高市政権が皇室典範の改正に突き進むなか、自民党が最優先とするのが旧宮家の男系男子を養子とする案だ。取材班が旧宮家を連続直撃し、皇室復帰について尋ねると――。

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 自然豊かな山々を望む、関東近郊の閑静な住宅街。その一角に、東久邇(ひがしくにのみや)家の親族の男性が住む家がある。この人物の孫は、いわゆる旧宮家の「未婚の男系男子」の1人である。

 5月の週末の昼下がり、家を訪れると、親族男性は取材に応じ、こう語った。

「孫が皇室に、『養子に来てくれ』と言われる可能性はないでしょ」

 旧宮家の養子案に関するニュースは、新聞やテレビでよく見ているという。だが、「夢のまた夢だよ」と笑いながら言う。

 しばらく玄関口で話を聞いていると、こんがりと日焼けした、1人の少年が走って登場した。意気揚々と記者に自己紹介をし、小袋に入った煎餅をプレゼントしてくれた。「この子だ」。親族男性は言う。

養子の可能性は「ないですよ」

 少年がその場を離れた後、「なぜ養子の可能性がないのか?」と改めて問うと、親族男性はこう語った。

「ないですよ。この辺の田舎者だから。彼の親だって、普通のサラリーマンなんですから」

 5月23日に開かれた、自民党福岡県連の年次大会。麻生太郎副総裁は「今国会中の改正に引き続き全力で取り組む」と語った。麻生氏は、皇族数確保に向けた皇室典範の改正に特に強い意欲を持つ議員だ。


皇室典範を巡る与野党協議が進められている ©時事通信社

 いま、衆参与野党で皇室典範改正を巡る議論が進められている。論点は2つ。

与党が「第一優先」としている“養子案”

 2021年の政府の有識者会議がまとめた、女性皇族が結婚後も皇族の身分を保持する、旧宮家の男系男子の子孫を養子として皇室に迎える――この2案だ。そして、与党の自民党と日本維新の会が、「第一優先」として位置づけているのが養子案である。

「保守層の支持を受ける高市早苗首相は、男系男子による皇位継承を重視しています。先日の衆院選では養子案優先を掲げました。もともと反対していた中道改革連合も、『制度化することも考えられる』と方向転換したため、多くの主要政党が容認することになりました」(政治部記者)

 今国会の会期末(7月17日)までの成立を目指している高市首相。実際に協議が始まったのは24年5月からだが、養子案が検討され始めたのは、いまから約30年前のことだ。

「宮内庁は男系男子による継承を守るための選択肢の1つとして、旧皇族から継承者を選ぶことを検討。1994年夏ごろには、手書きの資料も作成されていました」(宮内庁関係者)

 元宮内庁職員で皇室解説者の山下晋司氏が述懐する。

「今の天皇皇后両陛下がご結婚後の数年間、お子様に恵まれず、秋篠宮家にも男子がいらっしゃらなかった頃のこと。宮内庁は『具体的な方策を検討する』段階にあると判断し、ひとりのプロパーのキャリア官僚が特命を受け、極秘に調査を進めていました」

 この時は女性皇族に継承権を与えることと併せて、検討されていたという。ただ、当の旧宮家にとっては寝耳に水だったようで、

「この案を耳にした、当時の東久邇家の当主・信彦氏(故人)は、皇籍復帰は『ありえないだろう』と笑っていました」(前出・関係者)

当事者の意思確認も難しい

 その後も皇室に男子は生まれず、2005年、小泉純一郎内閣で有識者会議が設置されたが、議論の中心は養子案ではなかった。女性天皇や女系天皇容認の方向へと舵を切ったのだ。有識者会議に参加した吉川弘之元東大総長が言う。

「男系男子がいいという意見もありましたが、近代国家として、精神的な継続性を守るには、養子案は弱いということになった。また、養子になる当事者の意思確認も非常に難しい」

 翌年、悠仁さまが誕生したことで、この時の皇室典範改正は見送られる。養子案もしばらく顧みられることはなかったが、近年の皇族数確保を巡る議論で再びクローズアップされた。

 将来的に皇族となる可能性が高まっている旧宮家の男系男子。一口に「旧宮家」と言われるが、彼らはあまり表には出てこない。一体、どんな人々なのか?

この続きでは、旧宮家にはのような人物がいるのか、旧宮家の人物たちが語った「女系天皇」容認論などについて詳報している。記事の全文は5月27日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および28日(木)発売の「週刊文春」で読むことができる。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2026年6月4日号)