決勝弾をアシストした柏DFの馬場晴也も「相手の足が止まっていた。ボールウォッチャーになっていた」と語る。その点では再び佐々木が口をつく。

「準備期間が短い中で、シゲさん(長谷部監督)がやりたいような守備はできていましたが、やはり後半、相手も対策してきますし、立ち位置などを変えられた時に修正する能力がなかったと思います」

 柏が交代カードを活かし、ポジションチェンジや流動性をより高めていくなかで、マークが曖昧になった川崎は後手を踏み続け、決定機を何度も作られた。そして73分、ペナルティエリアの左、いわゆるポケットを柏の3バックの一角を途中から務めた馬場に取られ、そのクロスを、こちらも途中出場のFW細谷真大に決められたのだ。

 後半の状況に関して佐々木は続ける。

「普通にシステムは一緒ですし、マンツーマン気味についていたので、あれだけ自分のマークに走られるとか、それは集中力の問題なのか、気持ちの問題なのか、分からないですが、そういう甘さがまだまだあるので、そういうのをなくしていかないと連勝はできないのかなと思います。

(柏の後半の攻撃は)いるはずの人がいないと言いますか、(3バックの右の)ナガネ(松長根悠仁)の前にいるはずの選手が(3バック左の)マルくん(丸山祐市)のほうに行っていたので、数的不利になるのは当然とういうか、誰が掴むのか。前半できていたプレッシャーのところ、相手の顔をあげさせないくらいのプレッシャーがちょっと緩くなっていたので、あれだけ顔を上げられちゃうと柏さんは上手いチームなので、難しいのかなと」

 また左ウイングバックの三浦も後半の課題を指摘する。

「もうちょっとスライドを早くしたかったです。僕のところで出たかったんですが、隣のスライドが来ていなくて出らないシーンもあり、ヤスくん(シャドーの脇坂)が下がるシーンがあったので、そこは慣れないシステムで疲れがあったと思いますが、声を掛け合って、スライドをもっとできれば良かったとは思います。

(柏の3バックの右の)馬場選手が高い位置を取って開いていたので、あそこはもっと押し出して自分が前に出たかったですが、スライドのところで(柏FW)細谷選手が入ってきて一本が怖かったのと、(柏の)シャドーのランニングが怖かったので、両ウイングバックを(前に)出せていなかったと思います」

 改めて長谷部監督も述懐する。

「選手は全力を尽くしてくれましたが、ゼロ得点では勝てないし、流れの悪かった後半の15分くらいかな、そこで失点してしまった。前半は良い守備が光っただけに、(後半も)そういう風にできれば良かったですが、策を打てなかった私の...プレーのミスもそうですが、私自身の準備と対応のところでミスがあったと言わざるを得ないと思います」

 狙いが見て取れた前半と、慣れないシステムのデメリット、柏との差を突き付けられた後半。端的に評すなら川崎にとってそういうゲームであったということである。

 もっともポジティブに考えるなら、すでに優勝の芽が潰えている百年構想リーグで、新たなシステムに挑み、少しでもチームの経験値を得られた点は前向きな材料か。

 試合終了後、なかなか立ち上がれなかった三浦は、地域リーグラウンド残り2試合(その後プレーオフラウンドの2試合へ)に向け、コメントもしてくれた。

「順位は厳しいところにいますが、一戦必勝で、毎回、積み上げていけるような試合をしないといけない。連勝も意識して勝ちたいです」

 佐々木も悔しそうな表情を浮かべる。

「3枚の真ん中で行くというのはヴェルディ戦の次の日に伝えられましたし、(柏のCFの)細谷選手、垣田(裕暉)選手は能力があるので、やられるならそこだと思っていました。今日の試合の勝敗は自分に責任があると試合に入ったので、すごく悔しいです。またやる機会があったら次は絶対に無失点で終わりたいです」

 試合後、サポーターは背中を押すような声援を送った。その声に残りの試合で応えられるか。一歩でも前進していきたい。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)

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