「孫は可愛い。でも、正直つらい」…GWに総勢13人が実家に集結。年金月23万円・72歳“幸せなばぁば”が思わず零した「本音」
年金月23万円、貯蓄2,300万円の70代夫婦。子どもと孫に恵まれ、幸せな老後です。しかし、大型連休前には少し憂鬱な気持ちになってしまう――。それは、決して他人にはいえない本音だといいます。喜びだけでなく悩みが入り混じる、複雑な感情の理由とは?
「子と孫、総勢13名」が実家に大集合
「今年も楽しみにしてる、よろしくね!」
――ゴールデンウィークが近づくと、長女、長男、次女から次々に届くLINE。山田正子さん(72歳・仮名)は、そのたびに小さく溜息をつくといいます。
山陰地方で暮らす正子さんには、7人の孫がいます。長女に2人、長男に3人、次女に2人。幼稚園児から高校生まで年齢もさまざま。
毎年GWになると、子どもたち家族がほぼ同時に帰省します。夫が両親から受け継いだ実家は広く、和室もあり、泊まる場所には困りません。
縁側から山や畑が見える、昔ながらの田舎家。普段マンションで暮らしている子どもや孫たちにとっては、来るのが楽しみな場所なのでしょう。お正月、GW、夏休み――律儀に帰省をしてくるのです。
子どもとその配偶者、そして孫たち。全員そろえば総勢13人。家の中は笑い声と足音でいっぱいに。近所の人からは「にぎやかでいいですね」と声をかけられます。
ただ、その楽しい時間の裏で、年々こたえるものが増えてきました。
「70を過ぎたあたりから、身体がついてこなくなって。正直つらくなってきました」
朝から晩まで台所に立ち、食事の支度と後片付け。洗濯物も次々に増えていきます。
「夜になると足がジンジンして、横になったら起き上がりたくなくなるんです」
それでも、子どもたちには弱音を吐けません。普段、仕事や子育てで忙しくしているであろう我が子に「しんどい」とは言えず、無邪気に甘える孫たちにも疲れた顔は見せたくないのです。
年金生活に重くのしかかる「連休出費」…15万円は当たり前
もうひとつ、正子さんの悩みはお金でした。夫婦の年金は月約23万円。貯蓄は2,300万円ほどあり、普段の暮らしなら大きな不安はありません。
ただ、長期休暇の負担が大きすぎる。それが切実な悩みでした。食費は1日約2万円。5日もあれば10万円近くになります。おやつやジュース、増えた光熱費。帰り際には孫たちに小遣いを渡し、子どもたちに土産を持たせることもあります。
気づけば、1回の連休だけで15万円は使っています。本当はもっとかかるけれど、正子さんが特売をハシゴし、畑の野菜を使い、必死にやりくりして、その金額なのだといいます。
「年金1ヵ月分がなくなる感覚。かなり厳しいですよね」
正子さんは苦笑します。
「せっかく来てくれた以上は、ちゃんとしてあげたいと思ってしまうんです。子どもからは『ちょっと払おうか』と言われることもありますが、親が子にお金をもらうなんて……。それはしたくないし。悩ましいですね」
誰も悪くないからこそ、言えない
くふう生活者総合研究所が実施した2026年のゴールデンウィークの過ごし方では、「旅行・レジャーの予定がある」人は23.0%。予定している旅行・レジャーは「国内旅行」が49.7%、「中距離の日帰りのお出かけ」が27.5%、帰省が23.4%と続いています。
実家に帰省する側は、「親も喜んでいるから」という前提で戻るはずです。もちろん、それは間違いではありません。ただ、その喜びの中に悩みが少し混じっていてもおかしくはない。人間は多面体で、たとえ親子でも本音をいえないことは少なくないからです。
「もう静かに過ごしたいなと思うこともあります。実際、『受験で今回は行けない』なんて連絡が来て、一家族が減ってホッとしたこともありますし」
そう漏らしたあと、正子さんはすぐに笑って続けました。
「でも、来なかったら寂しいんですよ。孫が来てくれるのも、期限付きですからね。夫も“あと数年だから、出来る限りやってあげよう”といっていますから」
にぎやかさと引き換えに減っていく体力とお金。誰も悪くないからこそ、こうした負担は見えにくいものです。
孫に囲まれる老後は、たしかに幸せな光景でしょう。けれど、その裏で静かに疲れている人も、きっと少なくないのかもしれません。
