加速する医療業界のスピンアウト、それぞれの事情
実現性の早さ
「薬に代わるソリューションを提供できれば、という思いから走りだした」。Aikomi(神奈川県藤沢市)の加藤潤一副社長は創業当時の思いを語る。同社は認知症の非薬物療法に活用するソフトウエアを開発している。武田薬品工業から2018年に独立したスピンアウト企業だ。
Aikomiを創業間もないころから支援しているのがインディージャパン(東京都中央区)。同社は医療・ヘルスケアおよびロボット領域の起業を支援するプログラム「ZEN TECH DOJO(ゼンテクドウジョウ)」を実施している。起業に必要な知識の提供からビジネスプランの構築まで、伴奏して支援する。
津田真吾共同代表取締役は「必要であれば企業と独立したい人の間にも入る。現在働いている人には技術、社会経験、アイデアが備わっている。スピンアウトは成功確率が高い」と話している。
Aikomiでは、ゼンテクドウジョウでユーザーのニーズをつかんだサービスにする方法などを学び、役立てた。良好な関係は今も続いている。
将来は海外にも
一方、デンソーはカーブアウト企業を誕生させた。OPExPARK(東京都新宿区)を立ち上げ、デンソーが開発した手術室内で規格の違う機器をつなぐソリューション「オペリンク」を販売している。本田泰教社長は「システムを改良しながら導入手術室を拡大していく。将来的には海外にも広げたい」と笑顔を見せる。
本田社長とデンソーのオペリンクチームを引き合わせたのは、Beyond Next Ventures(東京都中央区)だ。同社の実施するプログラム「BRAVE」で起業準備を進めた。同社の伊藤毅社長は「オペリンクの話を聞いて、スタートアップで始めた方がうまくいくと考えた」と明かす。
同社は経営者候補の人材と大学や企業の研究者をマッチングできるのが大きな強みだ。従来、大学の先生とのマッチングが多かったが、今後は企業からの独立や事業の切り出しも支援したいという。
「機動力」高く
スピンアウトやカーブアウトでもっとも問題となるのは、知的財産関係。親元の反対にあうケースも少なくない。ただ、技術によっては機動力の高いスタートアップ起業の方が実用化が近い場合がある。また資本を入れてうまくいけば、大企業側にもメリットがある。インディージャパンやBeyond Next Venturesなどの取り組みが、ウィン―ウィンの果実を生み出すか注目したい。
