誰も予想しなかった、予想できなかったコパ・アメリカとなった。

 森保一監督率いる日本代表は、グループリーグ最終戦でエクアドルと1対1で引き分けた。勝てば決勝トーナメントに進出できる一戦で、勝ち切れる可能性を十分に感じさせながら、勝点1に終わってしまった。

 物足りなさやもったいなさは募るが、8日間で3試合目である。連戦による疲労を隠し切れないものの、選手たちは最後まで勝利への意欲を表わした。

 驚くべきは終盤の攻防である。

 消耗度がさらに激しさを増すなかで、決定的なシーンを作り出した。上田絢世と前田大然が途中出場で投入されていたとはいえ、フレッシュな彼らに寄りかかったわけではない。2列目の中島翔哉と久保建英が起点となり、崩し役となり、複数の選手がフィニッシュに絡んでいった。

 日本より試合間隔が1日短いエクアドルが、日本より早く足が止まったと言うことはできる。だからといって、モチベーションが低かったわけではない。勝点3をつかめば決勝トーナメントに進出できるのは日本と同じで、どこかピリッとしなかった彼らも実際は勝利を欲していた。

 試合後の記者会見では、エルナン・ダリオ・ゴメス監督が地元メディアと激しくバトルした。1勝もできずに大会を去ることになったため、「辞意はないのか」と何度も詰め寄られた。コロンビア出身の指揮官はそのたびに強い口調で反論し、メディアを納得させる材料として日本の奮闘もあげた。

「とても統制がとれていて、スピード豊かに攻撃をしてくるチームだった」とし、「ウルグアイに勝っているのですよ。当たり前に勝つことはできない」と語った。

 コパ・アメリカで思いがけずチームが奮闘したことにより、日本代表と五輪代表はどちらも底上げをはかることができた。トゥーロン国際とコパ・アメリカで東京五輪世代を強化でき、日本代表の選択肢を増やすことにつながっている。

 これまでスケジュールが重なってしまうことが多く、森保監督は兼任のメリットを生かせなかった。だが、チームとしてはぶっつけ本番で臨んだコパ・アメリカで、東京五輪世代と日本代表をスムーズに融合させた。ふたつのチームにしっかりと目配せをしてきたからだろう。

 日本代表の次のターゲットは、9月開幕のカタールW杯予選となる。ここから先は再び、メンバー入りを巡る競争が始まる。 5月末から6月にかけての活動を通して、日本代表として戦うことに現実感を持つ選手は増えている。いまはまだ招集されていない東京五輪世代も、コパ・アメリカに刺激を受けたことだろう。日本代表で戦いたいとの意欲を持った選手が多いほどに、チームは逞しくなっていく。