「もうビジャレアルへは貸さない」久保建英の境遇に不満爆発のマドリーも、移籍は“静観”。番記者が明かす退団実現のカギは?【現地発】
久保建英が再び移籍騒動の渦中にある。保有元のレアル・マドリー、レンタル先のビジャレアル、そして久保サイドと三者三様の思惑が絡み合っているこの問題。しかし実のところ、この中で難しい選択を迫られているのはビジャレアルだけだ。 ビセンテ・イボーラの怪我による長期離脱が確定したことで、後釜の確保が必要になった彼らは、サラリーやレンタル料の負担を考え、久保の退団を希望。ウナイ・エメリ監督もここ数試合、久保よりもジェレミ・ピノをはじめとするカンテラ出身の若手を優先的に起用している。 一方、マドリーの姿勢は終始一貫している。すなわち今夏のレンタル先探しでもそうだったように、久保の意思を最大限に尊重することだ。そしてその本人が希望しているのは、シーズン終了までビジャレアルでプレーすること。したがってこの膠着状態を崩せるのはビジャレアルしかない。【動画】圧巻のプレーを連発!久保建英がELデビュー戦でマークした1ゴール・2アシストをチェック
ただ事はそう単純ではない。ビジャレアルは、今夏久保の獲得のために大規模な投資を敢行した。レンタル料だけで、250万ユーロ(約3億1250万円)。さらにそこに同額に設定されているインセンティブが加わり、その一部はビジャレアルがヨーロッパリーグの決勝トーナメント進出を確定させたことで支払われることがすでに決まっている。 おまけに数字は公表されていないものの、高額と伝えられるサラリーも全額負担している。つまりビジャレアルが1年間久保を手元に置くためこれだけの金額を投じたのは、それだけ即戦力として期待を寄せ、活用する構想のはずだったが、獲得に執心した肝心のエメリが考えを変えてしまった。 久保はそんな中でも良いパフォーマンスを見せた試合もあったし、期待に応えようと懸命に練習に取り組み続けている。当初約束された通りの出場機会を与えられなくても、不満を示すことも一度もない。マドリーからすれば現在の状況を招いたのはエメリの変心も含めて全てビジャレアル側に責任があり、実際、他のクラブから獲得の打診があった際には、そのままビジャレアルに預けている。
現時点で最も獲得に熱心なクラブの一つがヘタフェで、すでに数週間前からビジャレアルと話し合いを行っている。しかしここでネックとなるのがビジャレアルが支払うと契約書で取り決められたレンタル料とサラリーで、この点でマドリーは譲歩する考えはない。 すなわち、例えば経営規模がそこまで大きくないヘタフェが70%しかサラリーを支払えないと主張すれば、そのカバーできない分はビジャレアルが負担しなければならない、それがマドリーの見解だ。 昨冬、ヘスス・バジェホがウォルバーハンプトンからグラナダに移籍した。この時にマドリーが行ったのは、両クラブ間で合意した内容をそのまま承認したことだけ。マドリーは久保のケースも同様に、本人が移籍を希望すれば尊重する方針だが、現状はそうではなく、そこがヘスス・バジェホと決定的に違う点でもある。そして、それまではあくまで静観を決め込むというのがこの一連の騒動におけるマドリーが取っているスタンスだ。
ただ、もちろん久保を取り巻く現状には大いに不満を抱いている。今夏、ラ・リーガだけでも10以上のクラブからオファーが届いた中、久保はビジャレアルに移籍した。決め手となったのは新たに監督に就任したエメリが獲得を強く望んだからからであり、その投資額の大きさも本気度の表われであるとマドリー側は感じ取った。 ビジャレアルはその際、出場機会を保証したが、実際はそうはなってはいない。クラブ上層部の不満は相当なもので、今後ビジャレアルが同様にレンタルでマドリーの選手の獲得を望んだとしても、その実現は困難を極めるだろう。 ビジャレアルが現在の膠着状態を打破するには、久保が考えを改めて移籍を希望する以外にない。ただその時もマドリーは、新たなレンタル先探しに積極的に手を貸すことはあっても、びた一文まけるつもりはない。ビジャレアルがその新たな受け入れ先のクラブと金銭面で合意できなければ、当然、ゴーサインを出す考えもないのである。文●セルヒオ・サントス(アス紙レアル・マドリー番)翻訳●下村正幸
