「相手は謝罪の時、自分がどう対応するのかを見ている。逃げなかったとか、嘘をつかなかったというところで逆に信頼してもらうことができれば、その後のビジネスにも繋がる」。

・【映像】プロの謝罪屋"アヤマリストがすぐに使える3つの極意を伝授

 人の代わりに謝罪におもむき、時にはペンを投げられ、コーヒーをぶちまけられる。これまで謝りに謝った回数、実に585回。謝罪の指南本も出版、全国各地でセミナーも開催する、お詫びのプロ、それが「アヤマリスト」の越川慎司氏だ。

 日本マイクロソフトで品質管理部門の総責任者だったという越川氏。「お客様とのトラブルが起き、“責任者出てこい”となった時に出ていく役だった。合わせて585件の謝罪をしたが、60億円以上契約ももらった。その学びをもとに、謝罪や謝罪会見のアドバイスをしている」

 越川氏による謝罪の極意は「(1)初動が大事(2時間以内)」「(2)パフォーマンスは求めてない」「(3)“誰”の“何”に対して謝罪するか」だという。

 「自らの問題でトラブルが起きたときは、“初動”として、2時間以内にやることが2つある。1つ目は、逃げないこと。逃げることによってトラブルが大きくなるケースもある。被害を大きくしないようにきちんと対応しなくてはいけない。2つ目が、嘘をつかないこと。例えばお金をもらったのに“もらってない”と主張する政治家は完全に間違っている。次に“パフォーマンス”だが、泣きながら謝ったり、頭を丸めて謝ったりしても、許してはくれないということだ。そして、“誰”の“何”に対して謝罪するか。対象は人を絞って、何をおわびするかを明確にする。よく、記者会見などで“社会の皆さんを不快にさせてしまって申し訳ございません”という謝罪があるが、不快に思わせたことに対して謝罪していたらきりがない。実際に経済的・精神的なご迷惑をおかけした方に対し、直接謝ることだ」。

 そして、実際に謝罪におもむく際の心構えについては、「謝罪訪問なら、“初めの45秒”が重要だ。外見でいえば、腕時計をしないこと。高級腕時計をしていると“お前何やってるんだ”と言われるし、ちょっと目線が行くだけで“早く終わらせたいんじゃないか”と思われる。そして、1回目の訪問に手土産は禁物だ。羊羹などを持っていくことで、“これで許してください”ということだろうと受け取られ、むしろ火に油を注いでしまうことになる。持っていくなら問題が解決し、これから仲良くやっていきましょう、一緒にやっていきましょうという2回目、3回目だ。そして、嘘をついてしまうのが一番悪いので、やってないことを謝ってしまうのは良くない。まずは話を聞く。謝罪を500件やって分かったことは、怒りの8割くらいはしっかり聞いて共感することで解決することができる。おすすめなのは、“だけど。でも。どうしても”などの“ダ行を使わない”ということ。不快に思われてしまうし、言い訳をしているように感じてしまう。ここはサ行やハ行など、静音で通りのいい言葉を使うように事前に準備したほうがいい」と話した。

 『週刊東洋経済』の山田俊浩編集長は「私たちの場合も謝罪をすることはよくあるし、その結果を示す文章を考えることも多い。電話で対応することもあるが、対応ひとつでさらに怒らせてしまうこともある。いかに丁寧に聞くかということと、笑わないこと。真剣に声のトーンを下げながら聞くということをやっている。また、“こちらから伺います”と言うのも結構有効だ」と明かした。

 最後に越川氏は「私は謝罪訪問を585件やって、キャンセルは1件だった。30%のお客様からは追加注文が来て、その総額は63億円になった。今はモノ消費よりコト消費と言われているし、腹を割って話せる関係性の方がビジネスになりやすい。逃げずにチャンスと捉え、真摯に対応すれば必ず営業には繋がる」と話していた。(ABEMA/『ABEMA Prime』より)