今年も引っ越しシーズンが近づいてきました。進学や就職、転勤などで見知らぬ土地に移り住み、心機一転、新生活を始めるという方も多いでしょう。そんなとき、検討中の部屋や棟が事故物件か否かを見抜くには、どうすればいいのでしょうか。今回は、そうした場合に役立つ“テクニック”をご紹介しましょう。(全2回の1回目/後編に続く

【画像】この記事の画像をすべて見る(5枚)


©iStock.com

事故物件とは知らずに引っ越してしまうことも……

 そもそもの前提として、不動産業者には宅建業法で「告知義務」が課されています。そのため、前の入居者がそこで自殺していたり、あるいはその部屋が殺人事件の現場になっていたとしたら、業者は契約が成立する前に、その旨を伝えなくてはいけません。ただ、それにもかかわらず、知らず知らずのうちに事故物件に引っ越してしまった、というケースも少なくないのです。たとえば、下記のような場合です。

(1)告知義務を無視し、事実を隠して部屋を貸し出す悪徳業者に当たってしまった場合
(2)自殺や殺人などが一定期間以上、過去の出来事である場合
(3)自殺や殺人などが、隣や真上・真下の部屋で起きていた場合

 この中で、(1)は違法ですが、残念ながらそうした業者はまだ一定数存在しています。(2)に関しては、たとえば自殺があったのが5年前であれば、告知義務がないと考える業者が多く、そうした判断が業界の慣習になっています。

 また、(3)では、そもそも告知義務は当該物件のみに適用され、隣や真上・真下の部屋でいくら凄惨な事件が起きていたとしても、業者が入居者にその事実を伝える必要はないとされています。

 こうした場合、そこが事故物件であるか否かを知るために、最も確実な方法は「大島てる」のサイトを確認すること――というのが、まず私に言えることです。ただ、それ以外にも、「怪しい」と判断できるポイントはいくつかあります。

全面リフォームされた部屋はなぜ“怪しい”のか?

 第一に、一部だけ不自然なリフォームがされている物件。アパートであれ、マンションであれ、あるいは雑居ビルであれ、「101は古い、102も古い、でも103だけ新しい」といったような、建物の中で1部屋だけがなぜか全面リフォームされている物件は、過去に何らかの事件があった可能性があります。

 たとえば、鉄筋コンクリート造のマンションで火事があった場合には、しばしばこうしたリフォームがなされます。木造アパートで火事が起きると、たとえ燃えたのが1部屋だけでも“建て替え”となりがちなのですが、鉄筋コンクリート造のマンションなら、火事があった部屋だけを新しくすれば、そのまま使えることが多いからです。

 また、孤独死が起きた部屋も、こうしたリフォームの対象になります。自殺や殺人と比べると、“事故物件感”は弱く思えるかもしれませんが、孤独死の現場は酷いです。なにより臭いがきつく、天井や壁紙、床にまで染み込んでしまうのです。発見された段階でかなり腐敗が進んでいることも多く、そうなると結局全てを張り替え、全面リフォームすることになってしまうのです。

玄関のドアは要チェック!

 ちなみにリフォームの際には、原状復帰にとどまらず、むしろグレードをあげた部屋に変えてしまう、という例もよく見られます。内装を豪華にしたり、あるいは防音の部屋にしたりして、家賃のベースを上げるのです。

 こうした場合の見抜き方としては、ネットで同じ建物内の別の部屋の写真をチェックしたり、外から見て玄関のドアが他と違うところがないかを確認するのが有効です。リフォームする際に、以前と同じドアが製造終了になっていたり、同じようなデザインでより性能が良い、あるいは安いドアを購入するオーナーが多いため、「玄関のドア」は注目すべきポイントなのです。

「クローゼットだけ新しい」も危ない?

「一部だけ不自然なリフォームがされている」という点で言うと、もう一つ、同じ部屋の中で「トイレは古い、風呂場も古い、でもクローゼットだけ新しい」といった物件も怪しいです。こちらは、自殺や殺人がその部屋で起きている可能性があります。

 火事や孤独死とは違って、自殺や殺人が起きた部屋を全面リフォームすることは、実はそんなにありません。よほどの事件であれば別ですが、基本的には特殊清掃を行えば、部屋は引き続き使えるからです。ただ、畳に大量の血液が染み込んでしまったり、クローゼットの中で首を吊って体液が漏れ出てしまったりしていたら、そこだけ新しくする必要があります。

 内見の際に、畳数枚だけ妙に新しかったり、風呂場やクローゼットなど、特定の場所だけなぜかピカピカだったりしたら、そこは事故物件かもしれません。

 ここまでが“部屋の内側のリフォーム”の話だとすれば、“部屋の外側のリフォーム”でも、「怪しい」と気付けるポイントがいくつかあります。こちらは、何らかの事件が起きてメディアに報道されてしまった物件が、事故物件であることを気づかれないよう、カムフラージュのために行うことが多い手法です。次は、そのパターンについてお話ししましょう。

(後編に続く)

殺人事件が起きたホテルは、なぜ外壁を塗り替えたのか? 大島てるが語る「事故物件を見破る“3つのポイント”」 へ続く

(大島 てる)