子どもが話を聞かないのは、親に論理力がないから。

「相手が自分の話をちゃんと聞いてくれない」という悩みは、仕事のみならず、家庭や育児、恋愛など、どこでも聞こえてくる声だ。しかしそういった悩みを抱える人に、そもそも、「相手が理解できるように、論理的に話していますか?」と問いかけるのは、カリスマ国語講師の出口汪氏だ。

出口氏はかつて、実力本位の予備校講師の中でも圧倒的な支持を得た人気講師で、多数の受講参考書はベストセラーになった。日本語を通して論理力を身につける事で、他の教科の成績まで上がるという教育プログラム『論理エンジン』は、現在多くの学校が正式採用している。

出口氏の教室はいつも満杯、受講希望者が列をなしていた。かつてその列に並んでいた生徒の一人が、今回の聞き手のライフネット生命の猪瀬祐一だ。ライフネット生命は「子育て世代の生命保険料を半額にして、安心して赤ちゃんを産んでほしい」という思いで開業した。そこで出口氏に今回、親が子どもとどう対話をすれば良いのかを聞いた。

――まず、率直に「論理力」とは一体何なのかを教えてください。

僕が考える「論理」というのは、筋道を立てて考え、話すこと。非常にシンプルですね。仕事でも、例えば部署に人材を補充してもらいたければ、理由と根拠を説明しますよね。しかし、子どもがゲームやスマホを欲しがるとき、理由を尋ねると「みんなが持っているから」としか言わないことが多い。

これがもし仕事なら、「他部署でも人材を補充しているから」と言っても通用しませんよね。なので、子どもにも「みんなとは誰なのか?」「みんなではなく、自分が欲しい理由は何なのか?」などを質問していくことで、子どもが論理的に考えて話すようになっていきます。

――子育てにも論理力が必要なのでしょうか?

論理は、自分以外のすべての人に対する「他者意識」を持つことが前提です。それは親子であっても、そう簡単に分かり合えない。そのために筋道を立てて考えたり、話すために必要な力が「論理力」なんです。

例えば英語を熱心に教育する親は多いですが、それは将来、外国人とコミュニケーションをとれるようにと願っているからですよね。しかし論理力が無ければ、日本人同士でも上手くコミュニケーションできませんよ。子どもの将来を本気で願うのならば、英語よりもまず論理力が身につくように会話する事が大切です。

そのためにはまず、親と子で他者意識を持つことが重要です。


――親子という濃厚な関係で他者意識を持つのは、なかなか難しそうです。そのためにまず親として重要なことはありますか?

それは子どもの年齢によってだいぶ違ってきます。子どもは徐々に自我が目覚め、「なぜ? どうして?」と聞きはじめる時期がきますが、それは自分の頭の中で考え始めている証拠です。色々と疑問を持ち始めるわけですが、大人からみると非常にバカげている内容も多い。

でもそれは子どもが一生懸命考えた証拠で、これまで親からもらったわずかな言語によって考えたものです。その時は面倒くさがらずに親がきちんと語りかけてあげることが非常に重要。子どもの「なぜ?」に対し、きちんと答えてあげることがすごく大事なのです。これにより、子どもに論理力が身に付きだします。

――最近は共働きで忙しく、両親がじっくり子どもに言い聞かせる時間が持てない傾向はあると思います。さらに子どもに手っ取り早く言うことを聞かせるためにアニメやゲームを与えて子どもの機嫌をとるケースも多いです。

今は子どもがスマートフォンやタブレットでアニメやゲームに簡単に触れることができる。これらは音と映像による刺激がとても強いですよね。音や映像による刺激は言語よりもかなり強力なので、子どもは言語によってものを考えるという訓練の場が奪われてしまう。

すると音や映像による刺激だけを求めてしまう“感覚人間”になってしまう可能性がある。ですから、うまく親が教育的配慮で刺激をコントロールしていくべきです。面倒でもきちんと会話することで論理力を育てようと意識した方が良いと思います。

――例えばどのような会話が良いのでしょうか?

子どもが何か言った時、親が理解できなければきちんと「わからない」という事。適当にごまかすのではなく、「どうしてそんなことを考えたの?」とか「それじゃ分からないからちゃんと説明してごらん」ということを親がちゃんと意思表示をする。そうすると子どもは一生懸命、親をどうやって説得しようか論理的に考えはじめます。

日本では「以心伝心」という言葉があり、 “言わなくても分かる”という考えが強い。でも「以心伝心」は教育分野だと、マイナスに働くことが多いんです。特に家族はいつも一緒にいるので、他者意識がなくてもコミュニケーションがある程度とれます。ですから非常に他者意識が持ちにくいし、論理的にコミュニケーションをとらない。

しかし子どもは成長していくと、必ず親と違う別の世界を持ち始めます。そうなったとき子どもの時から親子できちんと話をするコミュニケーションの習慣がないと、ふと気が付くと子どもは親に何も話さなくなってしまう。お互いに「話しても分からない」と感じて、一緒にいるのに口もきかない関係になってしまうんです。

――出口先生は5年後の大学の入試制度においても、論理力の必要性を主張しています。なぜ入試に論理力が必要とされるのでしょうか?
※編集注:昨年10月、日本政府は「教育再生実行会議」において、現行の大学入試制度を大きく改定することを提言。従来の1点刻みで採点するテスト方式ではなく、活用力や思考力などを含めた幅広い学力が必要とされる入試制度に変わるという。政府は5年後の2019年導入を目指している。

入試改革によって新たに必要とされる能力は「言語運用能力」、「数理論理力」、「表現力」と言われています。「言語運用能力」が、日本語を論理的に扱う力。「数理論理力」は数式をつかって論理的に考える力、「表現力」というのは論理的に話したり文章を書く力、つまりこれらの根底にはすべて「論理力」が必要とされるんです。

ですから特に小学生以下の年齢のお子さんを持つ親後さんたちに考えてほしいのは、この年齢の子どもは自分で教育を選ぶことができないということ。小学生の教育は親が選ぶんです。そこに親の責任があり、しかも子どもが大学受験を迎えるときには、新しい入試制度に変わっている。

それなのに旧態依然の学力を詰め込ませる勉強をしてしまうと大学受験も失敗しますし、将来社会に出ても役に立たない人間になってしまう可能性があります。ですから小学校から論理力を鍛えるような学習の仕方に変換していかないと、うまくいきません。

――私が学生時代、先生の授業で当時印象的だったのが、『この先デジタル社会となる中で、気を付けなければいけないことがある』という話です。デジタル社会に関するお話を聞かせていただけませんか?

デジタルは便利ですが、やはり怖さもありますよね。写真でも文章でもデータが残っていれば永遠に複製され、世界中誰でもすぐに見ることが可能です。ですから、取扱いには本当に細心の注意が必要だということを大人は子どもたちに教える必要があると思います。

デジタルもそうですが、とにかく今、社会そのものが変わってきています。ですから我々もそれに対し、やり方を変える必要がある。教育の面でいうと、今までの受験は答えがあるものだということが前提でした。答えなんて所詮人間がつくったものなのに、それが絶対だと信じられていたんです。でもこれからの時代は答えなんてありません。だから自分で問題を発見し、解決する能力が必要なんです。

これからはデジタル社会も含め、かつて人類が経験したことがない時代になると思います。ですからものを考える必要がますます高まりますし、感覚では処理できなくなっていきます。感覚というのは今まで自分が馴染んだものであれば、処理することが可能です。しかし我々が全く馴染んでいない新たなものですと、もはや感覚は通用しませんから。

――「馴染んでいない新たなものに対して感覚は通用しない」という言葉は、まさに我々インターネット型生命保険の課題ですね。インターネットに慣れ親しんでいる人は自分で判断できて契約していただけるのですが、そうじゃない人はやはり人による営業を求める傾向にあります。

生命保険はこれからの時代で非常に重要となってきますよ。まず子育て世代でお金がかかるうえに、それほどお金を持っていない。これからの日本社会が右肩上がりになることは、正直ありえないと思うんです。そういった時代の中で無駄な経費を省いて安く保険に入れるのは魅力的ですし、将来の子どもに対する保障は必要です。

あともう一点、従来保険の対面型販売というのは、やはり必ずしも買う側の立場じゃなく、売る側の立場で一生懸命買わせようとするわけです。そうなると相手はプロですから、買う側は冷静な判断ができなくなってしまう。

買う側が一番大切なのは、自分にふさわしい保険を冷静に判断し、じっくり考えて選ぶことです。でもライフネット生命の場合はインターネットを主な販売経路としているので、対面型販売ではないわけですよね。ですからインターネット等を通じ、いかにお客さんに論理的に正確な情報を提供できるか。そこが勝負になってくるのではないでしょうか?

――おっしゃる通りです。正直にわかやりやすく、安くて便利というのが当社のポリシーです。商品も複雑なものは一切なく、分かりやすく伝えているつもりではおりますが、まだまだ課題はあると考えています。

それが出来れば今後伸びていくと思いますよ。ぜひ頑張ってくださいね!

――本日はありがとうございました。

聞き手:猪瀬祐一(ライフネット生命 マーケティング部)
3歳の女の子と10ヶ月の男の子のパパで、育児に奮闘中。

今回のような育児インタビューは、新米パパママのための特集『育児はいつも、波乱万丈( ̄▽ ̄)』というコーナーで連載中です。次回もお楽しみに!

■記事協力:ライフネット生命
http://www.lifenet-seimei.co.jp/

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