10月4日、「ミス慶応」を企画・運営する慶應義塾大学の公認学生団体『広告学研究会』(以下、広研)が、大学から解散命令を受けた。表向きの原因は「未成年飲酒」。しかしその裏では、広研メンバー数人による、慶応女子学生(19才)への集団暴行事件があったとされている。そのわずか5か月前には、東大生らによる集団わいせつ事件が起きたばかり。

 その加害者である3人の東大生、松見謙佑(22才・事件当時、以下同)、松本昴樹(23才)、河本泰知(22才)の公判を傍聴していた傍聴ライターの高橋ユキさんが言う。

「彼らにとって頭の悪い女子大生は性的対象でしかない。そういった意図でサークルが作られ、彼らのLINEからはそれまでの悪行も明らかになっています」

 高橋さんの取材に答えたある東大卒業生によれば「松本はA子さんを女性としてではなく、ネタ枠として見ていた」という。

「おもしろがる対象として飲み会に誘い、オモチャのようにもてあそび、嘲りの対象としていたんです。性的充足を目的としたものではなく、ただ辱めるためだけのものでした」(高橋さん)

 どうしてA子さんにこういった行為を働いたのか、法廷で松本はこう話した。

「私の女性観ですが、(近づいてくる女性は)個人的に私を好いているのではなく、下心があって近づいてくるのではないかと。そういう人たちに対して苦手意識、軽蔑する気持ちがありました」

 河本はこう話している。

「仲間の間で女性をモノ、性の対象と見て人格を蔑んでいる考え方が根本的にあったと思う。大学に入学して、彼女らは頭が悪いからとか、バカにして、いやらしい目でばっかり見るようになり…という、男たちの中でそういう考え方が形成されてきたように思います」

 あまりにも女性を侮辱するこれらの発言。実際の女子大生はどう感じているのか。都内の女子大に通う持田萌香さん(仮名、4年生)は、さっぱりした口調で言う。

「早慶東大や他の有名大学の男子学生とどれだけ友達関係にあるか、というのは、私たちの中の“ハク”。特に女子大だから、そういう有名校の男子と気軽に会える関係があることは、友達の間でも自分の位置づけがわかる重要なアイテム。だから積極的に飲み会には参加してますよ。そしてとにかくLINEで友達を増やすの!」

 そんな彼女たちの心が見透かされているのだろう。本誌の取材に答えたある東大男子4年生も本音をぶちまけた。

「前に入っていたインカレのサークルの話ですが、こちらも女性と知り合うきっかけになるので大歓迎だけど、彼女たちも東大という肩書を持ったおれらと知り合いたいという願望を強く持っているのがよくわかった。

 将来大企業に入社するかもしれないし、官僚になるかもしれない未来のエリート候補生と今のうちから知り合っておくことで人脈も広がるし、あわよくば結婚相手も見つかるかもしれない。将来の生活も安泰。決してそんなことは口にしないけど、そう思っているんだろうなっていうのがなんとなくわかる。中には露骨に親の職業とか聞いてくる人もいたけどね(笑い)」

 こうした打算的な関係が生み出す問題について、精神科医の片田珠美さんはこう警告を鳴らす。

「万能感や特権意識が強い人は、自己愛が強すぎるため、他人の痛みへの共感や想像力が欠如しがちですが、それを許してしまう周囲の構造的問題もあります。

 精神医学の用語でイネイブラーといい、例えばアルコール依存症の人がなぜアルコールを飲み続けられるかというと、その人に対してお酒代を渡す人がいるんです。知らず知らずのうちに依存症を助長しているわけです。東大や慶大の加害者を擁護するわけではなく、罪を償うべきだと思いますが、彼らを助長させた人間が周囲にいたはずです」

 なぜ複数の男性がいる飲み会に女性1人残ったのか、そもそもなぜそういったサークルに入ったのか、あまりにも無防備すぎる――被害女性に対する心ない声もある。それらの声を強く非難するのが、『東京・強姦救援センター』の織田道子さんだ。

「被害に遭っているにもかかわらず、被害者にも落ち度があったかのように言われます。そして訴えられた場合、加害者側の弁護士は、必死に被害者のことを調べます。普段から被害者がみんなの前で卑猥なことを言っていたのではないかとか、性癖まで、まるで被害者も悪いんですよ、と言わんばかりに…」

 昨年1年間の強姦の相談件数は153件(水曜・土曜、3時間の電話相談)。被害者と加害者の関係は、顔見知りがほとんどだという。

「そうしたこともあって被害者の心の傷は相当深い。相談者は10代から80代までと幅広く、ずっと悩み続けて誰にも打ち明けられないまま、30年経ってようやく電話ができたという女性もいました。なかには被害から20年経って自殺した女性もいましたし、精神科に通う人もいます。

 男性は強姦したときに、よく“合意の上だった”と言いますが、その時はあまりの恐怖とショックで抵抗できない状態なんです。被害者は一生の傷を抱えたままですが加害者の方は裁判などで刑罰を受けたとしても、その後社会復帰して、社会的地位を築くこともできます。弁護士や公認会計士など、試験を受けることを禁止されているわけではないので、特に今回のように優秀な学生は、そういった道もあるわけです」(織田さん)

※女性セブン2016年11月10日号