ハイテクな「NYの屋内農場」:ギャラリー
ニューヨーク市ブルックリン北部の工業地帯にある元ボーリング場の屋上には、巨大な半透明の温室が設置されている。その中では、コンピューターで制御されたセンサーやモーターやポンプのネットワークが稼働し、たくさんの作物が育てられている。
広さ約1,394平方mの『Gotham Greens』は、米国において初めて都市部で商業規模運営された水耕栽培用温室設備だという。今年5月には、レタスやバジルの数多くの苗が水耕農業システムに植え付けられた。それ以来順調に稼働しており、年間生産目標100tが達成できそうだという。
Gotham Greensの温室では、レタス4種類とバジル1種類を栽培している。2012年にテスト期間が終わった後では、トマトやきゅうり、ピーマン、スクアッシュ、いちご、ナスなどに拡大したいという。
苗箱は、玄武岩等から作られた人造繊維ロックウールで作られている。生えたばかりの根に水が送られ、培養液が供給されている。
苗箱に植え付けられてから10〜14日後に種が発芽する(上の画像)。苗は水耕用の溝に移される(下の画像)。ポンプと排水設備により、栄養分に富んだ水が絶えず溝を流れている。
Gotham Greensでは、浅い水深で水を循環させ、根に十分な酸素を供給する薄膜水耕が行われている。[薄膜水耕(NFT:nutrient film technique)は、1%程度の緩やかな傾斜を持つ平面上に、培養液を薄く少量ずつ流下させる水耕栽培の一種]
培養液の品質や気象管理で、製品の品質が変わる。「水耕栽培のトマトの多くは水っぽすぎる。これは水耕栽培という方式の問題ではなく、その使い方が誤っているからだ」と、温室の管理者であるジェニファー・ネルキンは言う。「うまく制御すれば、今までに食べたこともないほど甘くジューシーなトマトができる」
Gotham Greensでは、巨大なタンクに養液を保存している(上の画像)。このタンクから溝に培養液が流れ、残った液は再びタンクに戻って来る。技術保護の理由から、タンクの一部しか撮影が許可されなかった。
センサーや人間の手で採取されたサンプル内で、養液の容量が少なくなっていることが検知された場合は、コンピューター制御のポンプによって、養液が近くの水槽に送り込まれる。
気象観測装置(上の画像)が屋外の状況を監視し、光度計(下の画像)やほかのセンサーが中の状態をチェックしている。
「あるポイントになると、コントローラーが自動的にファンを回したり、日よけをかぶせたり、ベントを開けたり、照明をつけたり、ヒーターをつけたりする」とネルキン氏。
Gotham Greensでは殺虫剤は使っておらず、害虫の天敵を使用している。
プラスティック製の色付きのカードは、べたつく物質で覆われており、害虫を引き付ける。ネルキン氏らが毎日、このカードをチェックしている。厄介な害虫が見つかると、害虫の捕食者をネットで探して注文し、温室にその群れを放す。
アブラムシにはテントウムシを使う(下の写真)。テントウムシ1000匹で20ドルで、殺虫剤より高いが有効だという。スズメバチを使う場合もある。
Gotham Greensに設置されたソーラーパネルは、施設に必要な電力の約半分を供給している。ニューヨーク市の12世帯に電力を供給するのに十分な発電量だ。
ソーラー発電を使い、「地産地消」により輸送コストを下げることで、環境的にも適切なビジネスといえるが、Gotham Greensが主に目指しているのは優れた品質だという。
ネルキン氏(画像左)とヴィラージ・プーリ最高経営責任者(CEO)は、ハドソン川に温室を浮かべるプロジェクトで協力した後、2008年にGotham Greensのアイデアを思いついた。
TEXT BY Dave Mosher
TRANSLATION BY ガリレオ -矢倉美登里/合原弘子
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