので、中古ホイールとしてインターネットのオークションやフリマサイトなどに出品されたり、中古部品店に売られたりする場合もあるようです。
しかし、現在は個人確認が厳しいのでリスクが多く、コンテナ船で海外に持ち出されてしまうことが多いといわれています。
マフラーは触媒に使用されている希少金属が高価なので、金属リサイクル業者に流れるケースもあるようで、希少金属の価格が上昇するとマフラーの盗難が増えるという話もあるそうです。
カーナビやレーダー探知機などは、海外で使用することは難しいので、国内で流通しているのかもしれません。
しかし、中古部品の販売店では買取時の身元確認が徹底されているので、売りさばくにはリスクが伴うのではないでしょうか。
自動車部品の盗難件数が減少しているのはそういった事情もあると思います。
最近はセキュリティーの精度も高くなり、クルマ自体はある程度の技術がないと盗むことができなくなっています。
一方で、パーツに関しては『力技』で素人でも盗みやすいので、手を出してしまうのかもしれません」
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また、部品ねらいの件数のなかでもっとも多いのがナンバープレートの盗難です。
2020年の盗難認知件数は6608件と、部品ねらいのうち49.1%をナンバープレートの盗難が占めているといいます。
実際にSNSでも、「朝起きたらナンバーがなくなってた!」「ナンバープレート盗まれてた…ほかの被害はない模様」といったように、ナンバープレートが綺麗になくなっているといった被害を受けている人が見受けられました。
では、なぜこれほどまでにナンバープレートは盗難の対象になるのでしょうか。
盗まれたナンバープレートが、ほかの犯罪などで悪用されるのではないかというのは想像できますが、盗難多発の理由はそれだけではなさそうです。
ナンバープレートは海外に持ち出され、オークションなどで高額取引されているのも理由のひとつといえるようです。
オークションサイトを見てみると、多くのナンバープレートが出品されているのが見受けられ、あるページでは長野県ナンバーのプレートが33ドルと日本円でおよそ3700円の値がつけられています。
ほかにも群馬ナンバーなどさまざまなナンバープレートが出品されていることが確認できます。
とくに、米国では近年「JDM(Japan Domestic Market)」という日本仕様風なカスタムやカスタムカー、また日本独自の用品(ナンバープレートや車検ステッカーなど)が高い人気を集めています。
そのため、通称「25年ルール」による国産スポーツカーなどの中古車相場高騰などをはじめ、日本仕様の自動車関連品が注目を集めているのです。
部品が盗まれたらどうすればいいの?
では、万が一に部品ねらいに遭ってしまったらどうすればいいのでしょうか。
盗難に遭ったクルマが車両保険に入っていれば、保険金が下りるケースがあります。
車両保険でカバーされるのは車両に固定されている部品で、タイヤやホイール、シートやハンドル、シフトノブなどクルマの運転に必要不可欠な部品から、ダッシュボードに埋め込まれたカーナビやオーディオなども含まれます。
ポータブルタイプのナビやホルダーにセットされたタブレットなどは、通常の車両保険ではカバーされないことが多いので、契約している保険会社に問い合わせる必要があります。
車両保険を使用する場合は、警察への届出が必要なので、まずは警察に連絡しましょう。
また、盗難で自動車保険を使用すると、等級がダウンしてしまいます。
ロードサービスの利用は等級に影響しない保険会社が多いので、ホイールやハンドルが盗難されるなど、自走不能の場合には修理工場まで運んでもらえるか確認することをおすすめします。
さらに、ナンバープレートが盗難に遭った場合は、再交付されるまでクルマを使うことができず、再度申請をおこなう場合には盗難により返納できないなどという理由書が必要です。
また、再交付にはナンバープレートを制作する必要があるため、数日間かかってしまいます。
また、登録車の場合リアのナンバープレートは封印が必要なため、盗まれた場合には封印の作業も発生するため、注意が必要です。
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部品ねらいに遭ってしまうと、精神的なダメージのほかに、車両保険に入っていたとしても手続きや等級のダウンなど、コストを負担する必要が出てしまいます。
盗難被害に遭わないのが一番ですが、警察では予防方法として、ナンバープレート盗難防止用の特殊ネジの使用や警報装置の設置、駐車場への対策などを呼びかけています。