技術的にはグリルなしでもクルマは作れる

最近クルマのグリルがとにかく巨大化している。国産車では軽からミニバンまでどんどん大きくなっているし、デザイン自体も強烈だ。一方、輸入車では一時アウディが大きくなったが、最近では全体的にそれほどではない。

もともとグリルというのは、ラジエターに風を当てたり、エンジンルーム内の熱を逃がすために用意されているもの。この効果に限って言えば、シミュレーション技術の向上もあって、必ずしも大きくする必要はない。最適な流れと流速が確保できれば、鉄仮面のようなグリルレスでも問題ないのだ。

それなのに巨大化しているのはなぜか?

グリルでブランドイメージの統一を図るメーカーが多数!

まずメーカーアイデンティティの確保というのがある。ブランドとして統一イメージを確保するために、顔つきを同じにするというわけだ。その際、顔つきを決めるのは真ん中にあるグリルであり、それが小さいと意味がないため、ある程度のサイズが確保される。そうすることによって、トヨタ顔やレクサス顔、日産顔など、ひと目でわかるようになり、メーカーとしての統一感も取れるし、クルマ自体の存在感も高まる。

そしてもうひとつが迫力だ。いわゆるオラオラ顔なのだが、これを好む層が一定以上いるのは確かで、そこに対してメーカーも商品力アップとして対応する。

そんなにいるのか? と思うかもしれないが、トヨタの現行アルファード&ヴェルファイアのデザイナーに聞いたところによると、「先代の顔ではまだ物足りないから、もっと迫力を出してくれ」という声も多いという。

また、大きなグリルばかり見ていて、小さいのを見るとなんとも迫力がない気がしてくる。それゆえのあの巨大グリルだ。巨大なグリルで注目を集めた三菱のデリカD:5も、同じような理由が背景にあるのだろう。

そして見ていて日本人って凄いなと思わされるのが、ただ大きくするだけでなく、グリル内のルーバーを細かくデザインしていること。レクサスLSやセンチュリーなどでは、隙間ひとつひとつのサイズがすべて違っていて、幾何学的な配置にするなど、アートの領域と言ってもいいほどのこだわりようだ。

ただ大きければいいのではなく、大きくしつつも美しくというのは日本人らしい点だろう。