「1300時間勉強して需要ゼロ」リスキリングに失敗した50代の悲鳴。ブームに乗り資格取得も“無駄”に
「今後リスキリングする時は、そのスキルで確実に仕事を得られるか、それを持続可能かを考えて取り組みたいです」
◆目標が明確でないと徒労に終わる
リスキリングが実を結ばない原因は何か。一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブの代表理事・後藤宗明氏はこう紐解く。
「最大の要因は、学ぶこと自体が目的化してしまうことです。会社の場合、事業戦略や必要な仕事と結びつけずに研修を用意し、個人も『受けただけ』で終わると、現場で使われません。学びを仕事に生かす機会、配置、評価、上司支援まで設計しないと、活躍や待遇改善、事業成長にはつながりにくいです」
「学びを『受講履歴』で終わらせず、『何ができるようになったか』で見ることです。個人は学んだ内容を実務で試し、成果として示しましょう。会社は学んだ人を適切に配置・評価し、処遇にも反映する必要があります。学習と仕事と人事制度をつなぐことが重要です」
このアドバイスを栗岡さんのようなフリーランスが落とし込むとしたら、「学び直しでどんな新しい仕事を獲得したいか」「それが周りの人々や社会とどうつながるか」を自分に対して明確化することと言えそうだ。
また、近年普及が著しい生成AIの影響は無視できない。せっかく人間がリスキリングした知識も、生成AIがすぐ陳腐化させるなら、「わざわざ学び直しても無意味」となってしまわないだろうか?
「特定のツール利用のみをゴールにしたデジタルスキル習得は、FAXのスキルが今後不要になっていくことと同様、時代変化とともに陳腐化します。最近でも実際、初歩レベルのプロンプトエンジアリングがAIに代替されています。大切なのは、環境変化とともに新しい分野を『リスキリングし続ける』ことです」
学びさえすれば何でも上手くいくとは限らないが、学び自体は間違いなく自信と活力の源。生涯学習・生涯現役の時代は、個人も会社も「正しい」リスキリングへ理解が必要だ。
【後藤宗明】
みずほ銀⾏入⾏後、米国フィンテック企業、アクセンチュアにて人事領域のDX、AIスタートアップにてAI研修の企画運営を担当。2021年より現職、政府、自治体向け政策提言、企業向けのリスキリング導入支援を行う。2022年、スキルベース組織への変革を支援するSkyHive日本代表に就任。国自治体のリスキリング推進に向けた協議会委員等を歴任。2025年9月に新著『リスキリング【人材戦略編】』を上梓。
<取材・文/デヤブロウ>
【デヤブロウ】
東京都在住。2024年にフリーランスとして独立し、ライター業およびイラスト業で活動中。ライターとしては「Yahoo!ニュース」「macaroni」「All Aboutニュース」などの媒体で、東京都内の飲食店・美術館・博物館・イベント・ほか見所の紹介記事を執筆。プライベートでも都内歩きが趣味で、とりわけ週2〜3回の銭湯&サウナ通いが心のオアシス。好きなエリアは浅草〜上野近辺、池袋周辺、中野〜高円寺辺りなど。X(旧Twitter):@Dejavu_Raw
