RAIN(ピ)×イ・ドンゴン、新たなるケミストリーにも注目…明かされていく謎・どんでん返しの連続に釘付け― 「スケッチ〜神が予告した未来〜」鑑賞コラム
その物語の中心を担っているのが、二人のトップスター、RAIN(ピ)とイ・ドンゴンだ。二人は、RAINのデビュー作「サンドゥ、学校へ行こう!」以来、15年ぶりの顔合わせとなったが、その息は本作でもぴったりで、激突する役柄ながらも抜群の相性を見せている。
RAINが演じるカン・ドンスは、正義感に溢れる強力班のエース刑事だ。だが、婚約者を亡くしたことから復讐に燃える男へと転じていく……。これまで切ないラブストーリーからコメディ、アクション大作まで、様々な役柄を演じてきたRAINだが、刑事役はこれが初挑戦。本作では、いつもの愛嬌たっぷりの笑顔を封印し、愛する人を失った悲しみを抱えた男を熱演している。
彼が、人気のない階段で恋人を想って嗚咽する姿や、犯人に向ける強い憎しみの表情が、よりいっそう深まった内面の演技で胸に迫って来る。しかし、そんな負の感情から立ち上がり、事件の裏に潜む巨悪に立ち向かっていく姿には、RAIN本来の前向きでタフな性格がにじみ出て、爽快感すら感じさせてくれるのだ。
一方、イ・ドンゴンはドンスの敵となるキム・ドジンに扮し、ドンスの激しい感情をがっちりと受け止めている。前作の時代劇「七日の王妃」では、狂気に落ちていく王を熱演し絶賛された彼だが、本作で挑んだ悪役も秀逸。
妻との幸せな生活を壊されたドジンは、犯罪者を憎み、犯罪予備軍を始末する冷酷な殺し屋への道を歩み始める。感情を見せず無慈悲に殺人を重ねていくドジンは恐ろしい男だが、その冷たい表情の奥にはぬぐいきれない悲しみが漂い、悪役ながらも非常に魅力的なキャラクターに仕上げている。
この二人が作り上げたドンスとドジンの対決と対比が、本作の大きな軸と言える。愛する人を失った結果、まったく逆の「正義」を求めていくことになった二人。その戦いの場面は激しいアクションでありながら、切なくて泣けてしまう。二人が互いに向ける視線には、同じ苦しみを持つ者への複雑な感情が渦巻き、ひりひりとした痛みが伝わって来るのだ。
また、長身で手足の長い二人が繰り広げる肉弾戦は迫力と緊張感に溢れ、ハラハラの連続。事前に何度も練習を重ねたというアクションシーンは見惚れるほどで、ここでもRAINとイ・ドンゴンの呼吸の良さが伺える。
熱演を見せる二人をしっかりと支えている共演者たちにも注目してほしい。予知能力を持つヒロインを演じたイ・ソンビンは、今大注目の若手。「ミッシングナイン」「クリミナル・マインド:KOREA」と、出演作ごとに確かな演技を見せてきた彼女は、本作でも過酷な運命を背負った女性を好演。果敢に敵に立ち向かって行く女刑事シヒョンを体当たりで演じ、さらに評価を上げている。ぶっきらぼうで口の悪いドンスとも好相性で、時にドンスと見せるユーモラスな掛け合いがシリアスな物語の中にほっとした笑いを与えてくれている。
また、二人のベテラン、チョン・ジニョンとカン・シニルも素晴らしい。ドジンを殺し屋の道へと導く謎の男テジュンをミステリアスに演じたチョン・ジニョン、ドンスやシヒョンを見守りながら特殊捜査チームを率いる心温かいチーム長のカン・シニル、二人の存在が物語をさらに奥深いものにしている。終盤、彼らもまた己が信じた正義に身を投じていくのだが、その壮絶な覚悟に心を震わせられる。
