創業者に逮捕状請求、BTSには鈍化の影 “最大の危機”迎えたHYBEに「脱出口」はあるのか《韓国タブロイド紙の視点》
BTSやLE SSERAFIMなどの人気K-POPアイドルを擁する韓国大手芸能事務所HYBE(ハイブ)が、上場以降最大の危機に直面している。
【関連】国益より“自分の不利益”で猛批判 世界が羨むBTS公演をなぜ韓国人は叩いたのか
“BTSの生みの親”とも呼ばれるパン・シヒョク議長に対する捜査機関の逮捕状請求という「オーナーリスク」が浮き彫りになるなか、大きな期待を背負っていたBTSの除隊後の完全体カムバックまでもが予想を下回る成績に終わり、企業の根本的な成長性に疑問の声が強まっている。
BTSのカムバック後に下落していた株価は、パン氏への逮捕状請求によって下落圧力がさらに強まり、証券業界は連日HYBEの目標株価を引き下げている。
「逮捕状の請求」そのものが信頼性に打撃去る4月21日、ソウル警察庁・金融犯罪捜査隊はパン氏に対する逮捕状を請求したと発表した。
主な容疑は、HYBEの新規株式公開(IPO)時にPEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)と非公開の裏契約を結び、約1900億ウォン(日本円=約205億円)に上る不当な利益を得ていたというものだ。
韓国警察は2024年からこの事案について内偵を進め、2025年6月と7月にそれぞれ韓国取引所とHYBE本社への家宅捜索を行い、公開捜査に切り替えた。パン氏は捜査に関連して昨年8月から出国禁止措置が執られている。
この過程で、逮捕状請求の前日である20日に駐韓米国大使館側がパン氏の出国禁止解除を求める異例の要請を送っていた事実が判明し、外交問題にまで発展した。

業界では、パン氏の“実際の逮捕”の可否について見方が分かれている。
警察が長期間捜査を続けてきたにもかかわらず、これまで逮捕状の請求といった進展がなかった。そのため、検察による請求や裁判所の令状審査をパスするのは容易ではないという観測もある。
証券業界では、令状発付の有無にかかわらず、捜査の長期化と逮捕状の請求というニュースそのものが企業の信頼性に打撃を与えざるを得ないという分析が出ている。
何より、BTSの完全体カムバックとともにグローバル市場での再跳躍を狙っていたHYBEの経営戦略にブレーキがかかった点が懸念されている。
オーナーリスクの影響で市場の投資心理も急速に冷え込んでいる。4月21日の証券市場で、HYBEの株価は前営業日比1.76%下落した24万9000ウォン(約2万6000円)で取引を終えた。
BTSのカムバック直前である2月19日、期待感の先行により記録した最高値40万4500ウォン(約4万3000円)と比較すると、わずか2カ月ほどで株価が40%近く下落したことになる。
当初、証券業界はBTSの復帰がHYBEの業績を爆発的にけん引すると見ていた。しかし、蓋を開けてみた結果は「期待値を下回っている」との評価だ。

最も深刻な問題は、HYBEのキャッシュカウ(収益源)であるBTSの競争力低下だ。カムバック初期に期待された勢いが急速に冷え込んでいるような指標が見受けられる。
4月21日、米ビルボードのメインアルバムチャート「ビルボード200」で、リリース4週目を迎えたBTSの新アルバム『ARIRANG』は前週の1位から3位に順位を下げた。
メインシングルチャート「HOT 100」の成績はさらに厳しい。タイトル曲『Swim』は発売1週目に1位に入り、健在ぶりを誇示するかに見えたが、その後は2位、5位と後退し、4週目の現在は10位にとどまっている。
他の収録曲も100位圏内で苦戦している。『Body To Body』は最高位の25位から69位へと急落し、『2.0』(88位)、『Hooligan』(90位)などは圏外転落の危機だ。かつてはリリースする曲ごとにビルボード上位を長期間独占していた勢いは、今は影を潜めているとの評価だ。

グローバル市場の評価も以前とは異なる。
イギリス国営放送『BBC』は最近のレビューを通じて、「BTSは世界の一般大衆にアピールしようとするあまり、自分たちのルーツであるK-POPのアイデンティティからあまりにかけ離れてしまっている」と指摘した。
また、「古いものと新しいもの、韓国的な色彩とグローバルトレンド、アーティストとしての主観と商業的な期待値、そしてメンバーの創作本能と事務所の巨大な戦略の間で右往左往している」とし、音楽的な方向性を見失っていると分析した。
内部の結束力低下やメンバーのリスクも懸念材料だ。
アルバム発売直前、メンバーのJUNG KOOKが深夜にSNSで行った「飲酒ライブ」配信中に、所属事務所への不満を漏らし、喫煙しながら暴言を吐く騒動があった。JUNG KOOKはその後、ファンコミュニケーションプラットフォームで「個人的に何か大きな過ちを犯したかと言えば、実はよくわからない。自分は公人でもないし、業界の人が皆言っているようなことだ」との釈明を伝え、物議を醸した。
芸能界では、これまで世界的なファン層を築いてきた「誠実で健全な青年たち」というBTSのイメージが、すでに「大物」となったメンバーにとって重荷になっているのではないかという分析がある。

芸能界のとある関係者は「現実的に、メンバー全員を新人の頃のように管理するのは不可能に近い」と語る。「BTSはリーダーのRMが確固たる中心軸となっているのが幸いだが、世界的なスターとして規模が大きくなりすぎたせいで、個々のメンバーの自意識が肥大化し、事務所の管理機能が働いていない場面が見受けられる」というのだ。
続けて「もちろん他の事務所のアイドルグループの不祥事と比較すれば、グループの規模に対してリスクは少ない方だが、ファンや社会が期待するハードルが高いため、“クリーンなイメージ”の崩壊による反動が大きくなる可能性がある」と付け加えた。
複合的な悪材料の中で、証券業界HYBEの基礎体力(ファンダメンタルズ)に対する再評価を進めている。
最も懸念されるのは、高騰するアルバム制作原価と収益性の悪化だ。証券業界によると、今年第1四半期のHYBE傘下レーベルの総アルバム販売枚数900万枚のうち、半分以上の480万枚をBTSが占めた。販売枚数は好調だが、費用の増加により収益性指標は悪化している。
低下する市場の期待値“オフライン”での集客力の限界も顕著だ。
SEVENTEENやTOMORROW X TOGETHERなどの後発グループが奮闘しているとはいえ、第1四半期の全公演の動員数は55万人前後にとどまり、前年同期比で減少は避けられない見通しだ。
市場の期待水準も急激に低下している。金融情報会社FnGuideによると、3月に46万4318ウォン(約4万9000円)だった証券会社のHYBE平均目標株価は、現在43万ウォン(約4万6000円)付近まで下落した。パン氏の逮捕状請求に伴い、さらなる下方修正レポートが続く可能性も高い。
業界は「オーナーリスクの解消」と「ポストBTSの確保」がなければ、HYBEにさらなる成長性を期待することは難しいとの見方を示している。
証券業界の関係者は「HYBEはこれまでマルチレーベル体制を構築し、IPの多角化に全力を注いできた。だが、当然ながらBTS級の“メガIP”を代替することは難しく、時間が経つにつれてBTSの人気サイクルが自然に下降するのは避けられない」と指摘するとともに、「ミン・ヒジン氏やNewJeansの波、拘束令状の申請などからもわかるように、オーナーであり主要プロデューサーであるパン氏自身がリスクとして浮上している点も問題だ」と述べた。
(記事提供=日曜新聞)
